「ウイグルの真実が中国を役立つ国際国家に変える」人間以下に扱われるウイグル族、中国政府こそがテロリスト~トゥール・ムハメット氏 : JBpress

2013.11.22(金)JBpress

マット安川 日本に住んで20年近く、ウイグル問題の啓発を続けるトゥールさんを迎え、日本ではなかなか知り得ない生のウイグルの話や天安門自爆テロ、イスラム教と日本の関係など、幅広くお聞きしました。

トゥール・ムハメット氏 任意団体中央アジア研究所代表、世界ウイグル会議研究センター副長。民間会社勤務。日常の仕事の傍ら、ウイグルの人権問題を日本で訴え、執筆や講演活動をしている。

ムハメット 私は1994年に来日しました。97年、大学院生の時にウイグルでデモがあり、中国政府が弾圧して約100人の若者が殺されました。

 それに怒りを感じて、事件を日本の人たちに訴えた結果、私は中国政府と対立する立場になり帰国できなくなってしまいました。以来ずっと日本で仕事をしながら、ウイグルの人権問題を日本社会に訴える活動を続けています。

 ウイグルの面積は日本の約4倍あり、約2400万人が住んでいます。そのうち約45%がウイグル人です。ウイグル人は古くからここで農業や遊牧をして暮らしてきました。もともとこの地域の主人公はウイグル人であり、中国人ではありません。

 しかし、ウイグルの日常は非常に悲惨なもので、自分の国である東トルキスタンで、3等市民、4等市民、あるいは人間以下の扱いを受けている状況です。地獄で生きているような、刑務所の中で生きているような感じです。

 中国政府のウイグル人、チベット人を支配する手法というのは非常に巧みです。これはひと言では伝えきれない巧みさです。政治的、経済的、文化的、宗教的、外交・軍事などありとあらゆる手段を使って、ウイグル人、チベット人を追い込んでいくわけです。

 例えば、宗教的な問題を取り上げますと、中国共産党は、宗教は人々を毒する麻薬であると考え、否定しています。

 我われウイグル人はムスリムでイスラム教を固く信じています。しかし、中国共産党は、イスラム教を信仰するということは共産党を信じないということになるので、若い人に対して無神論の教育を行うわけです。

 アッラーを信じる心を否定して、モスクに行かせない。男性はムスリムの象徴としてあごひげをはやしますが、あごひげをはやした男性を警察が捕まえて、強制的に剃らせる。剃らない場合は罰金、または刑務所に入れられることもあります。

 女性は、外では肌や髪を見せないように全身を覆う格好をしますが、そういう女性を取り締まって、強制的に髪を出すように、肌を見せるようにさせる。こうしたことに対してムスリムが怒るのは当然です。


天安門前に車が突入した事件はテロではない

 そうした怒りが、今年10月28日の天安門のような事件を引き起こしたのです。車で天安門前に突っ込むという今回の事件は、中国指導部にショックを与えました。中国政府はもちろんテロ扱いして、東トルキスタンイスラム運動の組織的な犯行だと発表しました。それはとんでもないデッチ上げです。

 この事件を起こした人物は、自分の母親と奥さんを車に乗せて突っ込んだ。天安門は中国共産党の独裁支配の中心地で象徴的な場所です。そこを攻撃するというのは、中国国家そのものを攻撃しているということなんです。

 ふつう我われがテロと認識しているのは、一般市民を大量に巻き込んだ、社会に恐怖を与える、そして西側の自由と民主主義の体制を狙った暴力行為のことです。

 今回の事件は、運転手のオスマンさんが突っ込んだ時に、ずっとクラクションを鳴らしていた。なぜなら、天安門は観光客も多く、その人たちを巻き込みたくないという気持ちがあったからです。事件でケガをしたフィリピン人の女性の証言では、クラクションを聞いて車を避け、軽症ですんだと。

 結果として、車が炎上して、死者2人、ケガ人は重軽傷合わせて48人と中国政府は発表していますが、重傷者は数人です。ですから、今回の事件は大量殺人を狙ったテロではなく、中国政府のウイグル人に対する弾圧や抑圧に対する不満を表すための最終手段であったというのが、我われの考えです。

 もちろん、我われは暴力行為に賛成はしませんが、この責任を負うのは中国政府、共産党の政策であるべきだと思います。彼がそこまで追いつめられた責任は、政府にあると我われは考えています。


1年前の事件が背景。中国政府こそテロ行為をしている

 今回の事件には背景があります。ちょうど1年前の2012年10月28日に、事件を起こしたオスマンさんの住む村である事件が起きました。村人が約5年かけてお金を集めて、古いモスクをリフォームした。空調設備を入れたり、モスクの前にコンクリートを敷いてきれいにしたり。

 そこに村の共産党支部長らがやって来て、このリフォームは無許可だから元に戻すようにと命令したのです。村人が貧しい中で5年かけて集めたお金でやっときれいにしたモスクに対して、そういう圧力をかけたんです。

 そこで村人全員約200人が集まって抗議したんですが、武装警察100人くらいが派遣されてきて、命令に従わなければ逮捕すると。私たちが集めた情報では、人望のあるオスマンさんが、村人に抵抗をやめようと説得して、警察との衝突を避けた。

 その後、当局がブルドーザーでモスク前のコンクリート舗装を全部取っ払った。中の空調設備も撤去した。そういう悲惨な結果になり、オスマンさんは決意したんだと思います。やり返すんだと。だから今回の事件はテロではありません。テロをやっているのは中国政府なんです。


日本のマスメディアは中国の真実を伝えていない

 1972年の日中国交正常化以来、日本のマスメディアは中国にマイナスになる情報、真実を伝えないという状況がずっと続いてきました。

 ウイグル問題、チベット問題をはじめ中国国内で起きているさまざまな問題があまり日本には伝わっていない。私は、これはおかしいと思います。日本は中国と違って、自由と民主主義を基本とする国家です。真実を、どこで何が起きているのかをきちんと伝えることがマスメディアの役割ですが、その役割を果たしていません。

 日本のマスメディアがウイグル問題に本格的に注目するようになったのは、2009年7月、ウルムチで約1万人のウイグル人がデモを行い、軍や警察が暴力で鎮圧し、大虐殺を行った時からです。

 中国の公式発表では、死者は約300人ですが、我われが把握しているところでは、約3000人が殺された可能性があります。この大きな事件について、日本のメディアはある程度伝えましたが、やはり中国政府はそれをウイグル人のテロと結びつけ、NHKや朝日新聞などはその言いなりになって、そのまま垂れ流すというのがほとんどでした。

 この10月22日にジュネーブで、国連人権理事会が中国の人権問題を協議する会合を開きました。欧米諸国はそろって中国のチベット弾圧やウイグル弾圧、また民主主義活動家に対する弾圧など、中国政府のあらゆる人権侵害を非難しました。

 その会合には日本政府の代表もいて、中国の人権問題を日本政府として初めて非難したんです。これは我われにとって大きなニュースでした。しかし残念ながら、このニュースが日本ではまったく伝えられていません。

 日本政府が人権問題を国際会議できちんと取り上げて、特に中国の人権侵害を非難するというのは画期的なことであり、日本で大々的に伝えられるべきことなのに、まったく伝えられていないのはたいへん残念です。


中国はいずれ崩壊し、ウイグルが独立する日が必ず来る

 10月28日の天安門に車が突っ込んだ事件の2日後に、山西省の太原という中心都市の共産党の建物の前で、大爆発が起きました。その前にも数々の暴動などが起きています。つまり、中国共産党の支配に対して、ウイグルやチベットだけでなく、中国人の中でも不満が噴出して、政府はすでに抑えきれない状況になっている。

 いま中国国内の治安維持費は、国の軍事予算より2割多いと言われています。こんな国家に将来があるわけがない。5年後か10年後かは分かりませんが、いずれ必ず崩壊すると思います。そしてウイグル、チベットが独立できる時期が必ず来ると信じています。

 だから私たちは東トルキスタンの旗をしっかりと持ち、私たち国外にいるウイグル人たちは独立のための準備を行っていますし、国内にいる人たちもその夢を捨てたことはありません。

 日本人のみなさんには、中国、そしてウイグルの真実を知って、中国を変える努力をしていただきたい。中国は、日本に対しても、ウイグル人に対しても脅威です。中国を国際社会に役に立つ国にしていかなければいけません。

マット安川のずばり勝負」2013年11月15日放送

マット安川(本名:安川昌之)
(株)オフィスヤスカワ代表取締役。1973年1月10日生、神奈川県出身。O型。大学在学中から30種以上の仕事に携わり、のちに渡米。語学を学び、インターンシップ、のち現地法律事務所へ勤務、3年間マネジメントを担当する。帰国後、各界著名人のトレーナー兼マネジメントなどを手がけ、企業コンサルティング、事業マッチングのほか、TV・ラジオの番組DJ・企画制作など多方面に活躍中。


「ウイグルの真実が中国を役立つ国際国家に変える」人間以下に扱われるウイグル族、中国政府こそがテロリスト~トゥール・ムハメット氏 : JBpress
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39250



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