衆議院拉致特で参考人証言 : 救う会全国協議会ニュース

 本日、6月1日、午前9時半より12時まで、衆議院拉致問題特別委員会(中津川博郷委員長)で、家族会、救う会、調査会などが参考人として呼ばれ、証言を行った。以下はその概要である。

 家族会から、飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、救う会から西岡力会長、島田洋一副会長が、また特定失踪者問題調査会の荒木和博代表及び特定失踪者家族の竹下玉路さんが参加した。

■衆議院拉致特で参考人証言

飯塚 日本人拉致問題は長い間の課題となっており、解決のためにあらゆる手段を講じてきました。家族会結成から15年、世論を盛り上げ、政府を後押ししながら結果を待っているが、未だに解決の糸口がみつからない。

 この間、政府では拉致問題対策本部が設置され、国会でもかなりの論議を重ねてきたが、結果が見えません。私たちとしては、これを直接担当する政府を批判せざるをえない状況下にあります。

 それぞれの組織や役割が、本当に時間との戦いになっているのかという疑問も持っている。その中で、北朝鮮にいる被害者は今か今かと救出を待っています。どういう手を尽くせば解決に至るのか。

 愛しい家族を返してほしいというのが最低限度の願いです。国として最優先課題として取組んでおられるので、何かをやった後のフォローとか、次にどうつなげるかとか、我々が言う行程表が見えないと感じます。

 時間との戦いということは総理も言っている。政府、国などが一体化して突き進んでほしい。今年は、「勝負の年」という位置づけで、何らかの結果が出るように皆様の働きに期待しています。

増元 10年前に金正日が拉致を認め、一応謝罪し、この問題が公になった。それから10年が経ったが、北朝鮮が言う「5人生存」の被害者とその家族を取戻しただけで、全く進展がない。このことが家族にとって焦りになる。

 家族会を結成し、運動してから、拉致なんてあるのとか、拉致はありえないという政党もあり、活動の障害になっていた。それまで嘘をついてきた北朝鮮が2002年に突然拉致を認めたが、「8人死亡」をほとんどの方がなんとなく受け入れてしまったような状況を覆さなければならなかった。

「8人死亡」は何の根拠もないもので、私たちは家族は生きていると国民の皆様に説明してきました。今なお、信じていただけない方もいる。それがこの10年被害者救出の緊急性を持たなかったことにつながると思います。

 政府は、「生存を前提に」とされていますが、本当に生存が前提なら、もっとスピード感のある解決法を国会の中でも審議し、政府に意見具申していただくことが必要だと思っています。

 私たちの家族は生きています。なぜこの10年、あるいは30年以上も放置する国家なのか。国会で審議される方は、国家とは何なのかということをもう少し考えていただきたい。私たちは家族を取戻したいだけですが、その家族の意味とか、彼らが30数年もこのような立場に追い込まれてしまったのか、その意味が問われていると思います。

 私は、この国がまともになるための犠牲だったと考えます。彼らが身をもって、この国がおかしい国だということを示したのだと考えています。私たちだけではどうしようもない部分を先生方に助けていただきたいのです。

 生きている人たちがこの10年の間に病気になったり、事故にあって、もし死んだ場合、どなたが責任をとっていただけるんでしょうか。高齢化した家族が亡くなったら、どなたが責任をとっていただけるんでしょうか。

 大臣がおっしゃったように、どちらがなくなっても最終的な解決はないという思いを一緒にして皆様方にやっていただきたいと思います。

西岡 ます、拉致問題の現況について。2002年以前は、拉致があるかないかという戦いでした。2002年に、拉致はあるということを金正日が認めた。一つの勝利だったと思っています。

 しかし、彼らはその時。新たな二つの嘘をついた。1つ目は、拉致したのは13人だけという嘘で、2つ目は、「8人死亡」という嘘です。彼らは、13人から5人返して8人死んだから、2002年で拉致問題は解決したと言い、今も言っています。

 しかし、わが国政府は17人を認定しています。これだけで4人の違いがあります。久米裕さん、曽我ミヨシさん、田中実さん、松本京子さんについては拉致を認めていません。17人以外にも日本人拉致被害者は必ず存在します。

 そしてもう一つ。「8人死亡」という彼らの主張には、全く根拠がありません。「遺骨」、「死亡診断書」などがすべて偽物でした。「死亡診断書」については、彼らは、「慌てて作って間違えた」と認めています。

 そしてここ数年、確実な生存情報が多数、北朝鮮内部から出てきています。彼らの2つの嘘をどう打ち破るかが、我々の課題だと思います。

 松原大臣が解決の定義について、「ご家族が亡くなってから拉致被害者が戻ってきても拉致問題の解決にならない」、「北朝鮮が死亡していると言っている人間が、仮に生きているということがあっても、責任は問わない」ということを繰り返し言っています。「時間がないのは北朝鮮だ。家族が生きている間にかえさなければ、日本から支援はとれないよ」というメッセージを出していることは、2つの嘘を、金正恩の代になって、父親の嘘はくつがえしてもいいのではないかという的確なメッセージだと私は評価します。

 他方民主党政権は、今回のミサイル発射に対して追加制裁を発動していない。自民党・公明党政権は、ミサイル発射、核実験の度に制裁を上げてきました。それは日本の安全保障にとっても到底容認できないし、国連安保理決議違反だからです。今回追加制裁がなかったことは残念です。

 未だに朝鮮総連の幹部たちが北朝鮮にお金を運んでいます。財務省の調べでは、昨年12月から今年2月までに約1億3千万円。朝鮮総連の副議長は5人いますが、ほぼ月に1回訪朝し、労働党の39号室にお金を持っていっています。

 その資金が核・ミサイル開発に使われたり、テロに使われたりしています。お金は届出さえすれば、無制限で持っていける。「産経新聞」の報道では、総連は、4月の行司のために11億円の募金活動をしている。そのようなことを国政調査権を使って統計を明らかにし、核・ミサイル開発やテロ行為を支える資金が未だに日本から持ち出されている状況をなんとかしていただきたい。

荒木 特定失踪者の家族がどういう状況におかれているかは、竹下参考人から話がありますので、私は山本美保さんに関わるDNAデータ偽造事件について述べます。

 山梨県甲府市で失踪4日目にバッグが新潟県柏崎で発見された。山梨県警は8年前の記者会見で、失踪11日後、山形県遊佐町の海岸に漂着していた身元不明遺体が、DNA鑑定の結果、山本美保さんのデータと一致したと述べています。

 しかし、どう考えても同一人物とは思えない。遺留品は家族も見た子とがないしサイズも異なる。今日出席の渡辺義彦議員から質問主意書を提出しても、「山梨県警がこう言っている」というもので、警察庁も同じかと再提出したところ、「捜査に支障があるので答えられない」という答弁でした。

 山梨県警だけでなく、警察庁の科学警察研究所、名古屋大も関係しているので、もっと大掛かりな構造の中で動いたことであり、ある意味で拉致問題を止めるために行われたと推測されます。

 拉致問題の解決のため、真相究明が欠かせないと思っています。国会の中で積極的に取り上げていただきたい。

島田 昨年の夏以降浮上したアメリカ人拉致問題について述べたい。失踪したのはデヴィド。スネドンさんという24歳の男性で、2004年に中国雲南省で行方不明になっています。

事件の詳細略(救う会メールニュース2012.05.10-2、2012.05.14-2参照)

 国籍に関係なくすべての拉致被害者を救出すべきですが、アメリカが当事者意識を持って取組むことは、戦略的に大きなことと思います。そういう意識で5月6日から1週間、拉致議連と家族会、救う会で訪米しました。

 この問題は、チャック・ダウンズ氏という、アメリカで最も北朝鮮問題・拉致問題に詳しく、日本人拉致問題でもアメリカで一番最初に助けになってくれた人物から情報がもたらされたものです。アメリカの議会でも証言しています。スネドンさんの家族からも、日本から世論喚起してほしいとの協力依頼があり、家族が5月の国民大集会に参加しています。

 アメリカの専門家は、ミャンマーに連れ出されて拉致されたと見ています。当時ミャンマーは北朝鮮と親しい関係にありましたが、近年自由化、民主化が急速に進んでいます。アメリカの情報関係者は、失踪してから1週間以内に、ミャンマーの港から北朝鮮の船の出入りがなかったかチェックしたいと言っていましたので、日本としてもミャンマーに対し、調査の依頼をしていただきたい。

竹下 妹、古川了子に関する動きについて申し上げます。平成14年に、千葉県警に対し、北朝鮮による拉致事案として捜査要請を行い、平成16年には、千葉県警に対し、国外移送目的略取誘拐の告発をしました。

 平成17年には、東京地裁に対して、「拉致認定を求める行政訴訟」を提訴しました。これは、被害者家族が政府に拉致認定を求めた初めての訴訟で、唯一のものです。その背景に認定されていない数多くの被害者の存在があり、実質的な代表訴訟でした。19年に、当時の内閣府拉致被害者等支援担当室長が表明書を読上げ、提訴を取り下げて和解しました。

 この訴訟の後変わったことは、政府が特定失踪者に関する情報を文書で直接集めたことと、時々ではありますが、外国首脳との会談で拉致問題を取り上げた情報が家族に届くようになったことです。

 平成14年の小泉訪朝で曽我ひとみさん、ミヨシさん、石岡亨さんが拉致認定された後に拉致認定されたのは、平成17年の田中実さん、平成18年の松本京子さん、平成19年の高敬美さん、高剛さんの兄弟だけです。和解成立後は一人も認定していません。

 政府は、「拉致の可能性を排除できない人が存在するとの認識のもと、国連の場や政府の広報において、すべての拉致被害者のすみやかな帰国を実現すべく全力で取組んでいることが対外的に認知されるよう努める」としているが、政府のホームページ時では、「北朝鮮に対し約30人の安否確認をしている」という文言はありましたが、これも裁判中のことでした。

 特定失踪者470人、昨年12月の政府主催の拉致フォーラムでは三谷事務局長代理が、「900人に及ぶ対象者がいる」とおっしゃっていながら、これらの数字はどこにも出てきません。

 これは、政府が北朝鮮に対し、「拉致の可能性を排除できない人は30人ほどである」という間違ったメッセージを発していることになると思います。また、家族は、切捨てされるのではないかと心配していることをご理解いただきたいと思います。

◆質疑応答の中で注目されたもの
財務省の答弁から
1.今年1月以降に北朝鮮に持ち出された現金
1月  17件  3,020万円
2月  59件  6,340万円
3月  42件  3,160万円
4月 194件 21,470万円

※昨年12月から今年2月まで1億3千万円だったので、12月以降計37,630円が現金で持ち出されたことになる。この他、届出なしの持ち出し額がこれを上回ると想定される。これが、核・ミサイル開発や拉致等のテロに使われることになる。

2.最近の送金額
平成22年度 2,300万円
平成23年度 7,700万円

◆衆議院インターネット中継
なお、拉致特についてはどなたでも動画をみることができます。
今回の拉致特は、「衆議院インターネット中継」
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
の下部の「条件検索」のところで、

2012年6月1日~2012年6月1日という年月日を入力すれば、拉致問題特別委員会が出てきます。

それをクリックし、発言者ごとに区分けされていますので、聞きたいところをクリックして動画を見てください。

以上


衆議院拉致特で参考人証言 : 救う会全国協議会ニュース
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_3029.html



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