SMHRIC Southern Mongolian Human Rights Information Center
2013年10月9日
ニューヨーク
中国当局は10月1日の国慶節(建国記念日)を迎えるにあたり、南(内)モンゴルで鉱山・環境破壊・土地の収奪をめぐってモンゴル人と漢人の間の緊張が高まっている中、対テロ訓練と市民の武装解除を実施した。
内モンゴル自治区警察庁の公式サイトには、「2013-平安使命(ミッション・スタビリティ)」と呼ばれる対テロ訓練が9月28日、南モンゴル東部の通遼市において実施されたことが掲載されている。かつてジリム・アイマグ(盟)と呼ばれた通遼市はモンゴル人が150万人暮らしており、南モンゴルの全アイマグ中モンゴル人が最も集中している地域である。
自治区警察庁サイトには「複雑で不安定な社会状況に効率的に対処し、自治区8337号発展ガイドラインを厳格に実行するため、通遼市警察庁・武装警察通遼支部・市消防庁・内モンゴル民族大学付属病院を含む15以上の機関が対テロ訓練に参加する」旨アップされている。
自治区党書記に新たに任命された王君が発表した概要が中国のグーグルBaidu(百度)にアップされており、「8337号発展ガイドライン」の主な目標が「内モンゴルを首都北京の防衛ラインとして中国北部に貢献し、クリーンエネルギー・石炭・レアアースを中国全土に供給、中国のエネルギー基地としての役割を果たし、また内モンゴルを北部国境地帯の安定とエコシステムの防衛ラインとして開発する」ことにあることがわかる。
「警察官と武装警官1700人以上、装甲車とパトカー30台以上が訓練に参加した」と警察庁が発表している。同訓練では、自治区党委員会政治局長么永波が「治安維持」の重要性を強調、通遼市に対し「いかなる襲撃にも万全の備えをし、対テロ特殊部隊を増設する」よう命じた。
9月30日、中国国営ニュース「中国消防士オンライン」は、対テロ訓練「2013-平安使命」の計画と内容を以下のように公表した。
少数の暴徒の扇動によって、ある村の村民たちがスコップや棒を持ち、市役所前に押しかけて混乱が起き、大規模な暴動がそれに続く。暴徒に指示されて、村民は役所のガレージに移動して、公用車を襲って火を放つ。緊急連絡を受け、通遼市消防署は迅速に避難計画を実行。消防車2台と消防士12人が現場に派遣される。警官、その他の職員の協力で消防隊は短時間で火を消し止める。警察庁は成功裏に暴動を鎮圧し、先導者や首謀者を含む被疑者を逮捕する。
中国特殊警察は同様の訓練を9月27日、南モンゴル東部フルンボイル市で実施した。自治区12のアイマグ(盟)と市の特殊警察の幹部と警察官が集結、武装警察によるデモンストレーションを行った。武装警察幹部は、新しい社会の治安・新しいニーズ・新しい課題に対処するため自治区全土で武装警察の増強が重要かつ緊急の課題であると強調したことが自治区警察庁サイトにアップされている。
「内モンゴルにおける平和と安定」運動の一部として、自治区警察庁は国慶節前に自治区全土で10日間の市民武装解除を展開した。同サイトによると、この期間中、「自治区全土の警察当局は11万9594人/回、自動車13万6337台/回、8万9505か所を手入れ、拳銃89丁、弾丸5850発、ナイフ1486丁を押収し、82のグループを解散させ、3644人の犯罪者を一網打尽にした」
内モンゴル自治区警察庁が9月25日に出した別の発表によると、内モンゴル西部のボガト(包頭)・スチール(「包鋼」)と東部のオラーンホト(烏蘭浩特)・スチールの2つの工場が全土から押収した武器の分解・リサイクルを担当していることがわかった。「爆発物4万9644キロ、起爆装置12万個、拳銃2159丁、モデルガン5266丁、弾丸22万8174発、ナイフ3万2675丁」が押収されたと伝えた。
伝統的なモンゴル刀は特に押収の標的とされた。贈り物用に購入した美しい装飾を施したモンゴル刀が南モンゴル各地の駅や空港で没収されたと多くの人が訴えている。
「オルドス空港では、オルドス・コンベンション・センターで買ったモンゴル刀がスーツケースに入れてあるにもかかわらず『規制の対象』として没収されてしまいました」と、ある旅行者は「新浪微博」のブログで怒りを露わにした。「私のスーツケースにはもっと長いフルーツナイフも入っていたのですが、モンゴル刀だけが没収されたのです」。
(原文)http://www.smhric.org/news_502.htm
中国当局が「平和で安定した内モンゴル」のための対テロ訓練開始 : SMHRIC
http://www.smhric.org/jap_169.htm