【講演会・書き起こし】協議会第26回講演会「日本に世界史的使命は果たせるか?」

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アジア自由民主連帯協議会 第26回講演会
「日本に世界史的使命は果たせるか?」
ジャーナリスト/アジア自由民主連帯協議会副会長 西村幸祐氏

平成29年4月22日(土)

 司会(三浦) 本日、国王殿下をお迎えすることができたのは、ご存じの方がほとんどとは思いますけれども、慰安婦問題、その他の歴史問題でいま国際的に、日本の立場、そして日本の立場以上に歴史の真実を世界に分かってもらおうという運動を…?…藤木先生たちのグループのご招待によるものです。
 藤木さん一言、ご紹介ならびにご挨拶をいただければ幸いです。
 藤木 皆さん、こんにちは。テキサス親父日本事務局の藤木俊一と申します。よろしくお願いいたします。
 いま紹介をいただきましたけれども、バロチスタンを聞いたことがある方、ちょっと手を挙げてみていただけません? 3名のみですね。とにかくいま中国が?ドゥチョ、要するに拷問とか虐殺を輸出し始めたのです。その一つ目の被害者と言っていいと思います。といいますのは、中パ経済回廊(China Pakistan economic Corridor)というのがあります。簡単に言うと、パキスタンという国ができたのは1947年です。その47年の前から藩王国とかあって、そこがバロチスタンになります。いま地図を配っていただきました。見にくいかもしれませんが、ピンク色のところがもともとのバロチスタンです。黒い線のところがパキスタン。向かって左下のほうはイランに分割され、上のほうはアフガニスタンに分割されています。いま残っているのはここと、あとはこの斜線の部分はイギリスに貸しているところです。
 ここにすごくいい港が二つあります。そのうちの一つがグワダル港です。グワダル港というのは中国のでかい戦艦とか空母、あとはタンカーの大きなものが十分に付けられるすばらしい港です。ここはホルムズ海峡からすぐ出たところです。ということは、世界の石油の2~3割は全部ここを通ります。中国がこのグワダル港を抑えてしまおうとしているのです。そしてグワダル港から西キルギスタン、新疆ウイグル自治区に鉄道と高速道路とパイプラインを通すことによって、ここから輸出入をやろうというわけです。マラッカ海峡がありますけれども、マラッカ海峡を通るとすごく遠いのと、もう一つは、東シナ海問題でアメリカが封鎖したりした場合にまったく干からびてしまう。そういうことでグワダル港から陸の道路をつくって、ここからアフリカや中東に輸出しよう、もしくはヨーロッパに行こうという戦略です。まさに中国はここから全部延ばして、その名のとおり世界の中心に行こうとしております。
 その中の人たちを全部いま虐殺したりしているわけです。チベットもウイグルも一緒です。ただ問題は、それ以外のところに出てしまった。それから、まず5兆円ぐらい見せ金をパキスタン政府に渡して、ここの人たちを殺しているのです。いまのところもう3000~4000人は殺されています。拷問して殺すだけならいいのですが、それをヘリコプターに載せて、「おまえたち、次、こうなるぞ」ということでヘリコプターから死体を落としたりする。そういうことを平気でやります。そして今度はパキスタン政府の軍人が中国に行って、中国の会議で「これをやるために3000人殺しました」と言ったら、みんな拍手している。そういう連中なのです。
 地政学的に非常に中心的なところで、大変すばらしい港があります。そこにいる方たちがこちらに来られています。いま王様はイギリスにいらっしゃいます。イギリスは第35代の王様としてちゃんと認めています。彼のおじいさんの時代に無理やり強制連行され、頭にガンを突き付けられて、「サインしろ」と言われて取られたのです。一番すごいのは、ここはウラン、金、銅、天然ガス、オイルがいっぱい埋蔵されている。それも中国は欲しいわけです。
 それから、グワダル港からカシュガルまで1800マイルあるのですが、中国軍とパキスタン軍が100マイルおきに50人、50人の小隊をつくっています。だから10カ所に小隊がある。そこに飛行場をつくったりしてパイプラインを守るというわけです。パイプラインは1カ所壊されたらもうおしまいです。そのために軍をワーッと入れている。もう一つは、グワダルに入るために、港を整備したりする人間1人に対して、初めは3人の軍人を警備として付けていました。いまは 1人に対して6人です。1回軍が入ったら出ません。そこから引くことはありません。要するにソフトインベージョン、そこを全部取ってしまう計画なのです。そのためにちょっとでも反抗する人がいると、女の人はレイプされ、拷問されて殺される。男は強制収容所に入れられます。私も強制収容所に入れられた方に会ったのですが、目隠しされたまま両手両足に手錠され、一畳ぐらいのところに2年間入った。1日1食。出てきたときには頭が狂ったというのです。そういう状況でした。
 なぜそういうことをするかといいますと、パキスタンの軍に入れというわけです。「パキスタンの軍に入れば出してやるよ」と。でも彼らはウォリアーなのです。ファイターです。だからそんなのに屈しない。何人かは屈して軍に入った人はいます。軍に入ったらどこに行くか。最前線に行って殺されるわけです。どっちにしろ殺される。「最前線に行って殺されるか、拷問を受けて殺されるか、どっちにする?」という選択を迫っているわけです。ただ軍人になると逃げられる可能性があるので、軍人になる人も中にはいます。そういう状況で、人権弾圧が輸出されているということを皆さんに覚えていただきたいと思います。
 いま、私たちは日本政府に働きかけをしております。日本政府はすごい金額のODAをパキスタンに出しています。一時は核実験をして5年間ほど止まったのですが、また小泉純一郎が行って、いい顔をするために始めたのです。ODAはなんとかダムに使ったとか、外務省のリストには書いてあるでしょ。あれはうそです。1回渡してしまったら何に使われるか分かりません。それがODAなのです。何に使いなさいということは、援助する側は言えません。それが自分たちを攻撃する武器に変わってしまう。援助する側に対してはいいのだけども、結局、人権をちゃんと守れとか、そこに条件を付けてくださいと。そういうことをやってくれということで、いまいらっしゃっているわけです。
 これは、今後すごく大きな問題になります。いまヨーロッパで大きな問題になっています。国連でも大きな問題になっていますけども、日本は、マスコミが中国のこと悪く書けないのでシャットアウト。パキスタンと中国の、2国間のすばらしい経済関係ができているぐらいのことしか書いていません。でも実際のところは、その陰で非常に人が死んでいたり苦しんでいたりするわけです。いまその地域は中国人のほうが多いです。だから、何かをお願いするのも中国人にお願いしなければならない。中国語も強制で習わされるとか、もうえらいことになっています。チベットなども当然、文化侵略、言語侵略がある。昔は通貨も持っていらっしゃったのですが、通貨も全部取り上げられて、パキスタン通貨にされたとか、そういうことがいま行われています。ここにいらっしゃる方は、この話を聞かれるのはたぶん初めてです。だから、ご存じないと思います。
 彼らはいまパキスタンの中のバロチスタン州となっていますけども、彼らの心の中では全然なっていない。それから、国民投票をしたら、98%が独立したいというような状況です。ただし、日本政府が独立に何かすると内政干渉になりますので、これは絶対にできません。やれるとすれば人権問題です。「そういう虐殺はやめろ、虐殺をするのだったらお金を出さないぞというような交渉をしてください。ぜひお願いします」ということで、今回、総理大臣補佐官とか5~6人の方にお会いしてお願いしてきたわけです。
 今後は5月25日、議員会館で、?マハレフさんもそうですし、ペマさんにもお願いしてありますが、彼らの被害状況、虐殺などの現在の状況報告をお願いしたいと思っています。いまの状況がどういうふうになっているのか。どういうことが現在進行形で行われているのか、2時間ぐらいその現状報告をしていただきたいのです。そのあとに日本の識者の方にお話しいただき、Q&Aをします。翌日には?エフシーシーデーで、対中国の共同声明を出したあとに、皆さんで共同記者会見をやっていただきたいと思っていますので、ぜひ皆さんのご協力をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございます。(拍手)
 司会 いま藤木さんのほうからご報告をいただきましたけれども、ちょっと余計なことを付け加えておきます。
 藤木さんたちと国王殿下、またバロチスタンの運動との出会いは、国連そのほかでの慰安婦問題での訴えのときに、バロチスタンの方々が私たちに対して、非常に好意的な形で、ご協力をいただきたいというところから始まりました。もちろんそれだけが理由ではありません。誤解せずにお願いしたいのですが、今回この方々が訴えているのは、日本がパキスタンに対して経済支援やODAを出すならば、それは何に使ったかをはっきりさせてくれ、自分たちの弾圧には使われていないということをはっきりさせてくれということなのです。それから、やはり人権とか正義。常識の問題だと思うのですが、ODAや経済援助をするのだったら、少なくとも現地における民族の人権であるとか、自治であるとか、そういうことをきちんと認めたということが保証された上で支援をしてくれと。今回そういうことを訴えにまいりました。
 この国が独立を失ったのは事実上、1947年のことです。イギリスは、「この国はもともと独立していた国だから、自分たちが引き揚げるのだったらそのまま独立しても構わないよ」と一応口では言ったのですけど、責任はとらないのです。まあ、人の国の悪口を言ってもしょうがないのですが、そのあとパキスタンの人たちは……。
 藤木 中国の空母がもう入ってきているんです。
 司会 これはいま入港している中国の空母の写真です。
 先ほどペマ先生が説明されましたけれども、ちょっと繰り返しておきますと、現実的にはパキスタン政府は結局、そこの国王に対して非常に暴力的な形で自分たちの国に併合してしまいました。このときその国の議会や国民は、実は反対だったのです。ただ、そのときの力の関係というのはどうしてもあったのでしょう。残念ながらそれ以降ずっと弾圧が続き、この方々の自由が奪われている状態で来ています。
 藤木 いま、パキスタンの約45%がバロチスタンです。そして人口は5%しかいないのです。これでは人間が少ないからどうにもならない。だから減らしてしまおうという形なのです。
 司会 あとは核実験も実は行われています。
 藤木 そうです、そうです。
 司会 実は核実験もこの地で行われております。パキスタンはNPTに入っておりませんでした。だからいいということではないのですけど、勝手に核実験をやったわけです。それも私の考えすぎかもしれませんが、人口が少なく、かつ自分たちに反抗するような人たちの土地でやった。これはウイグルの核実験などともちょっと共通性がある話ではないかと思います。
 5月25日にイベントをやられるということです。藤木さんからいろいろ詳しく話を聞いてからですけれども、協力できる範囲で何かできることがあればと思っております。
 では国王殿下から一言、お話をいただきます。藤木さん、通訳をお願いできますでしょうか。
 西村 どうも皆さん、きょうはありがとうございます。こういう日に私は「日本に世界史的使命は果たせるか?」というタイトルを考えたのですが、その講演を行うときに国王殿下ときのう初めてお会いした。これは本当に神の思し召しとしか言いようがないなと思いました。これから国王殿下にスピーチをいただきたいと思います。
 スレマン国王 こんにちは。昨日、西村先生にお会いしました。本当にありがとうございます。私たちの状況を説明します。
皆さん、いま聴いていただいたと思いますが、私たちは800年ぐらいの歴史を持っている国です。68年間、パキスタンに抑えられています。一応土地は占拠されても、13年間は独立した国だったのですけれども、そのあとに主権まで取られてしまいました。われわれの友達である国がまた、私たちを侵攻しに来ています。イギリスがそのエリアに来て以来、一番大きな問題は中国になります。イギリスは一応、法律に基づいたことをある程度やろうとはしているのですが、中国は完全に無視しています。全体主義で、デモクラシーではありません。
 バロチスタンに関していろいろな面からの話をすると、最低でも20~30分掛かってしまいますので、短く紹介だけにします。きのう西村先生に会ったばかりなのですが、…?…ました。特に中国によって弾圧されているところがみんなこうやって集まっています。中国のおかげできょうお会いすることができたので、それに関しては中国に「ありがとうございます」と言います。西村先生にもありがとうございますと言いたいですし、皆さんにもありがとうございますと申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 西村 きょうはこういうタイトルで話そうということだったのですが、バロチスタンの国王殿下に来ていただいて、偶然で本当にびっくりしています。
 実はこのアジア自由民主連帯協議会については中国共産党が非常に注目しています。ご承知の方がいらっしゃると思いますが、2~3カ月前ですか、新華社が配信したニュースがあります。いや、環球時報だったかな、どちらかです。ですから、もしかしたらこの会場にも中国共産党の方が来ている可能性があります。どういう記事を配信したかというと、要するに、日本で非常に危険な悪だくみが進んでいると。台湾の独立運動、チベットやウイグル、そういったものを日本が支援している。非常に困った、邪悪な企画が進んでいる。そういう記事が載りました。それは私たちアジア自由民主連帯協議会のことです。中南海でそんなに評価していただくなんていうのはうれしい限りです。彼らにとって邪悪ということは、多くのアジアの人にとって非常にピースフルで幸せなこと、しかもデモクラティックなことになるわけですから、その記事を読んで私は本当に中国共産党に感謝したのです。非常にパブリシティーをやっていただいたわけです。
 新華社の人はきょう来ているかどうか分かりませんけど、最近、中国共産党のスパイは当然、いろいろなメディアに全部入り込んでいます。人民日報や新華社の特派員などはほとんどそうです。それ以外の人もいっぱいいます。とにかく何が語られているかということを、シナ大陸にいる14億の民に向かってどんどん配信してほしいという気がします。そうしたら中南海に対して怒りを持った人民たちが立ち上がってくれるかもしれないので、ぜひ報道してほしいと本当に願っています。
 きょうのお話は「日本に世界史的な使命は果たせるか?」という、大仰なタイトルを付けました。これは敗戦後72年を生きる日本人にとって非常に重いタイトルというか、あるいは現実感がないと感じる人がおそらくほとんどだと思います。なぜそうなのか。なぜリアリティーを感じないのか。しかし72年前、それ以前の日本人にとってみたら、これは全然リアリティーのないことではありません。これが72年以前の日本人の、実はリアルな感覚なのです。世界史的使命を果たすために日本人はみんな生きていたのです。ところが、いまわれわれは、この言葉は何か上っ滑りな、ただの観念的なものとしてしか捉えることができなくなっている。それはなぜなのか。
 第二次大戦の敗戦、たった一度の敗戦によって日本人は精神的に、アメリカの占領軍によってめちゃくちゃに属国化させられたからです。だから、われわれが「世界史的使命」という言葉を掲げるだけで、誇大妄想だとか、そういうふうに思う日本人が増えてしまった。もともとはそうではなかったわけです。日本を占領したGHQは、日本なんて世界史的使命を果たす必要はないのだ、われわれが果たすのだと言っているわけでしょ。だから、第二次大戦後、アメリカとソ連による世界分割が行われ、世界の秩序が決まった。その前にもブレトンウッズ体制というのができていました。ドルを中心とする金融による世界の支配構図です。同時にアメリカとソ連の核兵器による世界支配が決められたわけです。
 ところが、それはもう72年前の話ですし、29年前には冷戦も終わっています。冷戦が終わったあと、冷戦のままでいるのは日本人だけです。相変わらず属国の状態にいればいいと思っている。アメリカの植民地になっていればいいと思っている。しかし、現実はもうそうではなくなっている。アメリカ自体がトランプ大統領を生んでいるわけです。それから、あしたフランスの大統領選挙があります。おとといのテロがどういう影響を及ぼすか、まだはっきり分析はできません。非常に難しい。
 きのうも実は共同通信の記者と会いました。共同通信といっても、私は共同通信の悪口をいつもいっぱい書きます。一度雑誌社に共同通信の報道部から私を名指しで、法的に訴えるとか、脅しの手紙が来たことがあります。要するに、そういう恫喝をしながら言論統制を行っているのが共同通信です。しかし、そういう共同通信の中にもまともな記者が複数います。きのうたまたま共同通信の中でもまともな記者と会って、「今回フランスがどうなるか分からない。不確定要素が増えているが、ルペンの芽も出てきたのではないか」という話をしました。おそらく、1回目の投票で誰もが50%は取らずに決戦投票になります。その場合、どうなるか。ルペンと、あとは誰が取るかです。マクロンになるか、フィヨンになるか。もしフランスがルペン大統領誕生ということになると、EUは完全に崩壊します。そうすると、冷戦崩壊後のユニラテラリズムを経て、そして2001年のニューヨーク同時多発テロを経て多極化に向かっていった、21世紀の17年間の中で形づくられていた世界秩序がまた大きく変化する。その変化というのは基本的にいうと、第二次大戦後の世界秩序の変化にほかならないのです。
 おもしろいものを見ていただきます。今まで私の講演を聴いたことがある人はたぶんもう何回か見ていて飽きているかもしれないのですが、いま見ていただいている図は「アジアの安全保障ダイヤモンド」です。ご存じの方がいると思いますが、2012年12月27日、安倍総理大臣は、チェコのプラハに本部のある言論プラットフォーム「プロジェクトシンジケート」に「アジアの安全保障ダイヤモンド」という英文の論文を発表しています。彼が総理大臣に就任したのは12月26日ですから、就任した翌日です。その論文を絵に描くとこういうことになります。約6年前に安倍首相は何を訴えたかったのか。要するに、アジアの安全と平和を守っていくにはこのダイヤモンドが大事だと言っているのです。そして東シナ海や南シナ海を北京の内海にしてはいけない。それが論文の最初に書いてあります。ということは、この数年間の世界の動きを見れば、安倍首相の言っていたことがまったく正しいことが分かります。彼はこのとおりの外交方針で、このプランに沿ってずっと外交をやっているわけです。
 それは現在の話ですが、その論文で僕が一番注目したことがあります。日本がアジアの他国、あるいはアメリカ、オーストラリアも含めて世界の平和と安定に寄与するために、このダイヤモンドの中の安全保障をしっかりしなければいけないという論文であったのですが、実はその論文に朝鮮半島が入っていないのです。だから、7年前の12月の時点で、そのことを確か私はどこかに書きました。本にも書いたと思う。実は首相にはそのことを聞いていないのですけど、今度機会があったら直接聞こうと思います。朝鮮半島がこれに入っていないのは意図的なのかどうなのか。それを実は聞きたかった。しかし、この数年間の流れを見れば、実は入っていないというのが正解だった。アメリカの安全保障政策は完全に日本と韓国を同じ同盟国として位置付けているので、こういうダイヤモンドにはならないわけです。きょういらっしゃっている国王陛下のご出身であるバロチスタンはいまパキスタンにありますが、当然これは、インドから中東につながっていく安定の帯ということになります。大事なことは、もう7年前の時点で、東シナ海と南シナ海は北京の内海にするなと書いていたということなのです。
 もう一つ注目したのは、自衛隊という呼び名で呼ばれていますけども、日本の軍隊のこの数年間のいろいろな動きを見ていると、実際にこのダイヤモンドの中でどんどん活動を増やしているわけです。朝鮮半島情勢がどうなるかにもよるのでちょっと不確定要素もありますが、もし北朝鮮が4月下旬に核実験をしないで朝鮮半島で大きな動きがなければ、予定どおりなら5月には海上自衛隊の「いずも」が南シナ海にいきます。当然、1隻ではなく何隻かで行きます。そこでアメリカ海軍とインド海軍と共同演習も行います。そして南シナ海のあと「いずも」はテニアンに行きます。テニアンというと第二次大戦の激戦地で、米軍が取ったあと、そこからB29が日本を爆撃したわけです。そのテニアンに日本軍が行って、今度はフランスの強襲揚陸艦と共同演習をします。それだけではなくてイギリス海軍も来ます。そして日仏英3カ国での演習も行われます。
 そういうことを考えると、大東亜戦争の日米戦争というのはいったい何だったのだろうと思います。ばかばかしくなる。というのは、このダイヤモンドにしても、ちょうど大東亜戦争のときの日本軍の、最大の勢力範囲図と同じなのです。いま新しい史料がどんどん出てきてはっきりしてきていますが、ルーズベルトが無駄な戦争を日本に仕掛けて日本を戦争に追い込み、日米戦争をやることによって何十年も歴史を後退させてしまった。そして、共産主義を増やしてしまった。ソビエトを増大させてしまった。ルーズベルトがやったことははっきりしているわけですから、逆に言うと、このアジアの安全保障ダイヤモンドは72年前以上に回帰することと同じなのです。それを日米戦争ではなく、日米が協力しながら、オーストラリアも入る。そしてこれが大事なのですが、日本がイギリスを駆逐したことによって独立したインドと、日本は大きく提携するということです。それによってこの安全保障ダイヤモンドというものが、日本の外交政策や安全保障の政策の根幹としてしっかりリアリティーを持ってくるわけです。
 冒頭で、「日本に世界史的使命は果たせるか」というような言葉を聞くと、いまの日本人は大げさで誇大妄想的なイメージを持つと言いました。しかしよくよく考えてみれば、ちょうど72年以前に日本が何をしようとしていたかということとオーバーラップしているわけです。ですから、そうなったときに「日本に世界史的使命は果たせるか?」というタイトルが大言壮語ではなく、現実のものとしてしっかり自覚できるようになる。そのように考えています。具体的に言うと、まず台湾との関係の構築。それと同時に、フィリピン、ベトナム、そしてさらにインドネシアとの連携です。それがいまかなり進んでいますが、ますますその連携を深めなければいけない。
 きのう、実はシナの艦船がフィリピンの漁船に発砲しました。そういう事件が既に起きております。おそらく今後、南シナ海の緊張もいろいろな意味で高まってくると思います。実際、南シナ海の埋め立てした人工島には滑走路もできていますし、それから対艦ミサイル、対空ミサイルの設置も行われつつあります。南シナ海の制海権をもしシナが握ったとしたら、それはアジア全体にとって大変な問題になります。日本はもちろん、オイルの90%以上は南シナ海を通っています。オイルだけではありません。天然ガスもそうです。そういった資源だけではなくて、あらゆる貿易をつかさどっている船舶の航路、いわゆるシーレーンが全部南シナ海を通っているわけですから、それは大変なことになります。ですから、東シナ海も含めて先ほどのダイヤモンドの中の海について、それぞれの主権国家がそれぞれの主権をちゃんと発揮して航行の自由を行えるかどうか、それが大きなポイントになるわけです。
 朝鮮半島問題がどういう方向に行こうとも、おそらくそういう形にどんどんシフトしていくと思います。その場合、日本は実はロシアとの関係が重要になってきます。これがまた非常に厄介で、難しいのですが、地政学的に言えば当然そういうことになります。ですから、北方領土をめぐる日露の交渉を、批判されながらもいまの内閣がなんとか進めようと思っています。アジアの平和と安定を図っていく上ではやはり、プーチンとのいろいろな話の中でロシアとの提携が大事になってきますから、もっともっと関係を深めていかなければいけないわけです。
 現実的なことで言えば、たとえばおとといあたりから、ロシア軍がウラジオストックから北朝鮮との国境にかなり集結しています。どんどん軍事車両が移動しています。もう1週間ぐらい前から動いていました。あわよくばロシアだって羅津が欲しい。ウラジオストックともう一つ、不凍港が得られれば一番いいわけです。それはロシアだけではなく、実は中国共産党も狙っています。中国共産党にしてみれば、北朝鮮の港を抑えることは戦略的にものすごく重要なことになります。
 東アジアがいま本当に危険な状況になっています。きょう、たまたまおいでいただいたバロチスタンの国王殿下のお話、それから先ほどの藤木さんのお話にもあったように、本来はバロチスタンの国土にある大きな港、そこは本当に重要な港になっています。地政学的に非常に重要な場所です。だからこそパキスタンとイギリスにいいようにされてしまったという部分があるわけです。結局、イギリスは本当に無責任で、やるだけやっておいしいところだけ取って、あとは尻拭いをしないで適当にしている。その悲劇はインドとパキスタンもそうだし、まさにバロチスタンという国がその悲劇のもとになったのです。そういった70年前、80年前の世界の動きの結果生まれた第二次大戦の世界秩序がいま、大きく変化しようとしています。そのときだからこそ、こういう問題が大きくクローズアップしているわけです。
 まずわれわれが考えなければいけないのは、先ほど言いましたように台湾との関係をどうするのかということです。あまり報道されていませんけども、台湾はいま非常に危ない状況にあります。台湾の民進党はまともな民進党です。名前はこちらのほうが先です。なぜ日本でニセ民進党ができたのかよく分からない。台湾ではいま民進党が支持も得て着実に進んでいますが、やはり軍事力を強化せざるをえない。台湾人にとっては、これは誰もが一致するところです。ですから、今年軍事費が確か33%アップしました。それでももちろん全然追いつかない。追いつかないけれども、そういうことをやる。それと実はオバマ政権のときに、台湾への武器の輸出が止められていました。それはオバマと北京のコネクションがあり、台湾が思うような軍事増強ができなくなるということもあるわけです。
 しかし、それも変わりつつあります。台湾がそういう状況だからこそ、「核心的利益」という言葉で表明されているように、中国では反国家分裂法という法律ができています。要するに、侵略しているエリアの独立を絶対許さないという法律です。ですから、それによってウイグルやチベットは当然、がんじがらめにされているわけです。
 しかし、考えてもみてください。Chinaのもともとの姿はいったい何だったのか。中華民国ができたとき、孫文は非常に大きく国土を広げようと考えていました。その前の清の時代もそういうことがあったのですけれども、もともと漢民族の人たちはもっと穏やかで、当然、高度な文明を持ち、すばらしい世界を築いていたわけです。ところが、どうも近代になって、イギリスの侵略ということも非常に大きかったでしょう、そういった西欧からの侵略を押し返すときに、中華主義というものを大きく持ち出すようになってしまったのです。それは南宋の時代にできた一種の概念かもしれません。それまで漢人は、そういう侵略主義的なものはあまりなかったのです。
 おもしろい地図があるので、また見ていただきたいと思います。いま私が説明したことを一目瞭然といいますか、簡単に理解してもらえる地図があります。清の時代です。1747年、18世紀に清の皇帝がイギリス人に地図を贈っています。これはそれをもとにしてヨーロッパでつくった地図ですが、当時の支那人の、支那というものに対しての概念がこの地図に表れています。ですから当然、満州は入っていません。これは当たり前のことです。それから、台湾は一応オランダが取っていた時期もありましたが、清も持っていた。そういうこともあって台湾はここに入っています。
 特に西のラインを見れば分かるように、ウイグル、東トルキスタン、チベット、いまの南モンゴルがあります。南モンゴル自治区というのは、いま中国共産党によって支配されていますが、だいたいモンゴルを活用して、こっちをチャイナが取れと決めたのはヤルタ協定です。ヤルタの密約。ルーズベルトとスターリンが勝手に決めたことです。スターリンにしてみれば、アジアを共産化していくための足掛かりをどうするか。その密約がヤルタ会談であったのです。ですから、ヤルタ会談もそういう意味では、第二次大戦後の世界秩序の最初を形成した会談であったのですが、まさに東京裁判で問題になった「国際謀議」という言葉を使うのであれば、ヤルタ会談こそ国際謀議なのです。ヤルタ会談に出ていたスターリンとルーズベルトは戦犯として処刑されなければいけないのです。そうでしょ。モンゴルを勝手に分割したりしている。それはちょっと違う話になりますけども、とにかく1700年代の清の時代です。清の時代ですから、正確に言えば漢民族ではなく満州民族になっていったわけです。清王朝は満州民族です。しかし、当時のチャイナに対しての概念図というのはこういうものであったのです。
 いま、1700年代の地図を見てもらいました。今度は20世紀のものを見てほしいのです。これ、驚きませんか。これは1932年にアメリカで発行されたアジアの地図です。満州事変の翌年です。満州事変の翌年なのに、アメリカで発行された地図には満州がちゃんと書いてある。要するに、満州は独立国として客観的に認められるということがこれで証明されたわけです。当時も満州国はそうだったのです。そして、ここにあるのがモンゴル。現在のモンゴルはこの上半分です。先ほど説明したようにこの下半分は、いまは内モンゴル自治区という呼び名で呼ばれる南モンゴルで、中国共産党が支配しています。しかし、1932年の地図にはウイグル、東トルキスタン、チベットがこういうふうに書いてあります。
 ただ、このチベットのエリアに関してはチベット人から抗議が来ると思います。ペマ先生、たぶんそうだと思います。チベットはもっとこのへんぐらいまでチベットなのです。四川省の半分はチベットです。ですから、つい1カ月前も四川省で焼身抗議がありました。20代のチベット人が自らの体に火を放って自殺しました。それが行われた場所はチベット自治区ではありません。四川省です。四川省にチベット人が住むエリアがあり、とりもなおさず、もともとそこはチベットだったということなのです。
 少なくとも1932年の時点、もちろん第二次大戦が始まる前です。満州事変の翌年、日本がまだアメリカと戦争する前の時点で東アジアを世界的に見たら、当時の西洋人ですら客観的に見れば、東アジアはこうだったということなのです。
 もう一つ、注目してもらいたいことがあります。朝鮮半島と台湾は日本になっている。それはご承知のとおりです。フィリピンはアメリカが植民地にしていた。インドネシアはオランダの植民地。マレー、シンガポールはイギリスの植民地。ベトナムはフランスの植民地。カンボジアもフランスの植民地。ビルマ、インドは当然イギリスの植民地です。つまり、この東アジアの地図を見ると、独立しているエリアは本当に少ないわけです。タイ王国は独立していました。それと日本。チャイナも独立していました。日本は汪兆銘政権を立ててチャイナの独立を守ろうとします。それで汪兆銘は日本と協力しようと言うのですが、蒋介石は毛沢東と一緒になって抗日戦線を進めた。それが日中戦争の真実であったわけです。
 いずれにしても、1932年にこういう状況だったということは、各エリアにそれぞれの民族がいたということです。いまから9年前、北京オリンピックが行われたときに、50の民族がそれぞれの民族の夢を語る、それが中華民族の夢だということが北京オリンピックのスローガンにされましたけれども、それはまったくのまやかしでありプロパガンダであったことは明らかです。北京オリンピックの前に、チベットに対する支援の動きが世界的に大きく広がったことを思い出してください。もうあれから9年たちます。少なくとも民族がそれぞれちゃんと自立し、独立を保ち、それぞれのアイデンティティーを大切にして、自分たちで民主的な国家を運営していける。そのような形になれば一番いいわけです。だから、日本がアジアにおいて果たさなければいけない世界史的な使命を考えると、アジアの各民族がお互いの文化、アイデンティティーを認め合う。そして独立を守っていく。そういうアジアにしていくことが日本の目指す道ではないでしょうか。
 1964(昭和39)年の東京オリンピックはアジアで最初のオリンピックでした。あのときは日本が敗戦後の戦後復興と、それから国際社会への復帰というものを世界にアピールする、一大イベントであったわけです。では3年後に東京に来る次のオリンピックはいったいどういうオリンピックになるのか。今度日本は、敗戦から復活したということではなくて、独立国として新しい姿を見てほしい。やはりそれがアピールできるオリンピックにしてほしい。それと同時に、日本は独立によってアジアの平和と世界の安定に貢献していくことができる。それが日本の使命である。そういうことを訴えるようなオリンピックにしてほしい。それをコンセプトにすべきだと思います。前の東京オリンピックのとき、当時の日本人は、戦後復興と国際社会への復帰をアピールするためにやろうなんていうことを考えていたわけではありません。あと付けによって、あとで世界がそう評価したわけです。そういう意味で言えば今度の東京オリンピックも、世界中から客観的にそういう評価をされるようになれればいいと思います。
 きょうはそれに関連することを書いた本を持ってきています。本の行商もしなければいけない。10部しか持ってきていませんけど、あとで消費税なしで販売します。サインもいたしますので、ぜひお求めください。『トランプ革命で甦る日本』というタイトルが付いていまして、ケント・ギルバートさんとの対談の本です。
 ケント・ギルバートさんとの対談の本を出すというと、なんか僕がものすごくアメリカべったりの人間のように思われがちなのですが、全然そうではありません。もちろんアメリカは好きですけども、嫌いなところはいっぱいあります。なぜその本を出したかというと、彼がアメリカ人だからです。彼はアメリカの国益を代表して、アメリカの愛国者として話をする。僕は日本人として話をする。そこでは当然、意見の相違があります。その意見の相違から、じゃあ新しい日米関係ができるのか。そういうテーマが見つかればいいと思って話をしたわけです。トランプ大統領の誕生によって、何をわれわれは契機とできるのか。そういうことを書いていますので、ぜひ読んでいただければと思います。
 ただ、「トランプ革命で甦る日本」というタイトルは出版社が付けたものです。私はあまり好きではなかった。まるで他力本願みたいな、外圧によってしか日本はちゃんとできないというのはおかしいわけです。おかしいのですが、しょうがないという部分もあります。黒船が来てやはり日本は変わった。それも否定できない事実です。しかし、黒船が来たときに吉田松陰は24歳だけど、黒船に乗り込んでいったのです。考えられますか、本当に。萩にいる、一介の素浪人ではないですけど、わずか24歳ですよ。そういう吉田松陰が、黒船が来たというので、舟で行って乗り込んでしまった。実際、当時の日本人はみんなそういうことをやっていました。当時はそれができたわけです。しかし、そういったわれわれの先祖が行ったことをあまりにも忘れすぎている。なぜ忘れすぎているのか。先ほど申し上げたように、日本は戦争に負けたあと6年8カ月の占領によって、どれだけ洗脳されてしまったかということなのです。それがやはり一番大きいと思います。
 きょうのテーマとはちょっと違う話になるのですけど、きのう共同通信の記者といろいろな話をしました。たとえば、大臣や主要な政治家が靖国参拝をする。それがなぜ記事になるのか。それもおかしいのですけど、記事にしたときに必ず「中韓の反発は必至だ」という文章が付きます。その記者は本当にそう思って書いているのではありません。要するに慣用句になっていて、掛かり言葉になっているのです、本当に。「閣僚の靖国参拝」が頭にあると、最後は「中韓の反発は必至だ」と定型文になっている。それをなんの疑問も持たずに書いていく。デスクは当然それを通すわけです。なぜそういうことになっているのか。きのうそういう話をじっくりしました。彼が言うには、受験勉強でいい成績をとった人間が、結局、習ってきたとおりのことを書いてしまった。その刷り込みが前提にあるわけです。だから、6年8カ月のGHQによる洗脳がいかにいま害毒を及ぼしているかということなのです。
 お時間がなくて、ここでバロチスタンの国王殿下はご退席されるそうです。
 スレマン国王 皆さん、時間をいただきまして、ありがとうございます。またお会いしたいと思います。何度もお会いしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
(スレマン国王退席)
 西村 きょうは飛び入りのゲストをお招きしました。ただ、われわれのアジア自由民主連帯協議会にしてみたら新しいテーマです。なおかついま、5月に国会でそういう集まりを持とうとしているわけですから、われわれが協力できるところは協力していかなければいけないと思っています。そういう意味で非常にいい機会だったと思います。やっと日本の政府も、民主党政権のあと5~6年たって、少しはまともなものの見方ができる政治家が増えてきましたので、実際そういう動きもいま進んでいるわけです。
 先ほど国王殿下もおっしゃっていたように、バロチスタンという国がどういう状況になっているか、日本人はほとんど知りません。ただしその点、欧米では比較的知られています。それと何かと評判の悪いアムネスティ・インターナショナルにも、実はバロチスタンのほうからちゃんと抗議をしています。ですから、アメリカのシンクタンクもバロチスタンのことは非常に注目しています。当然、インド洋の要諦に位置しているからです。それと今後、パキスタンがどうなっていくかということ。それは中東の安全保障に全部つながってきます。アフガニスタンもそうです。そういう意味で非常に重要な国だと思います。ですから私たちとしては今後も、バロチスタンの国王殿下を含め彼らとの連携を考えていきたいと思っています。
 台湾が大事だという話もしました。つい最近、一つの象徴的な出来事がありました。ご承知の方も多いでしょうけど、台南の烏山頭ダムをつくった八田與一さんの銅像がテロ事件に遭い、その首を切り取られるという事件が起きました。それは台湾では大騒ぎになっています。犯人は自白したというか、フェイスブックで「自分でやった」と言っています。やった本人というのは統一派の過激な政治団体の人間でした。統一派というのは要するに、中国共産党と台湾を一緒にしようという運動を行っているグループです。しかしそういうグループがあるということはつまり、台湾とチャイナとは別々のものだということにほかならない。だから、わざわざ統一派というグループがあるわけです。
 東京オリンピックでは台湾を「チャイニーズタイペイ」ではなく「台湾」という名前で呼ぶべきだという声がいま、日本の民間人からいろいろ挙がってきています。これからそういう運動も始まると思います。実際に始まっていますが、いろいろなレベルでそういうのが始まると思います。スポーツの分野とはいえ、チャイニーズタイペイという名前で出るのはおかしい。それはいまの中華帝国主義の覇権主義というものを、そのまま是認することになります。そういう意味で、台湾が非常に重要だというのはそういう事件が起きたからなおさらなのです。いま、香港と一緒に中国共産党は目を向けています。台湾海峡がどうなるかというのは当然、彼らの戦略上、非常に大事なことになります。南シナ海につながるところが台湾海峡であるから、なおさらであるわけです。
 もう一つ大事なことは、台湾と日本は具体的にどうしたらいいか、国会議員たちが政治レベルで本当に詰めていかなければいけないということです。やっと大使館に相当する場所に「日本」という名前が付くようになりました。そういうレベルで動いているわけですが、アメリカの場合はもう既に海兵隊が、台湾のアメリカ大使館の警護を行うことになっています。アメリカ大使館ではないですけど、それに相当する機関があります。それとアメリカが中華人民共和国と国交を結んで台湾との国交を絶ったあと、その冷戦構造できちんとアメリカが果たす役割を考え、台湾との関係を保つために、台湾関係法という法律がつくられました。ですから実質的な同盟と言ってもいいわけです。日本はまさにこれから台湾との間で、そういう日台の台湾関係法というものをつくっていかなければいけないと思います。それを通して、ベトナムやフィリピン、そしてインドネシアと連携していく。それがまず第一歩ではないかと思っているわけです。
 今までアジア自由民主連帯協議会では、チベット問題、ウイグル問題、南モンゴル問題を大きなテーマとして取り上げてきました。多くの方が参加されていますし、彼らと一緒に運動もやってきています。それは当然重要なことで従来どおり進めていきますが、私の考えでは、それプラス台湾の問題も大きく取り上げていく。そして台湾から南アジアに抜けていく道。それは結局、インドに至る道になるわけですが、そこを日本がいかに安定させていけるか。そういうことが大きなテーマになると考えています。
 実はまだまだお話ししたいことがいっぱいあるのですが、時間もないのでいったん終わりにして、質疑応答に入りたいと思います。
 きょうはご清聴どうもありがとうございました。(拍手)

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