紹介:「チベット民族蜂起から58年にあたり 一刻も猶予なきチベット問題の根本的解決を求める声明」

Students for a Free Tibet Japan様の「チベット民族蜂起から58年にあたり 一刻も猶予なきチベット問題の根本的解決を求める声明」を紹介いたします。
以下、http://www.sftjapan.org/nihongo:m10appeal2017より転載です。


チベット民族蜂起から58年にあたり 一刻も猶予なきチベット問題の根本的解決を求める声明
2017年3月12日
中華人民共和国  国家主席 習 近平 殿
中華人民共和国駐日本国特命全権大使 程 永華 殿
Students for a Free Tibet Japan (SFT Japan)
代表 Tsering Dorjee (ツェリン・ドルジェ)

チベット民族蜂起から58年にあたり一刻も猶予なきチベット問題の根本的解決を求める声明

 「3月9日24時から3月17日24時まで、タウ、ダンゴ、カンゼ、セルシュ、デルゲ、ペユル、ニャロン、ニャクチュカ、リタン、バタン10県とダルツェド市折西片区の有線・無線インターネットを停止し、全(カンゼ)州の携帯電話と固定電話の国際通話業務を停止する」――これは数日前、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じて明らかになった当局の通知です。また、現地の旅行業者によれば「2月25日から4月1日まで外国人旅行者へのチベット自治区入境許可証発行は認められない」との通達も出されています。これは今回が初めてのことではありません。

 チベットのチベット人から通信の自由や連絡手段を奪い、外部の目に触れさせないようにする。これが中国政府の行いです。なぜ隠すのか? 見られて困るもの、知られて都合が悪いことがそこにあるからにほかなりません。恥を知れ。ほかに言葉はありません。

 チベットの首都ラサで民衆が立ち上がった1959年3月10日から58年を迎え、私たちは、正義と自由のために命を落とした人々を深く追悼し、今もなお民族の権利を求めて弾圧されているチベットの人々に心から敬意を表し、58年続く問題の一刻も早い根本的解決を求めます。

 中道路線を提案して平和的な解決への道筋を示したダライ・ラマ法王14世に対し、中国共産党当局は「ダライはチベットの代表ではない」として、両者間の対話は2010年1月を最後に途絶えました。にもかかわらず、当局は、法王が昨年11月に仏教法話のため訪問したモンゴルに圧力をかけました。さらに、今年2月には、法王を卒業式のゲストに迎えることを表明したアメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校に圧力を掛けました。主張の通り「チベットの代表ではない」のであれば、ひとりの仏教者が教えを説くことになんの問題があるというのでしょうか? 中国のふるまいはあまりにも滑稽です。ここでも、恥を知れ、という言葉しか浮かびません。

 厚顔無恥なふるまいは枚挙に暇がありません。中国の憲法や規定に従い、チベット人・漢人を問わず心の平安を求める人々の学びの場となっている四川省セルタ県のラルンガル寺院及びアチェンガル尼僧院では、昨年6月以降、当局による大規模な破壊と信徒の強制退去が行われました。当局の宗教政策に従っていてさえ、暴力的な弾圧を受けるのです。中国は法治国家ではない、と言わざるを得ません。

 同様に、中国当局が自らの憲法や法律を好き勝手にねじまげている許しがたい行為の一つとして、私たちは、ジェクンド(青海省玉樹州)のビジネスマン、タシ・ワンチュクさんの無実と釈放を訴えます。タシ・ワンチュクさんは個人のブログに「チベット人にはチベット語教育が必要だ」と書きました。それだけです。2016年1月27日、タシ・ワンチュクさんは身柄を拘束され、長期間の不法な勾留ののち、一度「国家分裂扇動罪」で起訴され、現在も拘束されています。中国の憲法は、自国の各民族がそれぞれの言語や文化を保持する権利を保証しているのに、中国の法律は義務教育で民族の母語を学ぶ「双語教育(バイリンガル教育)」を定めているのに、です。さらに、中国の刑法は起訴前の勾留期間を30日としているのに、です。憲法や法律を何重にも恣意的にゆがめ、無実の青年に罪を着せる――中国は国家の体をなしていない、としか言いようがありません。

 厚顔無恥に非道な行為がどれだけ繰り返されようと、チベット人が民族の誇りを失うことはありません。正義はチベットの側にあります。チベット人の闘いは、暴力に暴力で抗するものではなく、人間が有史以来培ってきた知性と理性、勝ち取ってきた自由と協調に基づくものです。一国主義と不寛容とテロリズムの暗黒に時計の針が巻き戻ろうとする世界にあって、平和と非暴力と慈悲の精神を貫き、民主主義と人道主義を体現し、決して諦めず立ち止まらず希望を失わないチベット人の闘いはますます輝きを増しているのです。

 スチューデンツ・フォー・フリーチベット・ジャパンは、中国共産党政府に対し、チベット人に対する弾圧をただちに停止し、誤ったチベット政策をとりやめることを求めます。チベットの文化と宗教を尊重し、教育の権利と言論の自由を保証し、乱開発と生態系破壊をやめるよう訴えます。ダライ・ラマ法王の人格と活動を尊重するとともに、チベット亡命政府(チベット中央政権)と対話し、問題の根本的解決と、ダライ・ラマ法王のチベット帰還が実現するよう求めます。

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