声 明
東京を拠点に活動する日本のNGO北朝鮮難民救援基金は、中国及び東南アジア諸国における北朝鮮難民の痛ましい状況を深刻に懸念し、1998年以来彼らの救援に関わってきました。また、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会も自ら犠牲を払いながら脱北者の救援に力を尽くしてきました。
5月28日、脱北孤児9人がラオスの移民局から北京経由で北朝鮮に送還されるという痛ましい事件が発生しました。私たちは、間近に事件の展開を観察してきた立場から、また長年のフィールド活動の経験から、今回の悲劇的な事件は、10年以上にわたって繰り返される脱北者への人権蹂躙問題の一端を象徴するものだと考えます。
強制送還された脱北者は、本国での処刑を含む過重で非人道的な処罰・迫害を受けることが周知されているにもかかわらず、ラオス政府および中国政府は、北朝鮮側の要請を受けてこれら孤児9人の強制送還を許しました。これは、国際的規範である難民保護の精神を踏みにじるものであり、強く非難されるべき行為です。
また、本件では、救援責任者による保護要請に対して、韓国政府が速やかに適切な対応をしていれば防ぐことができた悲劇でした。特に、脱北者保護において「自国民の生命・安全を守る」立場から責任を果たすべき韓国政府に対しては、このような悲劇の再発防止のための改善を強く要請します。
また、北朝鮮難民救援基金、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会は、北朝鮮をめぐる人権問題に取り組む他の国際NGOとも協同して、北朝鮮政府が9人の孤児を迫害することのないよう追及を続けていきます。
私たち両団体は、人権・人道を至上のものと信じて北朝鮮難民救援活動を15年余り続けてきました。今回の悲劇を機会に、世界中のさらに多くの人々が北朝鮮難民問題に関心を持って行動することにより、食糧確保等の基本的人権を命がけで求めて来る北朝鮮難民全員の確実な保護を実現することを強く求めます。
2013年6月4日
北朝鮮難民救援基金 http://www.asahi-net.or.jp/~fe6h-ktu/
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 http://hrnk.trycomp.net/
脱北孤児9人の北朝鮮送還に対する声明 : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00996