北ミサイル発射に制裁を-家族会・救う会、記者会見と声明 : 救う会全国協議会

 家族会・救う会は、北朝鮮のミサイル発射に伴い記者会見を行い、声明を発表した。記者会見の概要と声明の全文は以下の通り。

 参加者は、家族会から飯塚繁雄代表、横田滋・早紀江前代表夫妻、増元照明事務局長が、救う会から西岡力会長、平田隆太郎事務局長、山岸丈良事務局次長が参加した。


■北ミサイル発射に制裁を-家族会・救う会、記者会見と声明

飯塚繁雄(田口八重子さん兄)
 北朝鮮の蛮行に対し、日本が適切な対応をしてこなかったことが残念。北朝鮮は、発射中止の要請をするだけでは痛くも痒くもないという態度を見せた。万一発射したら厳しい制裁を発動すると示さないと、北朝鮮は、何をやっても怖くないとの馬鹿にした態度を続けてきた。

 また、ミサイル・核問題の蔭にかくれ、拉致問題が表に出てこないのも残念だ。今、北朝鮮は拉致問題が頭にない状況だと思う。それでは困る。各国も日本も制裁を課すと思うが、拉致問題で怒っている姿勢を示してほしい。北朝鮮は自分が困らないと変わらないので強い制裁が必要だ。

 拉致問題については絶対にあきらめないという気持ちと世論で政府を後押ししていきたい。

横田滋(横田めぐみさん父)
 北朝鮮が3月16日にミサイル発射を発表したことに対し、世界が自制の意見を述べている。藤村官房長官は、「弾道ミサイル技術を利用したすべての発射を禁止するとした国連安保理決議1874に明確に違反している」と述べた。

 しかし、北朝鮮は世界の意見を無視して発射を強行し、結果は失敗だった。成功、失敗に関わらず制裁すべきだと思う。自民党拉致問題特命委員会は制裁で政府に申し入れを行い、政府も今日会議をしているという。

 北朝鮮は発射を止めたら、圧力に屈したとして国内の信頼を失い、打ったら制裁されるので、どちらも自分を苦しめることになる。制裁は当然だ。

 北朝鮮は次に核実験をやるだろう。国際社会の一員として生きていくことが、国民のためでもある。北朝鮮は方針の変更をしてほしい。

横田早紀江(横田めぐみさん母)
 北朝鮮は何度も繰り返してこういうことをしてきた。私たちはそれを見てきている。そして北朝鮮は当り前のようにやる。多くの人が、そのような国の人権問題を考えてくれるようになった。もう少し知恵が必要だと思う。私たちは、「返してください」と言っているだけが、色々な問題が絡んでくるのでどうしていいのか分からない。

 政治家等の人たちが向こうと、よい話し合いを作る場を作らないと解決しない。
そのためにも制裁は絶対にゆるめないこと、そして追加制裁が必要だ。一日も早
く子どもたちが自由になってほしい。一日も早く元気な姿を見られるようにしな
いと、長くなるほど可能性が少なくなる。

増元照明(増元るみ子さん弟)
 北朝鮮の蛮行は許し難いが、許している世界の姿勢も問題。核・ミサイル開発を許したり、支援している。特に、北朝鮮を支援した中国、日本、韓国が反省し、北に猛省をうながすべきだ。今、北朝鮮は核実験をしようとしている。時間の余裕を与えると、開発が進むことは明らかだ。それができなくすることが、拉致被害者を取戻す最良の道だ。

西岡力(救う会会長)
 昨年12月に金正日が死亡し金正恩政権になった。政策の変化が起こりうるかもと期待した。金正恩の頭の中は分からないが、先軍政治路線は変わらず、民生を無視して核・ミサイル開発や韓国への政治工作を続けている。また、拉致については、「においもしない」と開き直っている。変化がないことが今回明白になった。それならば行動対行動の原則で、対話と圧力の内、圧力をかけるしかない。

 この現実を前にして、拉致問題について怒りの声を上げざるをえない。政権が危機に瀕するようにさせない限り、膠着状況を打破できない。

※質疑応答では、「金正恩がすぐに変わることは難しい。自分の判断を出すには今年夏以降までかかるのではないか」、「初めて失敗を国内報道したのは事実だが、昔と違って国内に情報が入るようになり、嘘をついても外部情報を統制できなくなっている」、「この3か月に朝鮮総連は11億円を集めるよう指示されている。その金は核・ミサイルを開発する39号室に行く。金の流れを止めないと、日本は国際社会に制裁しろと言える立場ではなくなる」、「初めの頃、拉致は疑いの目で見られた。しかし、金正日が拉致を認めてからは変わった。人は本当のことを知ると助けたい気持ちが高まる」等の発言があった。

 ※平田事務局長から、ミサイル1発の製造費が8.5億ドル、発射場建設費が4億ドル。この金で北朝鮮の1年分の食糧を中国から輸入することができる。今後、ミサイルを発射して餓死者が出たということになれば大変なことになる、との発言があった。


北朝鮮のミサイル発射に抗議し、政府に制裁強化を求める家族会・救う会声明

 本日、北朝鮮は、弾道ミサイルの発射実験を行った。彼らは人工衛星打ち上げで宇宙の平和利用だと開き直っているが、衛星発射ロケットと弾道ミサイルは同じものである。数分で爆発して実験は失敗に終わったが、それでも発射したことにはかわりなく国連安保理事会決議の明白な違反である。

 北朝鮮は、わが国をはじめとする世界各国から無辜の民を拉致し、未だに抑留し続けている犯罪国家である。また、自国民の自由を奪い、飢えで苦しめている非人道独裁国家である。ミサイル発射に必要な数億ドルの資金は、飢えで苦しむ自国の人民の民生のために使うべきだ。

 私たち拉致被害者救出運動に取り組んでいる家族会・救う会は、今回の北朝鮮の暴挙に強く抗議する。合わせて、金正日が拉致を認め、謝罪してから10年間、被害者を家族のもとに返さない北朝鮮の非道きわまりない対応にも改めて強く抗議する。

 政府はミサイル発射が強行された場合、追加制裁発動を考えていると伝えられている。そのことは当然だが、私たちは拉致問題がこの間全く進展していないことは、ミサイル発射とは別の次元で許し難い蛮行と考えている。したがって、追加制裁がなされるなら、拉致問題を理由としてきちんと明記してなされるべきだと強く求める。

 拉致問題での不誠実な対応とミサイル発射蛮行を理由に、北朝鮮への送金と現金持ちだしの全面禁止、すべての在日朝鮮人への北朝鮮を渡航先とする再入国不許可という実効性のある制裁を発動して、わが国の意思を示すべきだと強く訴えたい。

平成24年4月13日
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚 繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 西岡 力


★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.04.13)
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