朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、国家による「深刻で組織的かつ広範囲な」人権侵害が半世紀以上も続いています。
北朝鮮の人権状況を調査する国連の特別調査委員会(COI)はこの2月、北朝鮮の「世界で類に見ない」人権問題を改善するには、国際社会が一丸となって取り組まなければならないとする勧告を、国連、北朝鮮、各国政府に対して出しました。そこでは、国連が北朝鮮の人権状況をより明らかにし同国の説明責任を追及する必要性と、中国をはじめとする各国政府が国際法に基づき北朝鮮の人びとを保護する責任を果たす重要性を強調しています。北朝鮮政府には人権侵害の事実を認め、人権問題に関する情報を開示し、市民の権利を守るよう強く求めています。
世界最悪ともいわれる北朝鮮の人権問題。解決にはCOIの勧告に基づいて行動することが重要です。みなさんの力で日本政府を動かしてください。国連、北朝鮮、各国に対し勧告の実現を働きかけるよう、政府に要請してください。
まん延する食糧難、政治囚収容所での過酷な労働と拷問・虐待の日々、公開処刑、いまだ解決しない拉致問題…。北朝鮮では、人びとの命はいともたやすく奪われ、基本的な人間の尊厳が否定され続けています。
2013年3月に設立されたCOIは1年かけて同国の人権状況を調査してきましたが、北朝鮮政府は、COIの調査訪問、情報提供の度重なる要請を断り続けてきました。しかしCOIは、政治囚収容所で過酷な労働を強いられてきた元被収容者や拷問・虐待、処刑を実行してきた元刑務官、拉致被害者とその家族、強制堕胎させられた脱北者など数百人もの証言を集め、また衛星写真から得られる情報を分析し、入念に調査をすすめました。
COIが発表した372ページに及ぶ報告書は、北朝鮮で行われている恐ろしい人権侵害の真実を明らかにし、当局が国家政策として「人道に対する罪」を犯していると述べています。
COIのカービー委員長は、「真実が明らかになったいま、国際社会が北朝鮮の問題をこれ以上見過ごすことは許されない」と訴え、ひとり一人のアクションを求めています。
北朝鮮でいま何が起きているのか(COIの報告書より)
COIは北朝鮮で行われている「食糧の権利の侵害」、「政治囚収容所やその他収監施設でのあらゆる人権侵害」、「恣意的な逮捕及び拘禁」、「拷問と非人間的な処遇」、「差別」、「表現の自由の侵害」、「生命に対する権利の侵害」、「移動の自由の侵害」、「他国の人びとの拉致を含む強制失踪」という9つを「人道に対する罪」に値すると報告しています。
■ まん延する飢餓
1950年以降、状況は変わりつつあるといえ、いまだ数百人に及ぶ人びとが慢性的な栄養不良状態にあり、飢餓に苦しんでいます。当局は出身成分(北朝鮮の政治的、社会的、経済的要素に基づいた階級制度)や地域によって食糧の配給を決めています。体制維持に重要だと見なされた官僚や、身分が高く首都平壌に住む者を優先に食糧を配給しており、最も援助を必要としている人びとに食糧は届いていません。
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北朝鮮:世界最悪の人権問題を見過ごすな! : アムネスティ日本
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/dprk_201402.html