ラビア・カーディル 新疆における民族的嫌悪を扇動している北京 : ウォール・ストリート・ジャーナル

The Wall Street Journal/ラビア・カーディル 2012.07.03 | 翻訳掲載:2012.07.06
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304211804577502141575598740.html?mod=googlenews_wsj

新疆における民族的嫌悪を扇動している北京
ウルムチにおいての騒乱から三年が経過、中国は支配を強め続けている

アメリカ合衆国の人々にとって七月の第一週は建国の父たちがうち立てた独立と民主政治のための闘争を祝賀する好機である。しかし、わが同胞、中国の西北部新疆地域に主として集住するウイグル人にとって、今週末は私たちがいまだ自由を勝ち取ることの出来ていないということを、容赦なく思い起こさせるものとなっている。

2009年7月5日、区都ウルムチにおいての当初は平和的だったウイグル人の抗議活動は大虐殺へと陥った。暴力の後、中国の共産党当局は197人の人々が殺されたと推定した。現場においての私の複数の情報源は、独立した人権団体の調査と同様に、犠牲者数はもっと多いことを示唆している、しかし正確な数は中共当局が新疆地域からの情報の流出を厳しく制限していることにより決定するのが不可能となっている。

ウルムチでの衝突から後の日々、何千人もの男性や少年が、その中には12歳の年少者もいたが、一斉検挙された。ヒューマンライツウォッチは43人の男性、若年者が跡形もなく失踪したと報告している。繰り返す、真実の数字はより高い。

ウルムチの流血事件から二つの決定的な疑問が浮かび上がる。この暴力を誰が、何が引き起こしたのか?、そしてこのことの長期的に意味するものは何だったのか。第一の疑問については、中国現体制は既製の回答を用意している。私、ラビア・カーディルにウイグル人抗議活動者の怒りを扇動した責任があったというものである。

それは明白な虚偽である。その暴力の責任は中国当局の諸政策と共にある。北京は故意に私たちの地域のウイグル人アイデンティティに暴行を加える。それは数百万の漢民族中国人をその地域に移住させることを強いると同時に、ウイグル人を中国の他の地域へ動かすことを強要することによってであり、そこでは労働力不足が正当化理由となっている。

警察がウルムチの路上での平和的な抗議活動者たちに襲撃をかけた数日前、2人のウイグル人移住労働者が韶関市の玩具工場で殺害された。同市は南部中国の製造工業の集積地である。漢族女性がウイグル人男性にレイプされた、という非難が飛び交った後のことであった。これらの非難は誤りであることがわかったが、殺人はすでに行われてしまった。その殺人事件の知らせがウルムチに届いた途端に、人々の怒りは暴力に転化し、ウイグル人と漢族中国人両方が犠牲者になってしまった。

2009年7月以来、ウイグル人が東トルキスタンとして知る新疆地区は、ウイグル人を絶え間なく弾圧する中国の準武装警察によって占領されている第二のチベットとなってしまっている。人権侵害が充満し、言論の自由への抑圧は強化され、外部の情報へのアクセスは厳しく制限されている。

ウルムチでの衝突の三周年にさらに中国が現行政策を強化するであろうという懸念の理由がある。抗議活動を予想し、中国当局はすでに地方からの労働者がウルムチに残ることを可能にする一時的居住許可を取り消している。連日、中国の警察がウイグル人の学校や他の宗教的また文化的施設を家宅捜索している新しい報告が届く。

北京はキリスト教徒や法輪功信奉者を迫害するが如く、ウイグル人の大多数が忠実であるイスラム教を取り除こうとしている。先月、12歳の少年が中国が不法と考えるイスラム学校において殺害された。傷に塩をすり込むように、中国はこのような差別がイスラム過激主義と戦うために必要だと弁解する。

中国の不誠実のさらなる証拠が必要だとするなら、昨年7月初めの新疆の状況が「良好かつ安定している」という宣言を思い出してみるとよい。宣言の2週間後にホータン市で警察が抗議活動者に発砲した後、14人の人々が殺害された。ウイグル人の怒りの根本的な原因が中国がこの地域を永久に支配するという決意である理由により、安定が銃口によってのみ保持されるということになるのである。

何年にもわたり、私、ラビア・カーディルはウイグル人の自由のために運動し続けてきた。私はまたウイグル人社会を発展また進歩させる為に働いてきた。私が中国の監獄に6年間収監される直前、私の主要なプロジェクトは、私がそうしてきた様にウイグル人女性に彼女ら自身の事業を経営させることを支援することに関与していた。私は経験により、外部世界が中国の残虐な支配を制限するために道徳的および戦略的な必要性があることを理解したときをおいてのみ、ウイグル人が民主政治を味わえると思うに至っている。

先般の外交問題評議会報告が観察するように、ウイグル人は「物騒な界隈」に生きている。それにもかかわらず、宗教的また観念論的不寛容に傷つけられた領域においても、私たちは寛容と法の支配によって統治された社会を生ずるために、良い位置にある。

悲しむべきことに、世界の民主社会は逆の方向に動いている。昨年、ニュージーランドが中国との軍事協力強化を宣言した、そしてイスラエルは中国に新軍事技術を供給し続けている。

そのようなことがあっても、ウイグル人の正当な抵抗運動を妨げることは出来ない。しかし私たちが公平な政治解決のための抵抗を超えて動いたとするなら、世界は中国が部外者に対してその支配の継続が必要であることを説得するために民族的そして宗教的な嫌悪を扇動し続けるであろうということを理解する必要がある。私たちウイグル人は問う、私たちが求めている民主的制度を持つ諸国は、いつまでこの言葉に騙され続けるのかと。


新疆における民族的嫌悪を扇動している北京:ウルムチにおいての騒乱から三年が経過、中国は支配を強め続けている : 世界ウイグル会議
http://www.uyghurcongress.org/jp/?p=4587

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