「テロ」の定義を都合よく歪曲する中国…少数民族弾圧を「テロ対策」の表現で隠す共産国家の狡猾(産経新聞): 世界ウイグル会議

産経新聞 2013.07.29
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130729/waf13072907000000-n1.htm

 ニューヨークに滞在していた5年前、マンハッタンで小さな爆発事件に遭遇したことがある。破壊されたオフィスと散乱するガラスの破片をみて、戦慄と恐怖を覚えた。「9・11」を経験した米国人は常に、テロと生活とが隣り合わせだということも改めて感じた。だから、6月の新疆ウイグル自治区の衝突を「テロだ」と強調した中国には違和感を覚える。自らの都合で少数民族を追い詰め、テロと断じて迫害する…。中国よ! 「テロ」の意味をはき違えるな!(篠田丈晴)

散乱するガラス…テロの戦慄

 2008年3月6日未明、ニューヨーク市マンハッタンの観光名所、タイムズスクエアの一角にある米軍の兵士募集事務所で小規模な爆発があった。事務所は無人で通行人らにもけがはなかったが、正面の窓ガラスが割れるなどした。連邦議会事務局に現場写真をつけた犯行声明が送られたが、その後の続報はなく、“迷宮入り”したようだ。

 当時、マンハッタンに滞在していた。未明にけたたましく響く警察や消防車両のサイレン音で目を覚ました。気になってテレビをつけると、速報を流していた。

 昼過ぎに現場に行った。ガラスの破片が散乱する中、ニューヨーク市警の捜査員らが必死の捜査を続けていた。世界随一の繁華街が狙われたのだから当然だろう。市民や観光客らも心配そうに見つめていた。

 米国民は、2001年9月11日に米中枢同時テロを経験した。今年4月にはボストン爆弾テロが起きた。数々のテロ事件が発生し、背景にはイスラム原理主義勢力の存在もあるが、そこで生活する人、働く人たちが無差別に被害にあった。

 テロとの戦いを声高に唱える一方で、悲しみも大きいのである。9・11の現場で、涙を流して国歌を歌っていた人の姿が忘れられない。

「イスラム過激派が潜入した」

 一方、中国の新疆ウイグル自治区中部ピチャン県ルクチュンで6月26日、ウイグル族グループと地元警察が衝突し35人が死亡した。28日には同自治区南部のホータンで襲撃事件が起き、ウイグル族が射殺されたという。4月には、自治区最西部のマラルベシ県で21人が死亡する事件が発生するなど、暴力事件が同自治区全域に広がっている。

 習近平国家主席は6月28日に開いた政治局会議で、新疆の安定維持を「テロとの戦い」とし、周辺各省から武装警察部隊をウイグル族が集中する地域に大量投入することを決めた。中国共産党の機関紙、人民日報傘下の環球時報は7月1日付で「シリアとトルコのイスラム教過激派組織の関係者が中国に潜入した」と伝え、一連の暴力事件は外国のテロ組織が関与していると主張した。

 だが、中国当局は一連の事件の詳細も証拠も示していない。テロ組織が関与しているかどうかは判然としないのである。

「デモ=テロ」という論理

 200人の犠牲者を出した2009年7月5日の同自治区ウルムチでの暴動から4年を迎えた。人民日報は、海外に亡命したウイグル人組織「世界ウイグル会議」がこの暴動の「黒幕」と強調し、「世界ウイグル会議の主人は米議会傘下の全米民主主義基金である」と指摘した。

 そして6月初めに米カリフォルニア州で行われた米中首脳会談で、オバマ米大統領が中国のウイグル族政策に懸念を示したとされることに対し、中国外務省は「米国はテロの被害者であり、テロの危害はよく理解しているはずだ。二重基準(ダブルスタンダード)を持ち込むべきでない」と不満を表明した。

 つまり、米国はテロとの戦いを唱える一方で、テロリストを後押しする。それが二重基準だと言いたいのだろう。一方で、中国は新疆で暴力事件が起きると、外国のテロ組織が関与しているといつも主張するようだ。世界ウイグル会議は現地の情報として、「治安部隊がウイグル人を射殺したことなどが引き金だった」と指摘、一連の暴力事件の原因は漢族の治安当局の横暴だったと主張する。

 1989年に、北京の天安門広場に民主化を求めて集結していた学生を中心とした市民のデモ隊に対して武力弾圧し、多数の死傷者を出した国のことである。このときのデモ隊についても、テロ組織という認識だったのかもしれない。

元CIA職員も欲しかった?

 「二重基準」呼ばわりをされた米国はいま、米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集活動をめぐって批判にさらされている。米国にしてみれば、テロ対策など安全保障面で欠かせない活動なのだろう。だから、暴露した米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン容疑者は決して許せない裏切り者だ。南米に行きたい本人はロシアへの一時亡命を申請したようだが、実は中国も隙あらば狙っていたのではないだろうか。

 テロ対策という点では、日本も米国に学ぶべきことが多い。6月に訪米予定だった、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長もニューヨークにも立ち寄るはずだったと聞く。そういう意味でも、慰安婦発言は残念である。


「テロ」の定義を都合よく歪曲する中国…少数民族弾圧を「テロ対策」の表現で隠す共産国家の狡猾(産経新聞): 世界ウイグル会議
http://www.uyghurcongress.org/jp/?p=6445



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