南モンゴル4・2事件の続報 ~立ち上がるモンゴルの青年たち~ : 内モンゴル人民党

 南モンゴルのナイマン旗で村民弾圧事件が発生してから3日後、モンゴル人が約半数を占めている通遼市(旧ジェリム盟)内の初級中学(13~15歳相当)、高級中学(16~18歳相当)に通っている数百名のモンゴル人学生により結成された『モンゴル学生自由連盟』が、インターネットやメール等の通信手段を用いて、弾圧を受けているナイマン旗の村民たちを支持する声明を出し、モンゴル人同胞に向けて通遼市政府に対する抗議デモへの参加を呼びかけた。
 『モンゴル学生自由連盟』が出した声明の全文(翻訳)を以下に掲載する。

ナイマン旗トゥレート村の英雄的モンゴル人を応援する呼びかけ

 ホルチン草原の勇敢なモンゴル人よ!我々は故郷を守るために尊い命を捧げた戦士ガダー・メイリンの子孫である!
 この度ナイマン旗トゥレート村の我らが英雄的人民は土地を守り故郷の主で在り続けるために雄々しく立ち上がっている。法律上の権利を守るために立ち上がった我がモンゴルの兄弟たちを、武装警察は違法に逮捕し、約20名の人々を一時的に監禁し、出血するまで殴りつけ、何人かに重傷を負わせた。
 現在、武装警察と公安部の公正を守るために闘っている我らが英雄的モンゴル人は、「国家の面子を潰した」という滑稽な罪状により、2名が今も監獄につながれている一方で、解放されたモンゴル人は「おまえたちの土地は返さないし、再び土地問題を持ち出すことは絶対に許さない。持ち出せば、おまえたち愚かなモンゴル人全員を逮捕して投獄するぞ」と脅迫され、抑圧されている。

 チンギス・ハーンの後裔であり勇敢なガダー・メイリンの子らである我々は、このような酷い無法、圧力、脅迫と侮辱を、座視していてよいものか!
 立ち上がれ!土地、故郷、我らの法律上の権利のために!
 立ち上がれ!国家の正義のために!
 我らモンゴル学生は全員、授業をボイコットし、街に出て我らが「ガダー・メイリン」を歌い、堂々とデモ行進を行う。
 市内に居る我がモンゴル人は仕事をボイコットし、我らを支持されたし!
 草原に居る我がモンゴル人は市内に来てデモ行進に参加されたし!

通遼市の初級、高級中学の『モンゴル学生自由連盟』約100名の学生より
2012年4月5日

 慌てふためいた通遼市政府は、その日のうちに最後まで拘束されていた村民2名を解放し、通遼市の副知事を現場の村に急行させて、村民に暴行を加えた者及び拘束した村民に拷問を行った者を見つけ出して厳重に処罰すること、問題となっている土地収用の合法性について調査することを約束した。
 しかし、トゥレート村の人々にとってみれば、問題の土地は明らかに自分達のものであり、政府の威を借りた開発業者が不法占拠していたのであるから、これを今更「調査」するという厚かましさに対する不満の声があがっている。

 この村の出身であるという匿名の学生によれば、300名以上の村民は固く団結しており、市政府の不正を誤魔化させないためにも、村民への暴行及び拷問に対する正当な損害賠償を勝ち取るまでは断固として闘う構えであるという。

 中国の当局は事件の適正な処理を約束する一方で、事件に関する情報が外の世界に発信されないように通信手段を遮断して、情報の漏洩及び拡散に対する厳しい取締りと監視を行っている。実際に、4月6日には村外のモンゴル人少なくとも1名が「国家名誉毀損罪」という名目で逮捕されている。

 こうした一連の動きからは、政府の不正に抗議しているトゥレート村を孤立させつつ、「国家名誉毀損罪」をちらつかせて村民を脅すことで、泣き寝入りさせ、事件を闇に葬り去りたいという当局の意図が透けて見える。おそらく、2011年5月11日に、通遼市と隣接するシリンゴル盟で発生したメルゲン殉難事件に端を発するモンゴル人の大規模抗議活動の再燃を怖れているのであろう。

 最後に、勇気をもって南モンゴル人権情報センターに情報を提供してくれた匿名の学生の言葉を紹介して、この記事の締めくくりとしたい。
 「もし仮に、国家の名誉を汚したというのであれば、その加害者は不正を糾すために真実を伝えようとした我々モンゴル人ではなく、他人の土地を不法に奪い、権力を用いて人々を傷つけるような腐りきった政府そのものである。」

提供 ケレイト・フビスガルト(内モンゴル人民党)

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