中国で脱北者救援活動中に拘束された人権運動家の金永煥氏、逮捕から114日ぶり韓国へ : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会

金永煥氏拘束:逮捕から114日ぶり韓国へ
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/07/21/2012072100395.html
朝鮮日報 2012/07/21 08:35

金永煥氏「北朝鮮の民主化に向けた努力は今後も続ける」
中国公安部長の来韓が釈放の転機に

人権運動家の金永煥(キム・ヨンファン)氏(49)一行が20日午後7時30分ごろ、中国で逮捕されてから114日ぶりに仁川空港を通じて帰国した。金氏たちは中国で脱北者救出活動を行っていた今年3月、現地の公安(警察)によって逮捕され、これまで身柄を拘束されていた。同氏と共に逮捕されたユ・ジェギル氏(44)、カン・シンサム氏(42)、イ・サンヨン氏(32)も同日、韓国に戻った。

外交通商部(省に相当)当局者はこの日「中国側は19日、金氏たちを強制退去させる方針を韓国政府に伝えてきた。政府は20日午後5時15分ごろ、瀋陽空港で金氏一行の引き渡しを受けた」と説明した。仁川空港で金氏は「われわれを救出するために努力してくださった政府と国民の皆さん、そして仲間に感謝したい」「北朝鮮の民主化に向けた努力は、われわれがすべき使命だ。そのため今後も続けていかなければならない」などとコメントした。金氏一行は健康診断のほか、情報当局から逮捕の経緯などについて調査を受けた後、直ちに自宅に戻った。

一部では金氏の釈放について「在韓日本大使館に火炎瓶を投げつけ、現在裁判が進められている中国人リュ容疑者の取り扱いと関係しているのではないか」との見方もあったが、これについて外交通商部の当局者は「現在裁判が行われているリュ容疑者を釈放することは不可能だ」と明言した。もしリュ被告が控訴せず判決が確定すれば、強制退去も可能になる。

金氏は帰国と同時に行われた会見で「北朝鮮の民主化に向けた努力」について言及したが、これは同氏が逮捕された理由が、中国国内での脱北者への支援および救出活動にあったことを示唆している。

ソウルの外交筋は「韓中両国が接触した際、中国側は金氏釈放の条件として、脱北者を連れ出そうとする韓国国内の北朝鮮人権団体の活動を規制するよう求めてきた」「金氏は日々の生活に苦しむ北朝鮮住民を積極的に救出しようとして、身柄を拘束されたと認識している」などと説明した。

逮捕直後、中国は韓国政府からの釈放要求に沈黙を守り、金氏には国家への反逆やスパイ行為を処罰する国家安全危害罪を適用した。これに対して韓国も金氏の問題を国連に訴える動きを示したため、問題が外交摩擦につながることを懸念する声も出ていた。

その過程で北朝鮮もこの問題に口をはさもうとした。北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋は「金氏の釈放には北朝鮮が最も憤慨しているはずだ」と述べた。

北朝鮮は最近「韓米情報当局は元脱北者たちを使い、金日成(キム・イルソン)主席の銅像を破壊する工作を行った」などと連日報じているが、これも金氏釈放に対する不満を表明したものとの見方もある。

金氏の釈放が発表された20日には北朝鮮外務省報道官が声明を発表し、銅像破壊未遂事件をめぐり「核問題の全面再検討」について言及した。

このように南北と中国は金氏の釈放をめぐって厳しく対立していたが、中国の警察トップ、孟建柱・公安部長が来韓(12日-14日)したことをきっかけに、この問題は事実上、解決に向かい始めた。孟部長は韓国に対し、中国に攻勢を加えるような動きを示さなければ、金氏一行の釈放に応じる意向を伝えてきたという。中国の主権を侵害するような態度だけは示さないよう求めてきたわけだ。

さらに中国は金氏の逮捕をきっかけに、中国のアキレス腱でもある人権問題が国際社会で改めて注目されることも望んでおらず、金氏の釈放に応じたとの見方も出ている。

金氏は今年3月、遼寧省大連で仲間と共に脱北者を救出するための打ち合わせをしていたところ、中国公安により国家安全危害罪で逮捕され、丹東市の国家安全庁に身柄を拘束されていた。

アン・ヨンヒョン記者


韓国に主体思想持ち込んだ金永煥氏、転向し人権運動家に
朝鮮日報 2012/07/21 08:35
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/07/21/2012072100396.html

金日成主席との面会後、主体思想に疑問抱く

 中国で身柄を拘束され、解放された人権運動家の金永煥(キム・ヨンファン)氏(49)は、1982年にソウル大法学部に入学し、80年代半ばに『首領論』や『品性論』などの内容が盛り込まれた『鋼鉄の書信』を通じ、北朝鮮の主体思想を韓国に持ち込んだ人物だ。その後、主体思想は学生街や労働界で急速に広まり、NL(民族解放)派が学生運動の主流派として成長していく土台を築いた。

 金氏は韓国にいながら朝鮮労働党に入党し、91年に西海(黄海)沿岸から北朝鮮が派遣した潜水艇で密航、故・金日成(キム・イルソン)主席と面会した。だがその後、主体思想に疑問を抱くようになった、と後日話している。92年にソウル大法学部の同期生ハ・ヨンオク氏と共に「民族民主革命党(民革党)」を結成した金氏は、99年に民革党事件で逮捕された後「思想転向文」を書き釈放された。その後、北朝鮮住民の人権擁護や民主化を強く訴える人権運動家として活動してきた。

アン・ヨンヒョン記者


114日というと約4か月、長くは感じますが、韓国のNGOが中国で難民救援活動中に不当逮捕された場合(この逮捕、拘留は、難民条約を中国政府自身が破っているのですから100%不当逮捕といいきれます)かっては数年間に及ぶこともありました。このように最近、多少なりとも中国政府が態度を変えてきたことは、この脱北者問題を多くの方々が国際的に訴えてきたことの成果でしょう。

しかし同時に、「中国に攻勢を加えるような動きを示さなければ、金氏一行の釈放に応じる意向を伝えてきたという」という一文はやはり気になるところです。かって日本政府は、大使館に足止めを食い「人質状態」になっている数名の脱北者の出国と日本受け入れを中国政府に求めるために、一定の妥協をせざるを得なかったことがありました。中国政府が仮に脱北者を難民として認めることを拒否するとしても、少なくとも、彼らを逮捕し送還することを停止し、受け入れを表明している国に自由に行かせてもらえれば、この問題は解決するのです。彼らは韓国憲法上は韓国国民です。原則的に、韓国は彼らを全面的に受け入れているのですから、中国はその韓国に送ればいいだけのことです。元帰国者、日本人妻で日本行きを希望する場合は、日本国が責任を持てばいいのですから。

まず、金氏の釈放をよろこびたいと思います。氏は一時期は主体思想や金日成を崇拝していたのでしょう。しかし、北朝鮮の現実を知ればすぐに覚醒します。その思想的責任を、こうして脱北者救援や民主化運動でとっているのは大変知識人として立派な態度と思います。韓国の左派、進歩派の人たちがまずなすべきことの一つは、独裁反動政権に捕らわれている北朝鮮の同胞の解放に取り組むことではないでしょうか。(三浦)


金永煥氏拘束:逮捕から114日ぶり韓国へ : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
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