中国政府のヤルカンド虐殺を忘れるな! 日本ウイグル協会 抗議声明

 2014年7月、中国新華社通信は、新疆ウイグル自治区カシュガル地区ヤルカンド県で、7月28日朝、刃物や斧を持った武装集団が地元政府庁舎や派出所を襲撃し、市民に無差別に切りつけ、漢族やウイグル族ら数十人が死傷したと伝えました。同紙はこの事件を「組織的で綿密に計画された重大なテロ」と報じ、あたかもウイグル人によるテロ行為であると、何の証拠もなく報じ、今もその姿勢をなんら変えていません。しかも、その報道が事実ならば、中国は国際社会にテロ防止のために広く事実を伝え、この事件の実態を明らかにすべきなのに、事件直後現地は事実上戒厳令に近い武装警察による監視下に置かれ、国際社会の報道関係者をシャットアウトし、インターネットすら遮断して徹底的な情報管理を行いました。現在でも、事態は本質的に変わっていません。

 しかし、事件直後から、勇気あるウイグル人の証言者は、あらゆる手段を通じて外部社会にヤルカンドで起きたことを伝えています。それによれば、ラマダン期間中に中国当局は、7歳の少年と72歳の老人を含む家族5人を、ウイグルの伝統衣装であるスカーフを女性が着用しているとして射殺し、この残虐な行為に抗議したウイグル人たちにも発砲したことがきっかけとなっています。RFAの報道によれば、その後も武装警察はヤルカンドで無差別の発砲を続け、数千人規模のウイグル人が虐殺されたと伝えています。

 今年は第二次世界大戦の終戦から70周年の年であり、中国政府はこれを記念して「世界反ファシズム戦争・抗日戦争勝利70年を記念する関連行事を開催する」と公言しています。私達は歴史問題に立ち入るものではありませんが、少なくとも現在の中国共産党政府が、南モンゴル、ウイグル、チベットで過去70年間行ってきた政策とは、一党独裁と民族差別、そして各民族への虐殺政策以外の何ものでもありません。その一つの象徴が、昨年7月に生じたヤルカンド虐殺事件です。私達は改めてこの虐殺に抗議すると共に、中国政府並びに国際社会に以下の三点を要請します。

1、中国政府はヤルカンドにおける虐殺事件と犠牲者の調査のために、国際社会並びにジャーナリストによる自由な調査を受け入れ、事件の真実を明らかにしてください。

1、国連並びに国際社会は、ヤルカンド並びにウイグル全域に国際調査団を派遣して人権の改善と民族自決権の確立を求めてください。

1、日本政府は人権外交の視点から、中国政府に対し、日本からの経済・技術支援は、何よりも国内の人権改善と民族自決権の尊重を前提とするものであることを明言してください。

2015年7月28日
日本ウイグル協会

※PDFファイル(366KB)
http://uyghur-j.org/statement/20150727_yarkand.pdf

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