中国深圳における日本人学校生徒殺害事件に対する中国政府の姿勢に抗議する声明文
去る9月18日、中国広東省深圳(しんせん)にて、日本人学校へ登校中に、わずか10歳の何の罪もない生徒が中国人の暴漢により刃物で殺害された。今年6月にも、蘇州で日本人母子が襲撃される事件が起きているが、その時中国政府は、「偶発的な事件」として、自らの責任をまったく問うことがなかった。そして、産経新聞報道によれば、金杉憲治・駐中国日本大使は19日、中国の孫衛東外務次官と電話会談し、事件について申し入れを行ったが、北京の在中国日本大使館によると、孫氏からは事件について「前科のある者による個別の事案」との説明があったという。
この説明は不誠実極まりないものである。この9月18日を、中国は柳条湖事件の発生した「国恥記念日」とし、「勿忘918(918を忘れるな)」というスローガンを政府レベルで宣伝している。私たちは各国がそれぞれの価値観や歴史観を持つことには反対しない。しかし、問題なのは中国政府が、日本側の価値観や歴史観を一切認めず、一方的な反日プロパガンダを展開していることである。
今年6月と8月に起きた靖国神社における落書き事件においても、中国外務省の毛寧報道官は「外国にいる中国国民が現地の法律や法規を遵守し、理性的に要求を表現するよう改めて注意する」とコメントしたのみで、しかも同時に靖国神社とは「日本軍国主義が発動した対外侵略戦争の精神的道具とシンボルだ」と述べた。この8月15日にも、中国外務省は報道官談話として、参拝した日本の政治家を批判し「侵略の歴史を正しくみつめ反省することは、近隣諸国との友好関係を確立するために重要な条件だ」と述べている。
侵略と軍国主義を否定するのならば、中国政府は自らが行っている、ウイグル、チベット、南モンゴルにおける侵略とジェノサイド、民主化を求める中国人への弾圧、尖閣列島はじめ、東シナ海、南シナ海、台湾へのむき出しの侵略主義を直ちに停止しなければならないはずである。
しかし、中国政府は己の行為を改めることなく、日本に対しては、歴史問題から処理水問題に至るまで、国民に対し反日感情を煽っている。また日本に対するものならばデマや悪罵も放置されている。このような「愛国無罪」の世論を利用して中国国内の社会問題や矛盾から目をそらそうとする中国政府の姿勢こそが、今回の殺人事件の遠因にある。罪なき少年の殺害に、中国政府は責任があるはずだ。
私たちは以下の点を中国政府及び日本政府に要請する。
1、 中国政府は今回の少年殺人事件がこれまでの反日プロパガンダにより引き起こされたことを認め、被害者家族ならびに日本政府に謝罪せよ。
1、 中国は日本人をはじめ多民族への蔑視や憎悪を扇動するヘイト行為を直ちにやめよ。チベット、ウイグル、南モンゴルにおけるジェノサイド政策を直ちに停止せよ。
1、 日本政府は中国政府に対し、この殺人事件の責任が反日プロパガンダにあることを明確に抗議し、かつ、今も中国当局に不当拘束されている日本国民の即時解放を要請せよ。
2024年9月23日
アジア自由民主連帯協議会
会長 ぺマ・ギャルポ