【報告と動画】第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘氏(辣椒/漫画家)

第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘氏(辣椒/漫画家)

 7月25日、東京下北沢会議室にて、アジア自由民主連帯協議会主催代17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」が開催されました。講演者は漫画家の王立銘氏、そして通訳は中国民主運動家の王戴氏が行いました。

 最初に当会会長のペマ・ギャルポ氏が挨拶、最近、中国民主化運動の方々と話し合ったときに、当協議会について、勉強をする機関なのか、運動する機関などかよく分からない、もっと行動的であっていいのではないかというご批判をいただいたと述べました。そしてその上で、確かに運動は大事なのだけれども、良く問題を理解せず、その時その時の事態に対応しているだけの運動というのは、意外と行き詰ってしまう傾向もある。私達はまず、このような学習会を通じてきちんと問題を考え、自分で納得した上で行動に移って行きたいと述べました。

第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘氏(辣椒/漫画家)ペマ・ギャルポ会長

 そして王立銘氏が登壇し、まず、習近平という人物は、幼いころから、中国共産党のエリートの子供でなければ入れない幼稚園で教育を受けたこと、元々特権的地位にいたことから話を始めました。しかし、それは逆に中国共産党内の残酷な政治闘争にまきこまれることでもあり、1963年、彼のお父さんは、政治闘争に敗れ、文化大革命が始まると、お父さんは批判の対象となったこと、1968年には、文化大革命の最中、習近平自身も公安当局に何度も取り調べを受け、拘束されてしまったこと、釈放されたときも体中にけがをし、シラミだらけのひどい状態だったこと、その後陝西省延安市延川県に下放されたことなどを、当時の写真もとに紹介しました。

 習近平が政権に就く当初には、海外の人も、また国内の人も、こうした経験から、彼が民主化を進めるのではないかと期待していた人は沢山いたこと、特に彼の父親は改革派であり、彼自身も、その方向性に中国を向かわせるだろうとみんなが信じていたと王氏は述べましたが、すぐに、その期待は裏切られたことを指摘しました。

 その最も象徴的な例として、王立銘氏は、2009年におけるメキシコで華僑を対象とした習近平の演説を映像で紹介し「腹がいっぱいになって暇になった外国人がわれわれの欠点をあれこれあげつらっている」「中国は革命も輸出せず、飢餓や貧困も輸出せず、外国に悪さもしない。これ以上いいことがあるか」という習近平の言葉、これこそが彼の本質だと述べました。これは、国内への抑圧政策の予言であり、この時点で賢い中国人の多くは期待を裏切られていたと述べました。

 そして、毛沢東はかって文化大革命の時代、中国政治局の上に中国中央文革チームの組織を作り、自分の思うままの政治を行ったように、習近平もまた、旧来の組織の外に別のチームを作っており、その中には尖閣列島問題に取り組むチームすらあると指摘しました。そして現在、事実上習近平は「皇帝」となっており、彼の価値観は毛沢東と中国共産党の独裁の影響を強くけており、文化大革命の犠牲者ではあるけれども、同時に、文革の時の手段を使って政敵を斃してきたことも事実であると指摘しました。

王立銘氏

 そしていま、江沢民、胡錦濤時代にも行われていたインターネット規制はますます強まっていること、ネットユーザーが弾圧されていること、幾つかの単語はネットで検索する事すら難しいことを、幾つかの漫画を通じて指摘しました。それは科学者の研究にすら悪影響を与え、中国の科学の発展すら遅れさせていると述べました。また海外メデイアへの抑圧も強まっており、習近平体制に批判的な記事を書いた外国の記者や学者が再入国を拒否されたり、追放されたりして、中国民主化への報道がしにくくなっている現状を指摘しました。

 習近平と日本との関係について、日中両政府は、共に友好を表面では口にするけれども、そもそも日本政府は選挙で選ばれた政府であり、中国はそうではないこと、最近APECにて、中国側は、まず日本が靖国問題や尖閣問題で妥協したら話をしましょうという、最初から制約をつける態度だったことなどを述べた上で、現在中国は愛国教育を行っているとされるけれど、それは基本的に国家や歴史への愛ではなく、共産党そのものへの愛を強制、扇動している、それは反日教育に繋がっている、ここを抑えておかなければならないと述べました。

 その上で、自分は日中友好という概念自体に疑問を持っている、現状は日本国民と中国国民との友好ではなく、中国政府、共産党権力との友好になっているのではないかと指摘した上で、現在の中国の反日教育の実情として、照という字を、日本人が(日)刀で人を殺して、4人の血が流れた、などという解釈が成り立つような発言すら行われている実態を知ってほしいし、また、中国で上映、放映されている抗日ドラマの映像を紹介しながら、これは暴力を宣伝するだけで、戦争に対する反省などは全く見られないと指摘しました。そして普通の中国人は、このようなドラマを見て、反日意識を持っている人は確かにいる、もちろん冷静にこのような宣伝に踊らされない人々もいるのだけれど、中国共産党がこのような姿勢と宣伝を持っている以上、日中の友好は不可能だと述べました。

 そして、中国は抗日戦争70周年を祝うキャンペーンを行うだろうが、これも明らかに反日意識を宣伝する結果となること、本当の日中友好は、中国共産党が無くなる日であり、その時にこそ、本当の日中両国民の友好がなしうるだろうと思っていると述べました。

第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘氏(辣椒/漫画家)

 王氏はさらに、習近平は今、国内で反腐敗の運動を盛んに展開しているが、あれは単なる権力闘争にすぎないこと、ある風刺画を見せ、習近平自身も腐敗や利権そのものであり、腐敗を調べる局長がそのまま腐敗しているのが現状だと述べました。そしてこの腐敗反対運動の中で、習近兵は多くの敵を作り、うわさではあるけれども、暗殺計画が起きたという話も自分は聞いたことがある、私は今の習の姿勢を、私のペットになるのなら首輪を、敵になるのなら手錠をかけますという漫画に書いたと紹介し、これこそ、毛沢東の発想と習の発想であると述べました。

 王氏はまた、北京オリンピック以来、中国の経済は悪化し、2014年から中国経済の崩壊の兆しが見えてきたことから、今の中国政府はその基盤を失わないために挽回しようとしており、沈みゆく船の船長である習近平はその危機感を強く感じており、だからこそ強硬な手段や恐怖政治に走っていると述べました。そして、このような中国の暗黒社会の実態は、自由で平和な日本人にはなかなか理解できないと思う、だからこそ、自分はこのような危険な隣人がいる以上、現在の日本政府が、安保法制などを整備しようとしていることは十分理解できると述べました。

第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘氏(辣椒/漫画家)

 そして、王氏は、最後に大変面白い漫画を紹介したいと述べ、プーチンと習がキスをしている漫画を出しました。王氏は、もともとこのデザインは、ベルリンで観た、社会主義諸国の指導者がこうして抱擁したりキスしたりする姿を、かっての東西冷戦時代に風刺した漫画から来たものであること、プーチンと習近平という独裁者同士が、親密感をアピールしようとしている現状に合わせて、再び独裁者同士の連帯が生じようとしていることを表した象徴的な漫画として描いてみましたと述べ、講演を結びました。

 その後、様々な質疑応答が活発になされましたが、果たして中国共産党政府はどの段階で崩壊に向かうでしょうかという趣旨の質問に対し、かって大躍進時代、数千万人が飢餓で死んでもあの体制は崩壊しなかった。様々な矛盾が起きていることは事実だが、体制の強固さも認めなければならないと答えたこと、そして、自分の行動を勇気あることだと讃えてくれるのはうれしいが、実は今でも、夢の中で、自分が中国の秘密警察に捕らえられる恐怖を見ることがある、それほど、中国の恐怖政治は恐ろしいと述べたのが印象的でした。(三浦小太郎)

第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘氏(辣椒/漫画家)登壇した西村幸祐副会長。

第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘氏(辣椒/漫画家)司会 古川郁絵


【動画】

第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」講師 王立銘氏(ハンドルネーム「辣椒」/ 漫画家)
https://www.youtube.com/watch?v=oKQVSXAxJ8Q

2015年7月25日、東京の北沢タウンホール第二集会室で行われたアジア自由民主連帯協議会第17回講演会「漫画を通じてみる習近平体制」 講師 王立銘(辣椒/漫画家)の動画です。

※告知より
 1973年、文革時代に下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた王立銘氏は、文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学びました。2009年からネットで辛辣な風刺マンガを発表、大きな話題を呼び起こしましたが、2014年の訪日時、中国政府は王氏の作品を激しく批判、身の危険を感じ王氏は帰国を断念し日本に滞在中です。
 王氏の漫画は、現在の中国習近平体制の独裁と覇権主義をユーモアあふれる表現で見事に描き出しています。

・講師
王立銘 氏(ハンドルネーム「辣椒」/漫画家)
https://twitter.com/remonwangxt

・通訳
王戴 氏

・登壇
ペマ・ギャルポ(アジア自由民主連帯協議会 会長)
西村幸祐(アジア自由民主連帯協議会 副会長)

・司会
古川郁絵(アジア自由民主連帯協議会)

制作・協力 ラジオフリーウイグルジャパン
http://rfuj.net



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