言論・表現の自由という原則に立ち中国政府の不当なアパグループへの言論弾圧と、アジア大会組織委員会の姿勢に抗議する声明文

言論・表現の自由という原則に立ち中国政府の不当なアパグループへの言論弾圧と、アジア大会組織委員会の姿勢に抗議する声明文

 報道によれば、中国外務省の華春瑩報道官は、アパホテルの客室に、「南京大虐殺」や「慰安婦の強制連行」を否定した、アパグループ代表元谷 外志雄氏の書籍が置かれていることに対し、1月17日、「日本国内の一部勢力は歴史を正視しようとしない。正しい歴史観を国民に教育し、実際の行動でアジアの隣国の信頼を得るよう促す」と批判しました。中国政府が、他国の民間人の著書についてその言論を否定する権利はなく、これは日本国民の言論の自由と共に国家主権をも否定しかねない発言です。

 さらに、2月に開幕する札幌冬季アジア大会の組織委員会は、選手・役員が宿泊する「アパホテル&リゾート札幌」(札幌市南区)に対し、組織委担当者は「客室に何を置き、何を片付けるかはこちらで決められる。中国に限らず、各国の選手に不快感を与えるものは置かない。書籍については、実際に客室をチェックしてから判断する」と発言したと伝えられます(1月20日朝日新聞)もしこの発言が事実であるならば、中国政府の言論統制に対し日本側が屈したことになります。しかも、同報道によれば、現段階で組織委員会に対し中国側が直接書籍の撤去を求めた事実はなく、過剰な譲歩、言論の自主規制にほかなりません。

 私たちアジア自由民主連帯協議会は、アジアの自由、民主、そして民族自決権の確立のために運動する団体であり、特定の歴史観に立つものではありません。南京事件そのほかの歴史問題に関して、様々な意見があることは事実であり、歴史論争は今後も事実に基づいて積極的に行われるべきでしょう。しかし、自由と民主主義の原則に基づけば、アパグループ元谷代表が自らの歴史観を言論により社会に広める権利は、いかなる意味においても否定・制限されてはなりません。

 私たちは、書籍を撤去しないというアパホテル側の姿勢を支持します。同時に、中国政府は、国内で彼らが行っている言論統制は民主主義国家においては許されないことを自覚し、不当な抗議を取り下げるとともに、中国国内においても一日も早く自由な言論と中立的な歴史研究を認めることが、国際社会のルールであることを認識することを求めます。

2017年1月21日
アジア自由民主連帯協議会
会長 ペマ・ギャルポ

付記;当会関係者が、この問題でアジア大会組織委員会に抗議したところ、組織織員会は、報道のような事実(組織委員会が書籍の撤去を求めているなど)は一切なく、誤報として抗議したいほどであるとのことでした。取り急ぎその件を追記いたします。(アジア自由民主連帯協議会事務局)

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