第7回 アジアの民主化を促進する東京集会報告


(先に公開いたしました上記の動画も、この記事に再掲いたします)。

 10月14日、アジアの民主化を促進する東京集会が、拓殖大学文京キャンパス教室にて開催されました。まず冒頭に、ペマ・ギャルポ会長より、地味な形ではあるけれどこれまでこの集会を継続してきたこと、しかし残念ながら、アジアの民主化という目的において、いまだに様々な問題が出現し、ロヒンギャ難民の出現など、状況はむしろ悪化している面すらあること、だからこそ、運動の持続こそが必要なのだという意志を確認しました。

 そして、司会の古川広報局長より、参議院議員の山田宏先生からの応援メッセージが紹介されたのち、基調講演として、天安門事件でも闘った中国民主運動家、ウーアールカイシ氏が紹介されました。

劉暁波先生の中国における強い影響とその精神
 登壇したウーアールカイシ氏はまず、中国の獄中で、充分な治療を受けることもなく亡くなった劉暁波氏について触れ、まだ、彼が亡くなったことの実感がない、そして、まだ彼の精神は生き続けている、世界もまた、彼のことを忘れてはいないと述べました。

 そして、劉氏は自分の師範学校における先生でもあったことに触れ、劉先生は、80年代の中国では、大変高い評価を受けていて先生に接することはたいへんな名誉だった、そして、先生の思想は私たちの世代に深い影響を与えたこと、しかし、先生の自由な精神は、中国政府にとっては恐ろしいものであり、一時劉先生はコロンビア大学の客員教授としてアメリカに渡ったが、1989年、北京で民主化運動が始まると、直ちに北京に戻り、天安門広場で学生たちを指導したと、その知識人としての勇気を讃えました。

 しかし、劉先生にお会いした私は、安全なアメリカからこの北京に来て、大丈夫なのでしょうかと尋ねました、劉先生の答えた言葉はただ一つ、「責任」でした。自由な世界に生きているものは、自由を奪われている人たちのために動く「責任」も「義務」もある。力のある人、地位のある人は、それを持たない人たちよりもさらに大きな社会的責任がある。だからこそ戻ってきたということでした。

搾取される農民、さらにその下に置かれる「少数民族」
 さらにウーアールカイシ氏は、中国の憲法では、人間はみな平等だと書かれているが、法律にはまた、人間を階級に分けている、農民は農民階級、全く別の階級であるとされている、天安門から30年、中国は確かに経済的に豊かな社会を作ったけれど、それは農民への圧迫、民衆への圧迫の中造られた繁栄だと述べました。

 もう一つ、農民同様、地位の低い存在は、いわゆる中国の言う「少数民族」であり、それはウイグル・チベット・モンゴル人などで、彼等もまた、合法的に差別され、地位が低く置かれているとウーアールカイシ氏は述べ、中国は完全な階級社会であることを強調しました。

 現在の習近平体制が、中国の腐敗を無くそうと努力していると報道されていますし、それに期待を持っているような欧米の論調もある、しかし、それは中国が階級社会であることに無知な人の反応であり、中国の漢民族以外の民族がその社会的権利をほとんど奪われていること、その一つ上の存在の階級が農民階級であり、彼らは社会の根本を支え、また経済的発展の基礎であるにもかかわらず、彼らは法律的に弾圧され、収奪されているとウーアールカイシ氏は指摘しました。

 さらに、その農民階級の上に存在するのは、中国の中産階級であって、確かに、農民階級の生産する富を収奪する存在ではあるけれど、同時に、そのさらに上の階級、支配階級からはやはり搾取されてコントロールされている、その支配階級の中でも様々な存在があるが、その頂点を極めるのが太子党であると述べました。そして、彼らが中国革命の世代で独占されていると述べました。

「腐敗撲滅」の意味と、中国以外の腐敗との違い
 習近平の言う腐敗撲滅とは、彼の権力を脅かしたり、彼に逆らうような勢力を取り締まったりするために、腐敗防止という名前を使っているに過ぎない、一番上のコントロール階層が、下のすべての階級を搾取していること、このシステムこそが腐敗の根本原因だが、もちろん習近平はそれに手を付けるどころか、そのコントロール体制の富を守ることしか考えていないと、ウーアールカイシ氏は批判しました。

 民主主義の国々、例えば日本や台湾などにおける腐敗とは、与えられた権利を利用して不正に利権を得ることが腐敗である、例えばわいろのやりとりなど、しかし、中国における腐敗の外見とは、法律に基づいて人々から利益を奪うこと、例えば、中国の官僚が得ている財産は、すべて法により保護された搾取のシステムだとウーアールカイシ氏は述べました。国営企業の資産は国家のものですが、それを中国の支配層は民営化する時、まずはその企業を太子党の直系の親戚を企業の指導層に入れて、民営化の過程で、大量の株と資産を、ほとんど自分たちのものに(しかも合法的に)してしまうような例があるとウーアールカイシ氏は述べました。

 ウーアールカイシ氏はさらに、中国では、五鬼運搬という言葉があり、それがこの国有財産の共産党幹部による私有化であり、同時に習近平の言う腐敗防止とは、自分たち支配層以外の人間が、このシステムを利用することを禁じ、許さないためのものに過ぎないと述べ、太子党を中心とする最上層のグループは、富の搾取以外何ものも行っていないと批判しました。そして、これは、先に述べた劉暁波先生の思想と全く正反対のものであると指摘しました。

 しかし、自分たち中国民主化運動家は、このような状況下でも、理想を失わず戦っていること、中国のいろいろな法律の中で、確かに少ないけれども、腐敗や、権力による搾取や横暴から人民を守るために使える条文を最大限活用して努力していることを述べました。

戦い続ける
 また、中国農民層も、毎年、何千万の農民が、搾取に抗議し自分たちの権利を守るために、北京などに抗議と訴えの陳情を繰り返しており、彼らは、逮捕や、不法な拘束の危険にも恐れず戦い続けていると述べました。

 そして、もっとも虐げられている「少数民族」たちも、チベット人は、焼身抗議という形でその人権侵害を訴えているとウーアールカイシ氏は述べた後、そして、欧米はイスラム社会に偏見を持っていることもあり、私たちウイグル人の抵抗は、中国の悪宣伝もあり、テロリストと決めつけられていると述べました。

 多くの民主化運動の仲間ですら、ウイグル人たちの運動はテロリズムに陥るのではないか、そのような運動を支持しますかと私に尋ねることがある、とウーアールカイシ氏は述べたうえで、「もし、罪のない人を殺し、恐怖で人々を支配することがテロリズムであるというのならば、本当のテロリズムは、この中華人民共和国建国以来、中国政府が、ウイグル、チベット、南モンゴルに行ってきた政策こそが、そのテロリズム政策ではないでしょうか」と訴えたいと述べ、講演を結びました。


 第二部では、アジア各民族の訴えとして、ベトナムのアウン・ミン・ユン氏、ウイグルのイリハム・マハムティ氏、南モンゴルのオルホノド・ダイチン氏、中国民主化運動の王戴氏が登壇、ペマ・ギャルポ会長の司会のもと、各民族が現状を報告し訴えました。

<ベトナム>
 ユン氏は、ベトナムの現状について、いま日本人の多くは、観光や経済交流には熱心でも、共産党の独裁政権であるという政治の本質、人権の弾圧が今でも続いていることを十分に知らないのではと指摘し、政府批判の言論は国内では全く許されず、しかも、ベトナムからドイツに亡命した運動家が、拉致されたという事件を紹介しました(下記リンク先参照)
http://viettan.sakura.ne.jp/?p=210
 
 そして、ベトナム共産党の一部には、「共産党」という名前のイメージが悪いので「労働党」という名前にしようという提案が出ている、しかし、ユン氏は、名前は問題ではない、共産党であっても労働党であっても、一党独裁であり共産主義政権である以上、自分たちは戦い続けると宣言しました。

<ウイグル>
 イリハム・マハムティ氏は、最近のウイグルにおいて、完全にウイグル語が追放されたこと、学校において「国語」という名前のもと、ウイグル人の子供に徹底して中国語教育がされている、今やウイグル語を無くそうとしている、同時に、ウイグル人と漢人との結婚が推奨されていることなど、同化政策がますます強制されていることを述べました。

 さらに、移動、交通の自由さえウイグルでは規制されており、街を出て働きに行く自由も、また、外の街で働いているウイグル人が故郷の街に帰ることすら規制が厳しく、また、ウイグル人が、農民の農具から、料理用のナイフなどもふくめて、すべてバーコードがつけられ、街中で果物を売るための包丁も、鉄の鎖で鍵をかけて自由に持ち歩けないようにしてないと使ってはならないというほどの規制があること、もちろんコーランも禁止されていることを指摘しました。

 また、ウイグル人は、一度渡されたパスポートがもう一度すべて回収されてチェックされ、外国、特にトルコなどイスラム圏に渡った記録のあるウイグル人が、刑務所や学習所に入れられている、中国政府は、今や、すべてのウイグル人を恐怖で支配しようとしていると述べました。

<中国民主化運動>
 中国民主化運動家の王戴氏は、世界の平和のために、また、独裁政権を無くすためには、一番大切なのは中国の民主化であること、北朝鮮をはじめ、平和に脅威を与えている独裁政権の背後はほぼすべて中国政府が支えていることを指摘しました。そして、日本をはじめ、民主国家は中国政府の独裁や人権弾圧に対して、もう少し厳しく批判しなければならないと述べました。

 そして、中国共産党の思想の中には。大漢民族は世界を支配する資格がある、などという、まさに中華思想の典型で、しかも歴史的にも間違いである思想がはびこっており、これは、世界の平和に挑戦する思想で、これは中国共産党そのものを解体しない限り、世界の平和はないと強調しました。

<南モンゴル>
 南モンゴルのダイチン氏は、ウーアールカイシ氏の講演の通り、確かに法律上は、中国の各民族は自治権を持つと書いてあるけれども、それは全く実現したことはない、この70年間にわたって、南モンゴルの現状は悪化したことはあっても、改善されたことはないと述べました。

 そして、南モンゴルでは、600万人の民族がいる、これを中国は「少数民族」と呼ぶが、それは、中国人はモンゴル人を「少数」、マイノリティの存在であり、支配の対象としか考えず、開発のためと称して大量の中国移民が送り込まれ、政治的、経済的、文化的に南モンゴル人はすべてを失っていると、中国政府の政策を批判しました。その上で、中国人は、文化大革命の時代、モンゴル人に対して、モンゴル人であるからと言って、逮捕、拷問、虐殺を行ったが、その本質は未だに全く変わっていないと述べました。

 そして、中国語が話せない限り、モンゴルの土地に住んでいる自分たちには仕事がない、昔からの遊牧生活も伝統も守れない。いま中国は、世界が皆一緒に栄えましょうという「一帯一路」政策を主張しているものの、これは、あえて言えば世界中が自分たち南モンゴルのように中国の支配下に置かれることだ、今こそ、自由の価値を知る人たちは、連帯して、中国の独裁体制に立ち向かわなければならないと述べました。

第二回アジア自由民主貢献賞、劉暁波氏の妻、劉霞氏に
 その後、会場との質問を交えて様々な議論がなされたのち、第二回アジア自由民主貢献賞が、劉暁波氏の妻、劉霞氏に授与されることが発表され、賞状が読み上げられました。
 
 
劉霞 様

貴女はノーベル平和賞受賞者である劉暁波氏と共に、中国の民主化と真の平和国家への道を訴え続けました。いまも中国政府は貴女を軟禁状態においていますが、世界中の人々は貴女の自由を求め政府の弾圧に抗議しています。私たちは第2回アジア自由民主貢献賞を貴女に贈呈し、その勇気と信念を称えます。

2017年10月14日、アジアの民主化を促進する東京集会
一般社団法人アジア自由民主連帯協議会

Dear Liu Xia

With the Nobel Peace Prize laureate Liu Xiaobo, you have continued to advocate the democratization of China and the course it should take to be a peaceful country in the true sense. While the Chinese government still places you under house arrest, people across the world are seeking your freedom and protesting against the government’s oppression. In honor of your courage and belief, we award you the Second Asian Freedom and Democracy Contribution Prize.

October 14, 2017
Tokyo Assembly to Promote the Democratization of Asia
Asian Solidarity Council for Freedom and Democracy

最後に、集会決議が司会の古川広報局長より発表され、会場の拍手により承認、第7回アジアの民主化を促進する東京集会は閉会いたしました。(文責 三浦小太郎)



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