声明文:国連人種差別撤廃条約に対する中華人民共和国における違反状況(日本語)

 先の記事で紹介いたしました、当協議会の声明文「国連人種差別撤廃条約に対する中華人民共和国における違反状況」の日本語版です。


国連人種差別撤廃条約に対する中華人民共和国における違反状況

 日本国の一般社団法人、アジア自由民主連帯協議会は、世界における人種差別の根絶を目指し、中華人民共和国におけるウイグル、南モンゴル、チベット各民族に対する人種差別の状況を以下のように報告します。
 なお、この報告は、日本国のNPO法人団体日本ウイグル協会、海外モンゴル人の連帯組織であるクリルタイ(世界モンゴル会議)日本支部との連携により提出するものです。


アジア自由民主連帯協議会 代表 ペマ・ギャルポ
日本ウイグル協会  会長 イリハム・マハムティ
南モンゴルクリルタイ 幹事長 オルホドノ・ダイチン

               
「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」は、世界に存在する人種差別、及び人種的優越又は憎悪に基づく政府の政策(アパルトヘイト、隔離又は分離の政策等)の危険性を指摘し、あらゆる人種差別を速やかに撤廃するために必要なすべての措置をとり「いかなる形態の人種隔離及び人種差別もない国際社会を建設する」ことが定められている。
しかし、国連加盟国であり安保理事会構成国である中華人民共和国においては、国内において、中国人(漢民族)による実質的なウイグル、モンゴル、チベット人に対する人種差別的政策が実地され、深刻なアパルトヘイト、そして民族文化への破壊、さらには民族絶滅政策が実施されている状況にある。
特に、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」第5条「締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等であるという権利を保障することを約束する。」の基本理念と、下記の各項目は深刻な侵害を受けている。
(a)裁判所その他のすべての裁判及び審判を行う機関の前での平等な取扱いについての権利
(b)暴力又は傷害(公務員によって加えられるものであるかいかなる個人、集団又は団体によって加えられるものであるかを問わない。)に対する身体の安全及び国家による保護についての権利
(c)政治的権利、特に普通かつ平等の選挙権に基づく選挙に投票及び立候補によって参加し、国政及びすべての段階における政治に参与し並びに公務に平等に携わる権利
(d)他の市民的権利、特に、
(i)国境内における移動及び居住の自由についての権利
(ii)いずれの国(自国を含む。)からも離れ及び自国に戻る権利
(中略)
(vii)思想、良心及び宗教の自由についての権利
(viii)意見及び表現の自由についての権利
(ix)平和的な集会及び結社の自由についての権利
(e)経済的、社会的及び文化的権利、特に(中略)
(v)教育及び訓練についての権利
(vi)文化的な活動への平等な参加についての権利

A、中華人民共和国新疆ウイグル自治区における人種差別の現状

(1)ウイグル語の使用の禁止;これは民族文化の根本である言語を奪い、中国語を優先させる人種差別的政策である)

 中国政府は、各民族自治区における「バイリンガル教育」(各民族の言語と中国語の双方を教育すること)を唱えているが、現実には、クラス指導は主に中国語で行われている。
2017年6月、Hotan県の教育関係者は、中学校レベルで学校でウイグル語を使用することを禁止した。学校の公的活動と教育管理業務におけるウイグル語の使用と同様に、学校の敷地内のウイグル語の標識も禁止されている。
2017年3月、中国政府は、新疆自治区全体で合計4,387のバイリンガル幼稚園を建設または拡張し、2017年に10,000人のバイリンガル教師を雇用、幼少時における「バイリンガル教育」を強化すると発表した。
この措置は、ウイグル人のすべての子供を、幼児期より「バイリンガル教育」の名のもとに事実上中国語を強制することであり、事実上の単一言語教育である。
中華人民共和国憲法第4条は、少数民族が自らの言語を使用することの自由を守り、地域民族自治法第37条は、自治区の学校は民族を主な指導手段として用いるべきだと述べている。各民族が自らの言語で教育を受ける権利は国際的にも承認されている。中国政府のこのような政策は民族の言語を奪うものであり、中国現憲法から見ても国際的な観点からも人種差別的な政策とみなすべきである。

(2).海外のウイグル人留学生への強制帰国

(d)他の市民的権利、特に、
(i)国境内における移動及び居住の自由についての権利
(ii)いずれの国(自国を含む。)からも離れ及び自国に戻る権利
に対し、以下のような甚大な違反行為と人種差別政策が実施されている。

2017年、中国政府は、エジプトにおけるウイグル人留学生に、中国に戻るように命じた。その際、中国当局がこれらの学生の家族を拘束し、貴国を強制的に求めているという報告がある。 2017年8月には、中国の返還要求に従わなかった学生たちが、エジプトで100人以上が拘禁された。
中国政府はエジプトだけではなく、全世界に留学や居住しているウイグル人に対し、中国への帰国を要求している。日本においても、パスポートやビザの更新を求めるウイグル人が、必要もないのに中国に帰国して手続きをするよう命じられているケースがある。これはウイグル人たちの居住地選択の自由が奪われていることであり、在外中国人には同様の要求がなされていないことからも人種差別的な政策である。
 同時に、中国国内のウイグル人に対しては海外旅行の制限と、パスポートの管理・没収が行われている。新疆ウイグル自治区の住民は、「集団管理」(HRW、2016年)のためにパスポートを当局に提出し、中国人(漢人)よりも厳格な規制やセキュリテイが課せられ、海外渡航が厳しく禁じられている。

(3)再教育センターという名の政治犯収容所(人種隔離政策並びに強制洗脳)

最も深刻な人種差別政策は、新疆自治区(東トルキスタン)における「再教育」センター施設におけるウイグル人の強制収容である。その全貌は現段階では明らかではないが、100万人のウイグル人が収容されているという報道すらなされている。
(2)にて世界各国から強制的に帰国を強いられたウイグル人は自動的にこのセンターに収容され、中国共産党の政治・思想教育を強要されている。国際的な人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、新疆ウイグル自治区の不法な「政治教育」センターで拘束された人々をすぐに解放し、閉鎖するよう中国政府に要請している。
このような強制的、かつ理由なき逮捕・収用は、中華人民共和国憲法にも違反している。同憲法第37条では、すべての逮捕は検察官、国家訴追、裁判所のいずれかで承認された場合にのみ限られるが、いずれの機関もこのセンターへの拘留に関与していない。
この強制的な収容によって、親子・夫婦の離別、保護を受けるべき少年少女、また高齢者の孤立などの深刻な事態が生じており、収容された人々が行方不明になるケースも相次いでいる。

(3).強制労働と若いウイグル人女性の中国本土への移転

新疆ウイグル自治区においては、以下の条約に違反する重大な人種差別的な労働条件が強制されている。

(i)労働、職業の自由な選択、公正かつ良好な労働条件、
   失業に対する保護、同一の労働についての同一報酬
   及び公正かつ良好な報酬についての権利

新疆ウイグル自治区、特にその農村部において、ウイグル語ではハサールと呼ばれる中華人民共和国政府の強制労働プログラムが実施されている。このプログラムは、非参加者には厳格な罰金を課され、公共事業に1日当たり4時間から11時間の無償労働を課し、ウイグル人の労働権を大幅に侵害している。ハサールプログラムは、ウイグル人が支払われるべき仕事を排除するだけでなく、農業労働を自分たちで実行することを妨げる。
中国政府は、低賃金の工場で働くため、若いウイグル人女性を中国東部に引き続き移送している。この政策の下で、何千人ものウイグル人女性が家族から撤去され、自宅から数千マイル以下の労働条件に置かれている。

B、中華人民共和国内モンゴル自治区(南モンゴル)における人種差別の状況

(1)内モンゴル自治区における教育内容の偏向

 内モンゴル自治区において使用されているすべての教科書は、中国政府の編纂した「全国統一教科書」が使用されており、その内容においてはモンゴルの歴史はほとんど触れられていない。モンゴル人が自らの民族の歴史や文化、伝統を学ぶ機会が奪われているのは、明確な人種差別的政策である(これは中華人民共和国民族区域自治法第21条他にも反する)。 
 さらに、新疆ウイグル自治区バヤンゴル・モンゴル自治州においてモンゴル語で授業を行っていた最後の学校であるバヤンゴル第三中高一貫校で今週初めモンゴル語の使用が禁じられたことが、2017年12月18日のSNS・WeChatにて現地のモンゴル人の投稿により報告されている。
 
(2)モンゴルの生活伝統である牧畜の否定

 中華人民共和国体制下、内モンゴル自治区の60%以上が砂漠化していると言われ、モンゴルの環境状態は非常に悪化している。中華人民共和国政府は、この砂漠化の理由をモンゴル人の伝統的生活様式である放牧によるものとして、「放牧禁止」の政策を強制している。
しかし、砂漠化の原因は、年間平均降水量がわずか300ミリ弱という自然条件の内モンゴル自治区において、中国政府が建国以来本来不可能な農耕を強制し、また近年では、資源の乱開発や企業による廃棄物などが砂漠化の主たる原因である。
さらに中国政府は、モンゴル遊牧民を、漢民族が密集している都市部に移住させる「生態移民」政策を採用しており、、結果として、モンゴル人の土地や資源が奪われ、モンゴル人学校は廃校され、道徳や価値観、伝統文化が失われていく。
同時に、1950年代から今日に至るまで、150万ともされる中国人(漢民族)が流入、現在は内モンゴルの人口比率は80%が中国人、モンゴル人はわずかの17%の少数民族になってしまった。そして、中国人とモンゴル人の間では様々な衝突、そして多数派の中国人による人種差別だけではなく、人種憎悪、暴力事件が行われ、かつ、モンゴル人の正統な抗議が裁判などでも反映されない事態が起きている。
以下の事例は、人種差別撤廃条約の書き部分への明確な違反行為である。
(a)裁判所その他のすべての裁判及び審判を行う機関の前での平等な取扱いについての権利
(b)暴力又は傷害(公務員によって加えられるものであるかいかなる個人、集団又は団体によって加えられるものであるかを問わない。)に対する身体の安全及び国家による保護についての権利

1、メルゲン氏の殺害
 2011年5月10日、内モンゴル自治区シリンゴル盟のウジュムチン右旗にて、モンゴル人メルゲン氏が殺害された。中国人の炭鉱開発に抗議し牧草地を守ろうとしていたメルゲン氏は、約40名のモンゴル牧畜民と共に約100人の中国人の炭鉱の乱開発、草原を破壊するトラックによる、無秩序な運転に抗議していたが、石炭運搬業者のトラックにより轢死され、しかも運転手の中国人は「俺のトラックにはきちんと保険を掛けてある、臭いモンゴル人の命など4万元にもならねえ」という人種憎悪の発言を行っている。
 この事件の背後には、中国が内モンゴル自治区の豊富な地下資源を強奪する方針が政府により定められていることがある。2010年には、内モンゴル自治区が「年間石炭産出量が単独で7億トンを超えた最初の省行政地区」であることが新華社通信により報じられ、中国の石炭会社が全国から訪れた。全土で固有の地を守り牧畜生活を維持しようとするモンゴル人と中国人の間に衝突が起こり、警察は中国人や企業の側に立っている。

2、中国人による土地の強奪の実例
 通寮市のザルード旗の牧畜地に「ホーリン・ゴル」という企業が建設され、家畜や牧畜民の健康に被害を与えたため、約200名あまりの牧畜民が旗政府に訴えたが、彼らは警官隊に包囲され、警官隊は、空に向けて発砲して牧畜民を恐怖に陥れたのち10数名を不当逮捕している。同様の抗議と、発砲による威嚇は他の箇所でも多発している。
 赤峰市アルホルチン旗の反・オーラ国有林場は、2003年に牧畜民の土地を違法に占拠したものである。牧畜民は土地の強奪と牧畜の禁止に抗議したが、2009年には林業局の役人である中国人が、自動車で羊の群れをひき殺したり、また、抗議する主婦オヨン・チチゲ(35歳)をひき殺した事件も起きている。しかし、地方裁判所は「普通の交通事故」として処置した。
 内モンゴル自治区委員会は、2014年、全治区内に、牧畜民の中古住宅や旧住宅を全面的に改装し、新築とする計画を発表した。しかし、これは現実には、自治区委員会はごく一部の資金しか提供せず、ほとんどは牧畜民の負担である。高額な改築費を払えない牧畜民の事情を考慮せず、自治区地方政府は、家を強制的に破壊した。
 ほかにも多数報告されている事例から、中国政府が内モンゴル自治区においてモンゴル人の生活権、財産権、そして人権を貶め、事実上政治的支配者である中国人共産党官僚や中国人企業の支配下におく人種差別政策を行っていることは明らかである。なお、アメリカに本部を置く南モンゴル人権情報センターの最新報告によれば、現在も多数の抗議行動がモンゴル人によって継続中であるが、中国政府は事態を改善しようとしていない。

(3)フーチンフ氏への弾圧と不当な拘留
 フーチンフ氏(1954~2016)は、1981年段階で、内モンゴル自治区に大量の中国人を移住させる中国政府の計画に抗議、その後も、モンゴル文化・教育の保全を主張した結果、中国政府の逮捕、監禁、拷問を受けている。
 フーチンフ氏が主張したのは、モンゴル人の子供たちが充分なモンゴル語教育を受ける権利、モンゴル文化の保全、中国政府によるモンゴル伝統文化の破壊への抗議だった。彼女は逮捕後乳がんを発症、病苦に苦しんだが、2000年代にはウエブ組織にて、貧困なモンゴル人学生への支援活動を続けたが「民族主義的色彩が強い」という理由から、中国当局によって弾圧を受け、ウエブ運営者は逮捕された。これはモンゴル学生を支援しモンゴル文化の教育・保全を行おうとする行為自体が禁止される、人種差別的弾圧である。
 フーチンフ氏は生涯を通じて病苦と戦いつつモンゴル人の人権と文化保全のために努力し続けたが、逮捕と、自宅における監視が繰り返され、2011年には激しい暴力を受け、9月末には彼女がひどく傷つけられた顔の写真が流出した。監視中の警官が暴力をふるったものとされる。しかし、暴行を行った警官が処罰されたか否かは明らかではない。2016年、監視下にて、アメリカに留学する息子との自由な連絡もままならぬまま彼女は他界した。

C、中華人民共和国内チベット自治区における人種差別の状況

1980年代、チベットでも一時期は、いわゆる「改革開放」政策と、パンチェン・ラマ10世の努力により、チベット人の母語となるチベット語による教育も認められ、チベット人の仏教に対する信仰も認められた。
しかし、1990年代に入ると、中国政府は、再びチベット人及びチベット文化や言語に対する弾圧を強め、特に21世紀に入ってから、いわゆる「西部大開発」と言う名の下で、今度、政治的及び軍事的、並びに経済的及び人口的な圧力によりチベットに弾圧が加えられ、チベットの言語、文化が破壊されていくようになる。
 この現状は下記条約への完全な違反行為である。

締約国は、状況により正当とされる場合には、特定の人種の集団又はこれに属する個人に対し人権及び基本的自由の十分かつ平等な享有を保障するため、社会的、経済的、文化的その他の分野において、当該人種の集団又は個人の適切な発展及び保護を確保するための特別かつ具体的な措置をとる。

1、チベット文化伝統への破壊とそれに対する抗議

1980年にパンチェン・ラマ10世が自ら名誉校長となって建立した青海民族師範専門大学は、1989年のパンチェン・ラマ10世の死と共に中共政府の政策によって危機に直面し、2004年頃には事実上廃校され、学生や教員などは中国人のみが通う青海師範大学に編入された。これはチベットに対する文化的弾圧の典型例である。
 2008年3月10日、チベット・ラサでは例年のように中共政府への抗議デモが始まりました。14日には抗議デモは暴動へと発展したため、中共政府の武力による弾圧を受け、多くの死者が出た事件となる。
 2009年2月27日、チベット・カムのキルティ僧院では、タベーと言う20歳の僧侶が自ら自分の身体にガソリンをかぶって火をつけ「ダライ・ラマの帰還」「チベットの自由」を叫びながら中国政府に抗議した。しかし、中国の警察は、消化による人命救助ではなく、彼に発砲し、負傷したタペーを連行した。この焼身抗議の直接的な原因は、その二日前の25日に例年のように行われていたチベットのモンラムと言う新年祈禱祭を行おうとしたらところ、中共政府によって厳しく規制されたためである。その後も、チベットにおける言論、信仰、そして精神的指導者であるダライ・ラマの期間を求める焼身抗議は現在まで継続しているが、中国政府は耳を貸そうとせず、監視カメラをチベット全土に配置するなど、強権による監視体制を強めている。
2010年、チベット各地で、。多くの住民は焼身抗議を行った同胞たちを悼むため、新年の祝賀を控える予定だった。しかし、中国政府は、一般住民やチベット人の政府公務員たちに対して、お正月を祝福するよう強要し、それを「楽しげに祝福させる」ために、新しいチベット衣装、お金、爆竹などを配布、その有様を中国のテレビは、「農奴から解放されて豊かなになったチベットで、人々は喜びに満ちた新年を迎えた」とナレーションを付けて放送した。このような政治宣伝はチベット人を侮辱する行為であり、人種差別と偏見を助長、謝ったメッセージを拡大させるものである。
 2009年から今月の7日までに152人のチベット人が中共政府の圧政に対して焼身抗議し、そのほとんどが命を落としている。中国政府は、この焼身抗議を「テロ」と呼んで非難しているが、抗議者たちは誰にも危害を加えることなくただ非暴力の抗議行動を行っているだけである。

2、チベットにおけるチベット語教育の事実上の禁止と中国語の強制 

 2010年には、中国政府は、アムド地方において、チベット人が通う保育園から高校までにおけるすべての教育施設で使う第一言語を、母語のチベット語ではなく、中国語にする政策方針を発表した。
それに対して、チベット・アムド各地で数千人規模に及ぶ小学生、中学生、高校生及び大学生が「民族平等」「言論自由」などのスローガンを挙げて抗議行動を行い、青海省の教育庁長が当該政策の「延期」を発表したが、2012年の新学期で生徒たちに配られた教科書はすべて中国語に変わった教科書だった。学生たちはさらに抗議したが、参加者は逮捕され、また、デモを止めなかった理由で教師たちまでも罰せられ、現在もチベット人の小中高校生の行動は厳しく統制されている。一般チベット市民も、語のチベット語とチベット文化の保護を訴えると、「民族分裂主義者」或いは「国家転覆罪」として逮捕・投獄の危険にさらされる。これはチベット人が自らの民族言語を学ぶ権利を与えない人種差別的政策である。
同時に、中国政府は、チベットの農村地帯や遊牧地帯における保育園や小学校を廃止して、それを都会の保育園や小学校に統合、そこでは、ウイグルなどの場合と同じく「バイリンガル教育」の名の下で、実際には中国人の教職員を増やして、中国語を中心とする教育を進めている。自宅から遠い都会の教育施設では事実上子供たちが親から離れて学校の寄宿生活をすることになり、家庭におけるチベットの伝統の教育と文化を受けることができない。これは事実上の親子の離散であり、中国によるチベット人の隔離・管理教育である。
また、一般チベット人の人名表記、地名表記、動植物の名前さえ中国語の漢字の表記で統一することが進められル、事実上の植民地政策が進行している。
 3月9日、中国人権研究会の代表・扎洛は、国連人権理事会第37回大会において、チベット語の現状について、「中国の憲法と民族地域の自治法は、各民族は自分の民族言語と文字を使用する権利を保障している」、「チベットではチベット語が公用語となっている」、「チベット語と普通語(中国語)は同等の効力を有する」、「チベット語は、チベット人の主要言語となっている」と発言しているが、これは以上のような現実を全く無視した発言である。
 以上のように「チベット問題」の最大の原因は、中共政府によるチベットの植民地支配であり、この植民地支配によって我がチベット人はいま民族的危機に直面している。

国連人種差別撤廃委員会への結論と提言

1、中華人民共和国政府の、ウイグル、モンゴル、チベット各民族に対する政策は、民族固有の言語、生活様式、文化伝統を否定し、中国共産党の価値観を強要する人種差別的なものである。
2、同時に、その政策は各民族に対する暴力的弾圧、強制収容、理由なき逮捕、拷問などの迫害を伴っており、被害民族の生命をも奪うジェノサイドを示唆するものである。
3、国連常任理事国の一つである中華人民共和国が、このような人種差別と迫害・民族ジェノサイドの可能性があることは、国連の存在意義に関わる重要な問題であり、国連は,人種差別撤廃と人権擁護の視点から、中華人民共和国の上記各民族自治区に対し、中立的、国際的な人権査察団の派遣と調査を行うべきである。
4、また、中華人民共和国における中国人(漢民族)と、上記各民族との間に存在する差別や植民地支配に近い上下関係を考える時、かって、白人と黒人の間に明確な差別構造が存在した南アフリカに対し国際社会が経済制裁をもって平和的に人種隔離・差別政策を解消させたのと同様の措置が、中華人民共和国に対し行われるべきである。


アジア自由民主連帯協議会
Asian Solidarity Council for Freedom and Democracy
会長 ペマ・ギャルポ
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メールアドレス;: info@freeasia2011.org
住所 日本国東京都八王子市片倉町1077-15

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