ラビア・カーディル総裁、最近ウイグルで起きている一連の事件に関する張春賢の発言に反論 : 世界ウイグル会議

RFA 2012.03.07 | 翻訳・掲載:2012.03.14
http://www.rfa.org/uyghur/xewerler/tepsili_xewer/uyghur-weqeler-03072012163607.html

 ウイグル自治区トップの張春賢共産党委員会書記やヌル・べクリ主席らは、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代)に合わせて記者団の質問に応じ、ウイグル情勢について語った。RFAでは、彼らの発言についての意見を聞くために、世界ウイグル会議のラビア・カーディル総裁を取材した。

記者:張春賢は本日、北京でウイグル情勢について記者団の質問に答えています。彼は、最近ウイグルで起きている一連の事件について「これは民族問題でもなく、宗教問題でもなく、人類に対するテロや暴力行為である」と主張していますが、この主張をどう受け止めますか。

ラビアさん:彼が任命されてからの2年間で、私たちウイグル人が張春賢の政策や実行手段と、王楽泉~王震らの政策や実行手段が実質的に何一つ変わらないことを良く実感しました。彼の時代になってからもウイグルの人々に対する好き勝手な射殺や逮捕が後を絶たなかったし、ウイグルの資源の略奪が更に加速・拡大していきました。ウイグル人の置かれている状況が全く改善されませんでした。その結果として、非常に自然なことではありますが、中国政府に対する抵抗運動も収まることはなかった。この事実こそが、東トルキスタン問題が民族問題であることを明白に証明しています。ウイグルの問題は、ウイグル人が自分の運命を自分で決めるという当たり前の権利を取り戻さない限り、権力者や政治スローガンを変えるだけで解決できる問題ではありません。

記者:張春賢は、当局が言う所謂「暴カテロ分子」らに仁政を施すことはできないと主張していますが、彼のこの主張は新しいものですか。

ラビアさん:張春賢を含む中国の権力者たちは、中国の軍隊、警察隊、ひいては中国人移民の一般市民らが実行したウイグル人を標的にした襲撃、無差別殺人、大量虐殺行為らを一度も「人類に対する攻撃」と言わなかった。それどころか、「いけない行為」とも言わなかった。そんな彼らが、今度はカシュガルやカルギリク県などで中国人移民らが襲撃されたら「人類に対する攻撃」と騒いでいます。要は、彼らにとって中国人移民らの命だけが大切な命で、ウイグル人の命は命ではないのです。これこそが、中国当局がウイグル人を人間扱いにしていないことの証明であります。中国当局は、これまでもウイグル人に対して仁政を施してこなかったし、これからも仁政を施してくれると私たちウイグル人は期待していません。だからこそ、私たちは東トルキスタン問題を国際問題と主張し、国際社会に助けを求めているわけです。私はこの機会に、アメリカや欧州各国政府、トルコ系及びイスラム系諸国政府に対して、張春賢のこの言動を注視し、ウイグル情勢の緊張性を読み取って行動するよう呼びかけます。

記者:張春賢は、「我々は、奴らの凶器が無実の一般市民に向けられることを決して許さない」と発言し、最近起きた一連の事件が一般市民を標的にした襲撃であると主張していました。これについてどう思いますか。

ラビアさん:先ず、はっきりと言っておきますが、一般市民が襲撃されたとの報道はあくまでも中国当局の一方的な発表にすぎません。最近の一連の事件で本当に中国人移民の一般市民らが襲撃され死傷したかどうかについて、独立した調査によって確認されたわけではありません。もし、これらの事件で中国人移民の一般市民らが襲撃され死傷したことが事実であったとしても、その責任は中国政府にあります。私たちは、2009年7月に起きたウルムチ大虐殺以来、ウイグルの人々を暴力に訴えるしか選択肢がないような状況に責めるのをやめるよう、正義なき且つ不公平な政策の強行によりウイグル人と中国人移民らがの間の民族対立を更に悪化させるようなことをやめるよう中国政府に繰り返し呼びかけてきました。しかし、中国政府は我々の呼びかけを全く無視してきました。今まで起きた及び今後起こり得る如何なる悲惨な事件の責任も間違いなく中国政府にあります。

記者:北京での記者会見では張春賢もヌル・べクリもウイグルで起きている抵抗運動の背景に海外勢力があると主張していますが、この主張が根拠のあるものだと思いますか。

ラビアさん:これは、張春賢とヌル・べクリが現地の安定維持の実現において無能無策状態に陥っていることと、彼らが東トルキスタン国民の意思を代表できないことを自ら認めていることの証であります。つまり、現地のウイグル人らが目の前の指導者張春賢とヌル・べクリの指示に従うのではなく遠く離れた海外勢力の指示に従う道を選んだのであれば、それは、張春賢とヌル・べクリの政策の失敗の証拠であります。

記者:張春賢の一連の発言について、ほかにコメントがあればどうぞ。

ラビアさん:張春賢は人々に民主的で、自由で、調和のとれた社会の実現を約束したそうです。張春賢は、彼自身が民主的な方法で誕生した権力者ではないことを忘れてはいけません。彼自身が北京政府の任命によって権力の座に座ったことは全世界が知っている事実です。彼が北京政府によってウイグルの最高権力者に任命される直前までに、ウイグルの人々が彼が何者かを知るどころか、彼の名前さえ聞いたことがなかった。自らが民主的な方法で選ばれていない権力者が民主的な社会を実現するのはどう考えても無理です。


ラビア・カーディル総裁、最近ウイグルで起きている一連の事件に関する張春賢の発言に反論
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