2月4日緊急集会報告 どうみる、どうなる金正恩体制 : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会

NEWS :2月4日緊急集会報告(上) どうみる、どうなる金正恩体制
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 2月4日午後1時から、大阪の薬業年金会館にて緊急集会、「どうみる、どうなる金正恩体制」が、約150名の参加者のもと開催されました。今日と明日の二回に分けて報告いたします。

 まず守る会関西支部長の窪田和夫が開会宣言を行った後、石丸次郎氏の提供による、北朝鮮国内映像が上映されました。明らかに飢餓におかされつつある末端の北朝鮮兵士、すでに上層部への忠誠心を失いつつある民衆の姿には、北朝鮮の現体制はまさに恐怖と暴力によって民衆を支配していることが如実に読み取れました。また、ただ一人トランプ占いをするだけでむなしく時をつぶしつつ、すでに朝鮮語も日本語もおぼつかなくなっている老いた日本人妻の姿は何度見ても衝撃的です。

 続いて萩原遼守る会名誉代表が報告。そして、金正恩体制を予測する上で最低限必要なのは、金正日がどのような大罪を犯してきたかを観ることだと述べました。それは、アメリカや世界に核戦争危機を挑発して食糧支援を取り付けようとしたこと、民衆300万人を、ほとんど意図的な形で食糧配給を止めて核開発などを優先し餓死に追いやったこと、そして、父親の金日成が最晩年に行おうとした改革開放や核開発停止を、自らの地位を危うくするものとして、父親を死に追いやってでも先軍政治を貫こうとしたことを挙げました。

 萩原氏は、東欧の崩壊を観た金正日は、民衆の政府への不満による体制転覆を恐れて国防委員会・戒厳司令部のもとに、反米・反日・反韓のスローガンで民衆の不満を自分の都合の良い方向に誘導し、同時に、核開発で軍部の支持を取り付け、また核兵器開発と先軍政治の導入は民衆をさらに恐怖と畏怖により体制に縛り付けたと述べました。

 また、金日成は少なくとも晩年、自国の経済的崩壊を恐れ、1994年7月6日の経済部門責任幹部協議会での発言では、電力不足が何よりも問題であり、重油発電を行うよう指示、原子力発電は建設に時間がかかりすぎるとして否定していることを萩原氏は指摘。少なくとも、国家経済が破たんする中で核開発のみを優先する金正日とは全く違う立場をとっていたこと、このある種の改革開放政策を全否定して金施肥政権は出来上がっている以上、金正恩体制も基本的にはこの路線上にあると、簡単に改革に向かうことは難しいと述べました。ただ同時に、金正日の死が拉致や核問題解決のための大きなチャンスであることは事実であり、日本はこのチャンスを逃してはならないと述べました。

 続いて拉致被害者家族の有本ご夫妻が発言。夫の有本明弘さんは、北朝鮮はもちろんとんでもない国だが、自国民を拉致されても何ら手を打たなかった日本も国として相当問題があると述べ、金丸・田辺訪朝時、既に拉致を知っていたにもかかわらず日本の訪朝団は何ら有効な手を打たないばかりか国交正常化の推進に前のめりとなった、自分たち夫婦は最も早い段階から娘、恵子の拉致を政府、政治家に訴えてきたが、あまり騒がないほうがよい、といった他人事のような対応しかなかったと、まず日本政府の従来の姿勢を批判しました。

 続いて政治家以上に問題があるのは日本のマスコミではないかと思うと述べ、証拠もないのに外務省情報だと嘘をついて被害者はすでに死んでいると述べた田原総一郎氏を相手取って裁判をしたことを報告。さらに、この裁判は勝ったものの、田原氏は最後まで、外務省との間のインタビューに対しては嘘を突き通している、裁判は裁判として、別の形で、田原氏もまた政府外務省も何らかの形で責任を取ってもらわねばならないと述べました。

 続いて脱北者の南新一氏が発言しましたが、この内容については、2月11日にニュースで紹介した「金正日の死 脱北者は」をご一読いただきたいと思います。
次に日本人妻の斉藤博子さんが登壇、日本人妻はほぼ全員、3年たったら里帰りができると聞いて北朝鮮に夫と渡ってきたが、みな、北朝鮮でひたすら年を取ってきてしまった。今生き残っている人は、一度でいいから日本に来て、自分たちの故郷や先祖のお墓に触れてみたいと言っている、危険な脱北ではなく、老いた日本人妻が自由で安全に日本に来れるようにしてほしいと述べました。

 そして、東日本大震災に触れ、災害地の方々は本当に大変だと思います、と述べた上で、ただ、被災地の方々には日本国内からも世界からも支援が届く、北朝鮮にいる拉致被害者や日本人妻は何の支援も届かない、この気の毒な日本人の被害者を何とか助けるために力を貸してくださいと述べました。(三浦)


NEWS :2月4日緊急集会報告(下)どうみる どうなる金正恩体制
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 続いて第2部となり、産経新聞編集委員の久保田るり子氏が登壇、「金一族支配の北朝鮮 その真実の姿と犯罪性」と題して講演を行いました。

 久保田氏はまず、金正恩体制が「われわれに変化を期待するな」と明確に述べたことを挙げ、この体制は金正日の遺訓を引き継ぐとともに金正日の犯罪性をも引き継ぐものだと指摘しました。そして、自分の長い期間の北朝鮮取材を通じて、北朝鮮の大地とは、人権侵害と餓死による、数百万人の人々の悲しみと憎しみの大地であると述べました。

 そして、金正日は自らの権力の維持のために、人民を奴隷化し、あまりにもたくさんの人間を殺してきたこと、その体制の象徴が政治犯収容所であると述べました。そして、収容所で生まれた青年シンドンヒョクの証言などを例に、人間をただの道具のように扱い、核開発の危険な作業も囚人を使うなどの犯罪性を指摘しました。

 そして、収容所体験者で韓国に亡命した人たちも、自分たちの現実を多くの人に知ってほしくて訴えているのに、みな、あまりに極端な話と思うのか受け入れてくれないことが多い、そして、収容所内で生まれ育った自分には、幸せとか愛とかがなんなのか、今でも実はよくわからない、家族とか自由ということの意味もよくわからない、映画や文学に接しても、どう反応していいかどうかわからないのだという証言を紹介し、収容所が人間精神を破壊していくことを指摘しました。

 そして、金日成・金正日体制は対外的にも、朝鮮戦争で300万人を殺害、9万人を拉致し、また帰国事業でも9万人をだまして北朝鮮に連れてきたこと、また、対南工作のために日本人を含む諸国民の拉致を行ってきたと述べました。これは「必要な人間は調達してくる」というテロ組織の性格であり、金一族は建国以来半世紀に及ぶ犯罪を行ってきたと、これまでの犯罪性を批判するとともに、今後、3代目世襲権力は形骸化していくだろうが、改革開放などへの見通しは未だ不鮮明であり、今後の北朝鮮に対しては、安易な予想よりも、この犯罪国家としての本質を見据えていくことが原則だと述べました。

 続いて東京新聞の五味洋治氏が登壇、金正男とのインタビューを出版した経緯について触れ、実はあの本を世に出すかどうかは最後まで迷った、金正男は出版はしないでほしい、もし出版されれば絶縁せざるを得ないという意味のことを伝えており、周囲での反対の声は強かった。しかし、この時点で彼の発言を世に出すことがどうしても必要と思い、発表に踏み切ったと述べました。

 そして本の内容について、拉致などでは特に新しい情報があるわけではないが、金正男というまさに権力の中枢に一時はいた人物がどう今の北朝鮮を見ているか、それを通じて北朝鮮について様々なことを考える資料としては有意義だと思うと述べました。さらに、これは間接的に聞いただけですが、と断ったうえで、金正男自身もあの本について、自分のことを正直に書いてくれている、特にほめてもいないし不当に批判してもいない公正な本だと評価してくれていると語ったようです、と述べ、今後、またチャンスがあれば、彼のメッセージを再び世に出していきたいと述べました。

 ただし、金正男が中国の後押しを受けて政権の座に就く可能性に関しては、少なくとも本人は今の段階ではその積極的な意思はないようだと述べました。そして金正恩体制については、本人も全く軍事にも政治経済にも知識も経験もないのだから、当分は取り巻きの政治体制となるだろうと、今はまだ大きな変化は起きにくいと述べました。

 最期に全体の討論に移りましたが、そこで五味氏は、拉致問題はもちろん重要だが、現状で一気に事態を打開し解決するのは難しい、拉致問題の解決のためにも、まずは日本人妻問題など、できるところからやっていくことで突破口をあけるしかないのではないか、制裁は必要だが同時に交渉で具体的に進めることも大切だと述べました。

 また久保田氏は、今現在、中井ひろし議員などが五味氏の言うように、日本人妻、よど号などの問題で北朝鮮と交渉していることは事実だが、これは下手をすると二元外交になる恐れがある、交渉をするならするで政府は一元化してきちんと交渉をすべきであって、議員外交の形で交渉が続くのは危険であり、なによりも、北朝鮮に対する厳しい原則、犯罪国家と接しているのだという原則を忘れてはならないと述べました。

 また、萩原遼氏は、迂遠に見えても、まず自分としては朝鮮学校の無償化反対、補助金反対を地道に訴えていきたい、そのためには政治的な立場が異なる政治家の方とも、この問題の一点ならば協力していく、そして同時に、北朝鮮政府は今お金が欲しいはずであり、日本との交渉を望んでいる、アメリカ、中国の思惑などに操られず、日本が独自の外交を行って拉致問題、核問題を解決するチャンスだと述べました。集会は約3時間半でしたが、皆様最後まで熱心に耳を傾けてくださったと思います。(三浦)



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