中国国営新華社通信によれば、8月4日、天津市第2中級人民法院(地裁)は、国家政権転覆罪に問われた人権派弁護士の周世鋒氏に懲役7年の実刑判決を言い渡しました。2日には、人権運動家の翟岩民氏、3日には胡石根氏、5日には勾洪国氏にもそれぞれ懲役刑の判決が下されています。同氏らは、テレビ画面の前で、自らが社会的犯罪を犯したという自白を強要されています。しかし、家族や支援者との面会が一切許されないばかりか、家族が望む弁護士すら締め出されたこの裁判の判決を私たちはいかなる意味でも認めることはできません。
いうまでもないことですが、彼らは市民的権利を擁護するための弁護活動や、民主主義を求める言論活動を行ったにすぎません。彼らを不当に逮捕し、このような、政治弾圧の判決を下し、かつ、おそらく精神的、肉体的拷問を課することによって公的な場において、する必要のない謝罪を強要する中国政府こそ、本来は彼らに代わって裁かれるべき存在です。
かつて1930年代、ソ連のスターリンは自らに従わない政治家を逮捕し、モスクワ裁判にて、うその自白をさせて反逆者として処刑していきました。文化大革命時、毛沢東とその追従者たちも、政敵を国家と共産主義の敵として脅迫し、自己批判を強要し、逮捕、追放していきました。いま中国政府が行っているのはそれと同様の行為であり、世界が許してはならない独裁政権の非道な弾圧政策なのです。
しかし残念ながら、この中国政府の非道を許しているのは、その市場と経済力に魅力を感じ、人権問題ついての批判を差し控えている諸外国、諸団体の存在でもあります。深刻な人権問題の前には政権分離の原則は成り立ちません。私たちはここに、現在不要に逮捕されている人権派弁護士と民主活動家の即時釈放を中国政府に要請するとともに、日本政府並びに国際社会に、直ちに中国政府に対し、抗議の声のみならず、何らかの行動に移ることを自由、人権、民主主義の名のもとによびかけます。
1、中国政府は不当に逮捕している人権派弁護士、民主運動家を即時釈放せよ。
1、中国司法当局は、正当な弁護活動や言論活動を行ったに過ぎない、周世鋒、胡石根氏への不当判決を直ちに取りさげ、彼らの名誉を回復せよ。
1、日本政府および国際社会は、上記の姿勢が見られない場合、中国政府に対し、普遍的人権の立場から強く抗議するとともに、中国との経済交流を見直さざるを得ないことを明言してください。
1、日本政府および国際社会は、言論弾圧や人権侵害、そして共産党一党独裁体制が民主化されない限り、中国は国連の安保常任理事国の資格を失うこと、国際的な制裁対象になることを明言してください。
2016年8月8日
一般社団法人 アジア自由民主連帯協議会
会長 ペマ・ギャルポ
※PDFファイル
https://freeasia2011.org/statement/20160808.pdf