死亡者の真相究明も-古屋拉致担当大臣に要請 : 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.05.20)

 家族会・救う会は、5月17日、寺越事件が50年となることを期に、寺越昭二さんの息子である寺越昭男さん、北野政男さん、内田満津夫さんたちと共に、古屋圭司拉致問題担当大臣に要請を行った。

 要請には、家族会から増元照明事務局長が、救う会から西岡力会長、平田隆太郎事務局長が、また救う会石川の大口英夫氏、救う会兵庫の長瀬猛氏が参加した。

 要請文の全文と懇談概要は以下の通り。

■死亡者の真相究明も-古屋拉致担当大臣に要請

◆要請文

2013年5月17日

拉致問題担当大臣 古屋圭司 殿

寺越昭男、北野政男、内田美津夫
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 西岡 力
救う会石川 大口英夫、救う会兵庫 長瀬 猛

 1963年5月、石川県沿岸で操業していた3人の漁民が失踪し、24年後に北朝鮮に住んでいるという手紙が来たいわゆる寺越事件の発生から50年が経った。寺越昭二さんと寺越外雄さんはすでに亡くなった。遭難していた3人を救助したという北朝鮮側の説明は、あまりにも不自然だ。韓国に亡命した元工作員は日本に侵入した北朝鮮工作船が上陸地点の秘密を守るため、3人の漁民のうち昭二さんと推定される抵抗した1人を現場で射殺し、少年を含む2人を拉致したと証言している。

 現場で射殺された疑いがある昭二さんの息子3人は2002年、家族会に入り、「このまま、父の死の真相が明らかにならないまま、日朝国交正常化がなされれば、自分たちは北朝鮮に対して遭難救助を感謝しなければならない立場になってしまう。それには耐えられない」として、真相究明運動を続けてきた。また、北朝鮮の地で1994年に客死した外雄さんとその家族に手紙や支援を送り続けた寺越文雄さんは、「弟外雄を日本に取り戻すことはできなかったが、せめて外雄の子弟2人は助けたい」と病床の身で運動をつづけたが、2010年、無念のまま他界された。

 この間政府は、初めて手紙が来た1987年、寺越武志さんが日本に初めて一時帰国した2002年などの機会を活かすことなく、寺越事件の真相究明への努力を怠ってきたと断じざるを得ない。事件発生50年にあたり、昭二さんの家族と地元の救う会石川、外雄さんを支えてきた救う会兵庫、家族会、救う会は以下のことを政府に要請する。

1.寺越事件の真相究明を昭二さんの殺人容疑も視野に入れ徹底的に行っていただきたい。

2.政府方針にある「拉致に関する真相究明」の中に寺越事件の真相究明が含まれることを明確にして、「寺越事件の解決なくして拉致問題の解決なし」ということを確認していただきたい。

3.外雄さんの直系子弟を日本の戸籍に記載していただきたい。

4.武志さんや外雄さんの直系子孫ら家族全員を、日本か第三国に呼び、事情聴取や日本帰還への意思確認ができるよう北朝鮮に求めていただきたい。

5.機会を見て、古屋大臣に寺越事件の現場視察を行っていただきたい。

 以上

【懇談概要】

 お忙しいところありがとうございます。要請の趣旨についてご説明させていただきます。1と2の中で、「寺越事件の解決なくして拉致問題の解決なし」とあります。被害者が死亡している場合、真相究明なしには拉致問題の解決と言えないということです

大臣 その通りです。

 3は、寺越外雄さんの子どもは日本人ですから宜しくお願いいたします。4は、北朝鮮では意思確認できないという問題がある。帰国した5人も、北の監視がない状態で残留を決めた。5はまだ現場を見た大臣がおられないので是非見ていただきたい。できれば併せて地元主催の集会を行うのに合わせて実施したいと思っています。

大臣 視察と集会には是非参加したい。なお、戸籍の問題は法務省が関係するので、私の一存では言えない。

 (要請文には)「殺人容疑も視野に入れ」とありますが、政府の拉致認定は帰ってきた人を支援するための支援法上の認定で、それでは帰ってこれない人は含まれない。殺されたと疑われている渡辺秀子さんやその他抑留中に死亡した人に関する真相の究明なしに解決とはいえない。その意味で、「寺越事件の解決なくして拉致問題の解決なし」ということです。

大臣 もちろんそうです。真相の究明なくして拉致問題の解決とは言えない。

 生きている人が帰ってきたら打ち切りになることが心配だった。今日大臣の話を聞いて安心した。

 拉致の現場に行っていただけることは本当にありがたい。

 寺越文雄さんは、死の間際まで、弟の外雄さんの孫の戸籍の問題を解決しなければ死んでも死に切れないといって亡くなられた。これを大臣に伝えてほしいとおっしゃった。

 これは国内問題だから法務省は真摯に取組んでほしい。

 真相はいとこの武志が知っている。武志が帰国した時、強い政府だったら解決していたと思う。

 解決のためのすべてのことをやる。全員取り戻す、これに尽きる。被害者は、今日か明日かと待っている。北朝鮮に日本から情報を入れながら、救出しないというのでは可哀想だ。

 昨日文雄さんの奥さんの惠子(えいこ)さんと話した。外雄さんの子どもに申し訳ないことだと言われた。これまで支援をしてこられたが、もう支援する人もいなくなるのではと。それを大臣に伝えてほしいと。

以上

※関連
寺越事件の解決なくして拉致問題の解決なし-5/17東京特別集会報告1
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_3434.html


死亡者の真相究明も-古屋拉致担当大臣に要請 : 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_3432.html

.