SMHRIC
2015年7月26日
ニューヨーク
私たち、チベット人・ウイグル人・(南)モンゴル人・漢人は共に、IOC(国際オリンピック委員会)の皆さんに、中国で再びオリンピックを開催させないよう要求します。
私たち各民族は、中国政府による人権軽視の結果、苦しんでいます。2008年の北京オリンピックが中国における人権侵害の軽減や自由の促進に何ら貢献しなかったことを皆さんが理解していることと私たちは願っています。実際に2015年の状況は、2001年に北京オリンピックが決まった当時よりさらに悪化しているのです。過去1年間の状況をみても、中国政府は中国における人権擁護者への取り締まりを強化しており、最近では数百人の人権派弁護士を逮捕しています。東トルキスタン(漢語では「新彊」)では多数派のウイグル人がイスラム教を信仰しているにもかかわらず、ラマダン期間中、多くの宗教活動への参加が禁止されています。チベットでは、急増する抵抗運動への取り締まりが酷く、平和的抗議行動に対する武装警察の暴行、さらに多くのチベット人が重症を負わされています。南モンゴルでは、牧民が強制的に祖先の土地から排除され続けています。
これらは中国政府の抑圧的な政策の一例です。IOCはこれら全ての情報を記憶に留め、競技が中国における人権状況を改善し、オリンピック運動を論争から遠ざける助けになると同じ過ちを繰り返してはなりません。現実には2008年の北京オリンピックは競技と直接結びついた人権侵害を残しているのです。
中国共産党幹部が、全ての人びとの固有の権利を認識し、改善する準備ができるまでは、オリンピックを開催する名誉を再び与えるべきではありません。中国における人権の危機的状況の悪化が無視されるなら、オリンピックの精神と名声がさらに傷つくことになるとIOCは気づかなければなりません。
私たちはかつて中国に住んでいたので、この誤った行為に弁解の余地がないことを知っています。今回IOCが正しい歴史認識の立場に立って、極めて危険な状況にある人権と道理を勇敢に守り続けるチベット人、ウイグル人、(南)モンゴル人、そして漢人を含む全ての人びとに希望をもたらさなければなりません。IOCの全ての委員に対する私たちの共同メッセージは中国国境内に住む数億の人びとのためのもので、北京で再び開催されようとしているオリンピックが中国政府の現在行っている権利の侵害や自由への希求の否定にゴーサインを与えることになるというものです。私たちは、中国の企てを拒絶するようIOC委員の皆さんに主張します。
署名者:
ゴログ・ジグメ(Golog Jigme)
フィルミング・フォー・チベット(Filming for Tibet)
ラビア・カーディル(Rabiya Kadeer)
世界ウイグル会議
楊建利
公民力量(Initiatives for China)
エンフバト・トーチョグ(Enghebatu Togochog)
南モンゴル人権情報センター
ゴログ・ジグメ:チベット人僧侶、活動家、政治犯。中国支配と2008年北京オリンピックについてのチベット人の意見をインタビューしたドキュメンタリー「Leaving Fear Behind」の制作後、2008年に逮捕・拷問された。2012年出所、20か月間逃亡し2014年5月インド国境を越えた。現在スイスに居住。
楊建利:中国民主化運動のリーダー、「公民力量」代表。80年代から民主化運動に関わり、天安門事件後の1989年、当局の監視下に。労働不安に関する調査のため友人のパスポートで中国を旅行したため2002~2007年の5年間、刑務所に収監された。ダライラマ猊下と多数面会している。
ラビア・カーディル:ウイグル民主化運動のリーダー、世界ウイグル会議議長。活動家・ビジネス・ウーマン。政治・人権活動を続けたため2000~2005年収監され、現在は米国に亡命中。ラフト人権賞受賞。2012年には「最も影響力のあるムスリム500人」に選ばれた。
エンフバト・トーチョグ:ニューヨークを拠点とする人権団体「南モンゴル人権情報センター」代表。南モンゴルのモンゴル人の保護・支援を行っている。
上記の署名者との連絡は下記まで。
マンディ・マッケオン(Mandie McKeown)
インターナショナル・チベット・ネットワーク(International Tibet Network)
e-mail:mandie@tibetnetwork.org
tel:+44 (0)7748 158 618
http://www.smhric.org/news_578.htm
2022年冬季オリンピック北京開催についてIOCへの共同公開書簡 : 南モンゴル人権情報センター
http://www.smhric.org/Japanese_221.htm