中国で民主化を求める学生らの運動が武力で鎮圧された天安門事件から23年となった4日夜、香港では、過去最大規模の追悼集会が開かれ、中国政府に対し、人権状況の改善などを訴えました。
香港の中心部で4日夜に開かれた集会は、参加者が、主催者の発表で18万人、警察の発表で8万5000人と、これまでで最も多くなりました。
集会では、参加者たちがろうそくを手に、天安門事件で犠牲になった学生や市民を追悼するとともに、中国政府に対し、一部の学生らによる「暴乱」だとする評価を見直すよう訴えました。
また、この秋に予定される中国の最高指導部の交代を前に、中国政府が民主化運動の活動家らに対する締め付けを強めているとして、人権状況の改善を強く求めました。香港では、中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏が、軟禁されていた自宅を抜け出し、アメリカに渡ったことが大きく報道され、中国の人権状況に対する関心が高まっています。
集会に参加した男性は「香港でも中国政府の締め付けが厳しくなっていると感じる」と話し、中国への返還から15年となる香港で、中国政府の影響力の増大に市民が懸念を強めていることをうかがわせていました。
台湾でも追悼集会
台湾でも4日夜、追悼集会が行われ、中国の民主化運動への支援などを呼びかけました。
追悼集会は台湾の大学生たちのグループが呼びかけたもので、台北中心部の広場にはおよそ600人の若者が集まりました。
集会では最初に、事件当時の映像がスクリーンで映し出されたあと、参加者全員がろうそくに火をともして、犠牲となった学生や市民に黙とうをささげました。
そして、中国政府に対して、事件は一部の学生らによる「暴乱」だったとする評価の見直しや、人権状況の改善などを求めるとともに、中国の民主化運動を支援していこうと呼びかけました。
集会では、当時の学生運動の指導者の1人で、現在、台湾に住むウアルカイシ氏も演説し、民主化運動の意義を訴えていました。
台湾では、中国との経済的な結びつきが年々強まる一方で、民主化や人権を巡る意識の隔たりが大きいことへの警戒感も根強く、集会を主催したグループでは「台湾の人々が人権問題を重視していることを中国政府にもっと知ってもらいたい」などと話していました。
天安門事件23年 香港で集会 : NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120605/k10015605781000.html