北朝鮮の核実験に「抗議」や「糾弾」ではなく、核開発を不可能にする制裁の実行を! : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会

北朝鮮は、1月6日、4度目の核実験を実施した。
これによって、国連などによるこれまでの制裁措置では、北朝鮮の核開発を阻止できないことが示された。
国連加盟国はこの事実を直視し、核開発を確実に阻止できる制裁を実行する責任がある。今回の核実験に対しても、今後の核開発を阻止する有効な対策が取られないなら、新たに核開発を進めようとする国や集団があらわれ、核拡散を防ぐことはできなくなるだろう。

わが国の政府、政党、政治家も、核開発を止められなかったことを踏まえ、北朝鮮に抗議するだけでなく、今回こそ核開発を遮断する有効な対策を示し、その実行に責任を持たねばならない。

核開発に対する北朝鮮への制裁は、“国際社会の厳しい抗議を伝えて反省を迫る制裁”では意味をなさない。北朝鮮は核開発に政権の存亡を懸け、最優先の課題として取り組む考えでいる。彼らは、どのような制裁を課せられようと、核開発を続ける強固な意思を持っている。

核関連物資の北朝鮮への輸出が禁止されているにもかかわらず、核開発を阻止できないのは、その制裁が有効に機能せず、必要な物資と技術を国外から調達できているからである。国外から調達できているということは、北朝鮮が核を国外に移送することもできることを示していることに注目しなければならない。

中国は北朝鮮に石油などを大量に供給し、金正恩政権の命運を左右する軍や党のエリートのためのぜいたく品の確保を支えてきた。北朝鮮貿易総額の6割以上が中国との取引であるが、他に統計外で年間50万トンの原油や10万トンの食料などを援助してきており、実質は9割に達するとみられる。「中国が本気で北に核武装の放棄を求めるなら、それらの停止を通告すればよい」との主張は正鵠を射ている。
中国共産党系列の国際情報紙『環球時報』で「中国は、国連安全保障理事会が北朝鮮の政権を“死ぬまでいじめ続ける”ような制裁決議を通過させることは支持できない」と主張するが、“死ぬまでいじめ続ける”との表現は不正確で歪曲したものである。今必要なことは、“核開発に固執する北朝鮮政権が核開発を進められなくなる実効性ある制裁”を行うことである。

制裁に実効性がなかったのは、中国が支援を続けていることが最大の理由である。また国連への制裁履行の報告を加盟国の半数しかしていないなど、これまでの不十分な制裁でさえしっかり実行されてはいなかったところに重大な問題がある。事実上、制裁破りを行っている中国にも制裁を加える措置や、決められた制裁を実行していない国の政府を指導し実行を援助する措置がなければ、有効な北朝鮮制裁は実現しない。

今求められるのは、国連の場で核開発を確実に阻止できる制裁を決めるとともに、その実行を担保できる仕組みを作ることである。そして、さらにそれを補完するために、北朝鮮の核開発を阻止する強い意思と能力を持った国が連携して、金融制裁など、中国の対応如何に関わらず有効に機能する制裁措置を実施することである。
これは北朝鮮を崩壊させることを目的にしているのではない。北朝鮮政権に国際社会の一員として容認される国になるよう、最小限の政策の是正を迫るにすぎない。

わが国においては、独自の課題がある。国内で北朝鮮の核開発を支援しつづける朝鮮総連とその関連団体が活動している。これまでに彼らによって北朝鮮に莫大な資金が不法に送られ、核開発関連の物資や技術も送られた。北朝鮮の指導者に絶対忠誠を誓わせる教育を日本国内で行い、今年も東京朝鮮中高級学校校長に引率されて平壌に行った生徒たちは、金正恩を称える演技を披露し、核実験の当日に歓迎の宴会が開催された。この子たちは「金正恩第一書記の命令で成功した核実験」を礼賛するように仕向けられて日本に戻ってくることになる。在日の子供たちの将来を、このような洗脳教育で誤らせてはならない。国内にいる多数の拉致実行犯が一人として検挙されていないことも重大であり、公訴時効が成立して免罪することになる問題が放置されている。

残念ながら、わが国単独では北朝鮮の核開発を阻止する制裁は困難である。米国、韓国をはじめとする国々と連携して、世界に核が蔓延してコントロール不能になる最悪の事態を未然に防ぎ、子どもたちの未来に安全な世界を残すために、北朝鮮の核開発を不可能にする確実な制裁措置が実行されねばならない。

2016年2月5日
北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 代表 山田文明


北朝鮮の核実験に「抗議」や「糾弾」ではなく、核開発を不可能にする制裁の実行を! : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
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