家族会・救う会新運動方針 : 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

 本日(2月24日)、都内で家族会・救う会合同会議および救う会全国幹事会が開催され、以下の新運動方針が決定された。また、新たに救う会佐賀の全国協議会への加盟が認められた。

新運動方針は以下の通り。


■家族会・救う会新運動方針
家族会・救う会 今後の運動方針(25.02.24)

私たちは昨年(平成24年)2月の合同会議で「政府は、今年を勝負の年として、全勢力を傾けてすべての拉致被害者を早急に救出せよ!」とする運動方針を決め、4月と9月の国民大集会、9月の全国運動月間、1000万署名運動などこれまで全力で戦ってきた。

 国民世論は昨年、私たちの訴えを強く支持し、1年間で120万筆以上の署名が集まり、9月の国民大集会は総理以下与野党幹部、国会議員、多数の知事、地方議員、全国の運動家が結集するオールジャパンの怒りの集会になった。

 世論の高まりを受け、8月末に課長級予備協議、11月に局長級実務協議が行われた。ただし、その協議では拉致問題も取り上げられはしたが、具体的成果はなく、継続協議とされただけだった。その後金正恩政権は、12月のミサイル発射、2月の核実験と暴挙を続け、政府間協議は延期されたままとなっている。

 一方、12月の総選挙の結果、第2次安倍晋三内閣が発足し、拉致担当大臣にはこの間、拉致議連役員などの立場で私たちとともに戦ってきた古屋圭司代議士が就任した。安倍首相は就任3日目に家族会と面会し、自分の内閣の間に必ず拉致被害者を全員取り戻すという決意を語った。

 結局、「勝負の年」とした昨年末までには、具体的進展を見ることはなかった。しかし、今現在も、被害者が彼の地で助けを待っている以上、私たちは諦めたり絶望したりする余裕はない。平成25年を、「勝負の年の延長戦」と位置づけ、力を振り絞って戦っていく覚悟だ。1日でも早く、全ての被害者を取り戻し、日本で待つ家族と抱き合える日を実現できるようオールジャパンの運動を展開していく。

一昨年末、拉致の首謀者金正日が死んだ。北朝鮮が生きている被害者を死んだと言わざるを得なかったのは、独裁者金正日の責任を認めたくないためだった。その金正日の死は、後継金正恩政権の不安定さを含め救出の好機となり得る。金正恩政権に強い圧力をかけ、父親の責任を認めざるを得ないところまで追い込んで実質的交渉に引き出さなければならない。

一方で、混乱事態が発生し被害者の安全が犯される危険も出てきた。混乱事態に備えた救出作戦の準備を早急に完成させなければならない。

このところ、一級情報が漏れ始めている。政権の先行きに不安を覚える幹部らが情報の切り売りを始めている。被害者の確実な情報を入手すべく最大限の努力をしなければならない。

家族会・救う会は今年を勝負の年の延長戦と位置づけ
「北朝鮮が拉致を認めて10年以上。生きているのになぜ助けられない!」
「政府は、全勢力を傾けてすべての拉致被害者を早急に救出せよ!」
「制裁と国際連携ですべての拉致被害者を救出しよう!」
というスローガンを掲げて、
「金正日死亡による北朝鮮政権弱体化を最大限活用せよ!」
「いまこそテロ国家北朝鮮に全面制裁を!」
「圧力を背景にした主体的交渉で全員救出せよ」と訴え、
救出への世論を盛り上げる活動を継続していく。


1.運動の目的と今年の目標

認定未認定にかかわらず、すべての拉致被害者の救出が我々の目的である。当面の目標は「拉致したのは13人だけ、8人は死亡」というシナリオが嘘だったことを金正恩政権に認めさせ、被害者救出を実現することだ。

※安倍内閣が1月に定めた方針でも「認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くす」との表現がなされた。

2.救出方法

2つの全被害者救出方法

・交渉による救出

我が国政府が

(1)「全被害者が帰らない限り、制裁を強め支援はしない」という姿勢を堅持し、

(2)制裁と国際連携の圧力などにより北朝鮮がわが国との交渉に出てこざるを得なくなる状況を作り、

(3)主体的交渉を行うこと。

・北朝鮮混乱時の実力による救出

(1)金正恩政権が不安定なため、内乱、暴動などによる混乱事態が発生し被害者に危険が及ぶ危険性がある。

(2)それに備えて、法整備、米韓との戦略対話、派遣要員準備などの準備を急がなければならない。

3.家族会・救う会の運動戦略

1)全被害者救出を求める世論を高めつづけること

 「生きているのになぜ助けられない」という原点に戻り、愚直に内外世論に訴える。

 いくら時間が経っても全被害者救出を求める国民の怒りと関心は低下しないことを、北朝鮮にみせ、被害者死亡説、一方的制裁解除論、拉致棚上げ論と徹底的に戦うことだ。

「制裁の圧力なくして全被害者を救うための主体的交渉は成り立たない」という、これまでの運動経験の中で明白になった事実を世論に広く知らしめるとともに、「日本は死人を生き返らせろという無理な要求をしている」とする北朝鮮と総連の謀略宣伝とそれに呼応する国内勢力の動きを打ち破らなければならない。

2)北朝鮮内部への働きかけと情報収集

 日本国内の拉致関係、北朝鮮関連諸組織はもちろん、韓国の脱北者団体や保守運動団体などとの連携をより強めて、動揺する北の幹部層と一般住民双方に、「拉致被害者を返さない限り支援はなく制裁も解除されない」、「被害者救出に協力すれば見返りがある」ことを広く伝える。その上で、得られた情報を検証し、適宜、関係機関とも協議しつつ救出のために活用する。救う会では元工作員からの手紙や平壌市民データの一部を独自に入手するなど情報収集で少しずつ成果を上げている。

※現在、日本は対北朝鮮人道援助を停止しているが、これは北朝鮮が偽遺骨や偽死亡診断書などを提出するというあまりに非人道的行為を行ったことが契機とされている。核やミサイルでなく拉致問題が理由となっている。従って、彼らが死亡とした8人の生存を認めるなど拉致問題で誠実な対応をとれば、米韓も実施している人道支援は再開しうる。これは有力な交渉カードだ。

具体的には、以下の運動を進めることとする。

1.わが国政府および世論への訴え

・政府に対して今年中に、被害者救出という結果をだすように強く迫り続ける。

・家族会として、政府に定期的な面会を求め、取組み計画とその具体的対応、進捗状況を確認する。

・昨年と同じく東京での国民大集会を、家族会・救う会・拉致議連、知事の会(北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会)、地方議連(拉致問題地方議会全国協議会)の5団体主催で4月27日と9月16日に計2回開催する。

・早急に1000万署名を達成する。(昨年2月合同会議時855万筆、現在982万筆)。

・各党拉致対策本部、知事の会、地方議員連盟などと連携を強め、オールジャパンの世論形成をする。

・地方議会が拉致問題で意見書採択を行うよう求める活動を継続する。

・大集会、小規模集会、学習会、街頭活動、署名活動、デモ、座り込みなどこれまで行ってきた政府と世論への働きかけ活動を強化する。

・ブルーリボン運動を拡大する。

・根拠なく被害者死亡説を主張する国内の政治家、言論人、学者らを強く批判する。

・北朝鮮急変事態時の救出プラン作成とそのための法的枠組み作りを求める。

・政府に救出のための戦略、戦術、道筋を具体的に明示するように強く求める。

・米国をはじめとする各国政府が北朝鮮により強い圧力をかけるように、日本政府の一層の外交努力を求める。

・拉致問題を理由とした追加制裁を求める運動の継続。再入国不許可対象拡大、送金全面禁止などの追加制裁発動を求める運動を展開する。

・金融制裁を可能にするいわゆる「日本版テロ国家指定制度」の拡充強化を求める。

・北朝鮮人権法改正に向けて働きかけると同時に、新たに拉致問題が明記された人権教育・啓発基本計画等を効果的に活用しながら様々な取り組みを進めていく。

・アニメ、DVD等を活用して学校現場等で拉致問題がより取り上げるように働
きかける。

・朝鮮学校に対する国庫補助及び自治体補助に対して、拉致に関する教育内容の観点などから反対する。政府と各自治体への運動を継続強化する。

・朝鮮総連の違法行為をより厳しく取り締まることを求める。地方自治体による総連施設への税減免等の優遇措置への反対運動を継続する。

・ よど号グループ関係者への旅券返納命令のほか、日本人拉致に直接的間接的に関与した者に対する法的措置の早期実現を求めていく。

・ 救う会としては、菅直人元総理と極左親北団体「市民の党」との不明朗な関係について究明、糾弾していく。

2.国際連携の強化

・韓国、タイ、ルーマニア、米国等の家族との連携を継続する。フランスをはじめとするまだ家族が名乗り出ていない外国人拉致事件についても調査、啓発を続け国際連携の輪を広げる。

・各国政府や国連への訴えを続ける。中国が自国の拉致被害者救出に取り組まざるを得ないように圧力をかける。

・米国オバマ政権への働きかけを強化する。テロ支援国再指定、金融制裁強化を求めていく。引き続き、米議会内外の保守派との連携を強めていく。米国オバマ政権に対し、歴代米国政権が北朝鮮に騙され続けてきたことを踏まえ、融和的でない外交を展開するように働きかける。

3.北朝鮮内部への働きかけと情報収集活動

・ラジオ放送と風船ビラを通じた北朝鮮内部への働きかけの強化。自由北朝鮮放送などの対北ラジオ放送支援を継続。対北風船ビラ運動(「対北風船ビラ日本実行委員会」)の強化。

・北朝鮮の内部情報収集を強化。「拉致の全貌と解決策」調査プロジェクトを継続。

・拉致被害者即時返還を求める対北はがき運動をすすめる。

4.政府未認定拉致被害者についての取り組みなど

・寺越事件、福留貴美子さんなど救う会認定拉致被害者に関して政府認定を求める運動を強化する。

・調査会など関連団体との情報交換、連携を強めつつ政府未認定被害者の救出のための運動に取り組む。

・特定失踪者をはじめとする政府未認定被害者について、一刻も早い真相究明とその結果に基づく拉致認定を政府に対して求めていく。警察などの捜査が一層強化されるように要請する。真相究明のために不可欠な警察の持つ過去の電波傍受情報の開示を引き続き求めていく。

・特定失踪者問題調査会をはじめ拉致問題に取り組む諸組織や、北朝鮮人権問題に取り組む内外運動体と、お互いの立場の違いを尊重し合いながら、適宜、被害者救出に向けて協力していく。

以上


家族会・救う会新運動方針 : 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
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