北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
関東学習会のお知らせ
現在、産経ニュースに連載小説「アキとカズ」を執筆中のジャーナリスト、喜多由浩氏を講師にお迎えし、戦前の樺太や北朝鮮の残留日本人、そして帰国事業の問題について、また、今後の日本人妻の救済についてお話を伺います。
皆様のご参加を心よりお願いいたします。
テーマ:樺太(サハリン)から北朝鮮まで 見捨てられた日本人の物語
講師 喜多由浩(ジャーナリスト、作家)
日時 2015年2月1日(日) 午後2時開場 2時半開会
場所 亀戸文化センター9階第2研修室(亀戸駅北口徒歩3分)
http://www.kcf.or.jp/kameido/kameido_map.html
参加費 1000円
アキとカズ より
19章 1964年国境の村 九
「3年たったら日本へ里帰りできる」
「もうすぐ朝鮮は(北朝鮮によって)赤化統一される。そうなれば日本とも国交ができるだろう」
帰国事業で北朝鮮へ渡る日本人妻は、言葉も習慣も違う国に行くことを不安がった。
当然であろう。
二度と祖国の土を踏めず、両親や家族と会えないことが事前に分かっていれば、ほとんどの日本人妻が参加を取りやめたに違いない。
彼女たちの不安を打ち消すために、「北連」などが持ち出したのがこの“口約束”だったのである。
テナー歌手、長田(ながた)健次郎の日本人妻、東川(とうかわ)民恵は“3年目の里帰り”を手紙にしたためて最高権力者の金日成(キム・イルソン)に訴え、労働党幹部の逆鱗(げきりん)に触れてしまう。
「あの女(民恵)を離婚しろ!」と、党幹部から迫られた長田は途方に暮れていた。
(党の決定に逆らうことはできない。だが、もし離婚すれば民恵は強制収容所に送られてしまうだろう。子供たちはどうなる。私の仕事は…)
不安ばかりが襲ってくる。
ただでさえ、最近は党とうまくいっていない。
海外公演が認められたのは最初の1、2年だけ。飛び上がるほど喜んだ名門中の名門、ソ連のボリショイ劇場からの専属契約のオファーも党の意向で、断らざるを得なかった。
北朝鮮国内での独唱会の機会もめっきり減り、音楽大学で後進の指導に回ることが多い…。
(私の歌はもうダメなのか? 首領様(スリョンニム)(金日成)はあれほど喜んでくださったではないか)
長田は歌に殉じた男である。
優先順位のトップはいつでも「歌」なのだ。
どうしてもそれを諦めることができない。
とうとう、長田は「民恵との離婚」に同意してしまった。
(もう一度歌うためなんだ。分かってくれ)
民恵が家を出てゆくとき長田は見送らなかった。
机の上に、置き手紙がある。
《あなたに迷惑をかけて申し訳ありません。あなたの歌が大好きでした。子供たちを頼みます》
長田は男泣きに泣いた。
http://www.sankei.com/life/news/141113/lif1411130003-n1.html
【2月1日亀戸文化センター】守る会関東学習会のお知らせ : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=01116