【報告】9月28日 カンボジア自由民主の集い

9月28日 カンボジア自由民主の集い 報告

 9月28日午後1時から、参議院議員会館特別会議室にて、「カンボジア自由民主の会」が開催されました。この集会は利他利他有興会、アジア民主化運動、中朝人権問題を糾す会埼玉・茨城、並びに科在日カンボジア救国活動の会、アジア自由民主連帯協議会など、各団体の協力によって行われたものです。進行はあぼともこ氏。

 最初に、凶弾に斃れた安倍晋三元首相への黙とうがささげられたのち、在日カンボジア救国活動の会代表のハイ・ワンナー氏が開会のあいさつを述べたのち、ペマ・ギャルポアジア自由民主連帯協議会会長のメッセージが読み上げられ、続いて、今回来日した、ムー・ソクア、カンボジア救国党副党首の基調講演が行われました。

 ムー・ソクア氏は、カンボジア国民を代表し、まず、安倍元首相への哀悼の意を表し、元首相が2018年にカンボジアを訪問した際、「カンボジアはさらに平和と人権のカンボジアとして発展することとを強く願う」と発言をされたと指摘しました。

 ソクア氏は自分が生まれたときは、カンボジアは平和な国だったが、その後、暗黒と孤立、戦争のカンボジアになってしまった。そしてクメール・リュージュの支配下、共産主義者によって破壊されつくした国を、ゼロから作り出すしかないところに追い込まれたと述べました。

 ソクア氏はさらに、1975年から79年の間のクメール・ルージュ支配下、眼鏡をかけているだけで虐殺の対象になり(知識人で、過去のブルジョア思想を抱いているとみなされた)、200万人以上の犠牲者が出ている。(ここでソクア氏は、会場の数十人のカンボジア人に、家族や親戚の中に犠牲になった人がいる人は挙手くださいと呼びかけ、ほぼ全員が手を上げました)そして、その後はベトナムによる占領下に置かれ、さらに内戦が続き、1991年のパリ和平協定まではずっと戦争が続いていたと述べました。

 このパリ和平協定に最後にサインしたのは日本で、92年には東京で会議が行われ、公正で民主的な選挙により平和なカンボジアが生まれたはずだったが、その後、現在のカンボジアは、この協定の理想とはかけ離れたものになってしまっているとソクア氏は指摘しました。さらに、日本政府はカンボジアに政府、民間ともに多大な援助をしてくれたし、そのことには深く感謝しているが、カンボジアはいまだに平和にも民主的な国にもなっていないことを強調しました。

 パリ和平協定において、オーストラリアのガレス・エバンス外相は、「平和と自由の基本とは経済的豊かさと人権の尊重だ」と述べたが、今のカンボジアはフンセン率いる人民党の一党独裁が続き、言論、表現、結社の自由もなく、自分たちカンボジア救国党は最大野党であったのに解散させられ、自分もこうして国外に追放されている。私たち政治家は、独裁や腐敗と戦い自由と民主主義を実現するのが使命なのに、そのような活動は封じられているとソクア氏は現政権を批判しました。

 ソクア氏は続いて、そのフンセンは、昨日(27日)国賓として来日したけれども、フンセン政権が続く限り、私たちも、ここにいるカンボジアの人たちも、故郷に帰ることもできない。私(ソクア)が犯罪者やテロリストに見えるでしょうか、自分は、自由で民主的なカンボジア実現のために、自由民主主義国日本の政治家の方々と一緒に戦いたいし、その助力を心からお願いすると述べました。

 今日のカンボジアでは、表現の自由など皆無で、政府を批判する言動をすれば逮捕され、暴行を受け、時には殺されることもある。もう、自分たちは、血が流れ続けるカンボジアではなく、平和なカンボジアを作り出したい。しかし、そのために大きな障害となっているのが、フンセン独裁政権と、それを支える中国だとソクア氏は指摘しました。

 ソクア氏は、フンセン政権は、中国に自由なカンボジアを売り渡し、中国独裁政府の最大の友人となった、このアジアにおける大きな平和と自由への脅威は中国だと強調しました。そして、その脅威とは軍事的なものだけではなく、マネーロンダリング、人身売買など、まるでマフィアのような犯罪行為を国家として行っている、これに対しては、自由と平和、そして法の支配という普遍的な価値を共有する諸国が連帯して対峙しなければならないと訴えました。そして、この中国の汚れたお金は、カンボジアにおける政権、軍人、官僚などに流れ込んでおり、ますます独裁政権を肥えさせていると批判しました。

 そして、フンセンは自分の息子を次期首相にしようとしているが、私は、2023年に予定されている選挙では絶対に立候補し、救国党をはじめとする正しい政党によって真の平和なカンボジアを作りたい。そのためには、2023年7月に行われる予定の選挙で、決して、不正が行われないよう、そして自由な言論、選挙活動が保証され、政治犯が釈放されるよう、日本国もカンボジアに呼び掛けてほしいと訴えました。

 さらに、今日ここに参加しているカンボジア人たちも、勇気をもってここにきている。カンボジア大使館は彼らを監視し、時には脅迫し、また故郷の家族が危険にさらされる。日本は民主主義国として、このような独裁政権への無原則な支援をやめてほしい、むしろ、弾圧を辞めさせるために制裁を加えてほしいとソクア氏は日本政府に訴え、自由で民主的なカンボジアのために、日本国にも力を貸してほしいと講演を結びました。(以上は英語による講演、通訳は藤田裕行氏)

 講演後は、映像にてカンボジアにおける様々な弾圧の様子が上映され、参加者の中から、実際に家族を殺されたことを、一人のカンボジア女性が訴えました。続いて、在日カンボジア救国活動の会副代表の森ボーラ氏、副代表補佐の露木ピアラ氏が訴えたのち、アジア自由民主連帯協議会事務局の三浦より、パリ和平協定の意義と、それが生かされていない実情が報告され、午後2時半過ぎに集会は閉会しました。(文責 三浦小太郎)

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