【動画あり・有中文版】協議会主催 第78回講演会 王戴・近衛義成「中国民主化に向けての今後の展望」報告

中文版 链接


アジア自由民主連帯協議会主催第78回講演会 王戴・近衛義成「中国民主化に向けての今後の展望」報告

 7月27日、東京大井町講演会にて、アジア自由民主連帯協議会第78回主催講演会「中国民主化に向けての今後の展望」が開催されました。講演者が民主中国陣線の王戴氏、また境外勢力関東代表の近衛義成氏。参加者は約40名。

 まず、王戴氏が登壇。自分はこの日本で、30年以上中国民主化運動にかかわってきたが、残念ながら、まだ共産党独裁政権は継続している。今日は、現状と、いくつかの視点から民主化の可能性について考えていきたいと述べました。

 王戴氏はます、現在、中国は共産党独裁のもと言論統制・情報統制は徹底的に強化されていると指摘し、現在の中国憲法では言論の自由や民族自治など美しい言葉が並んでいるが、それは言葉だけのもので、中国は法治国家ではなく、すべてが共産党の支配下にあると述べました。

 そして、中国は文化大革命後、改革開放政策をとり、胡耀邦の時代までは多少なりとも存在した自由な言論は、89年の天安門事件以後全く封殺され、逆に経済成長によって新たなナショナリズムが高まり、その中で共産党支配が正当化されてきたと指摘しました。

 この経済成長の要因の一つは、残念ながら、天安門事件以後、抗議の経済制裁を行っていた民主主義諸国のうち、日本は真っ先に中国に対する経済制裁を解除し、その後、西側諸国も続々と中国との経済関係を復活、中国はWTOに加盟、それ以後、2010年ごろには日本のGDPを抜くまでの成長を遂げた。中国共産党はこの経済成長を世論の支持に結びつけ、支配力を強化・正当化したと王戴氏は述べました。

 これは、鄧小平の、黒い猫でも白い猫でもネズミを捕る猫はよい猫だ、という言葉に象徴されるような経済重視の政策によるものであり、これを引き継いだ胡錦涛の時代、上海をはじめ、確かに中国沿岸部は経済発展を成し遂げた。しかし中国内陸部、特にチベットなど漢民族以外の民族の住む地域と沿岸部でははっきりと経済格差が生じ、富の格差と社会矛盾は高まっていったと王戴氏は解説、民衆の中には相当の不満が蓄積していると王戴氏は述べました。

 続いて王戴氏は国際社会について、現在、米中対立・新冷戦と呼ばれる状況下、アメリカはバイデン政権下から現在のトランプ政権まで持続的に対中強硬姿勢を原則取り続けており、中国は現在、日本、韓国を含め周辺諸国とも激しく対立している、だからこそ中国は戦狼外交をとっていると述べました。そして、日本をはじめ各国で、政治の大きなテーマとして外国人問題が語られているが、これも多くは本質的に中国人問題であることを忘れてはならないと指摘しました。

 このような現状分析の後、王戴氏は今後の民主化の展望、可能性について、以下のいくつかの視点から分析と予測を行っていきました。

①中国民衆の精神的変化:改革開放政策と経済発展により、例えばGDPが一人当たり平均5000ドルを超えると、その国は必然的に民主化に向かう、という説がある。しかし、現在の中国ははるかにその数字を越えているが、人権改善や民主化が前進しているかというとむしろ逆である。これは、経済発展によって得た富が、ほとんど腐敗した中国共産党富裕層に吸い込まれ、国民に還元されていないからである。経済発展は現在の中国の民主化にはつながらない。

②中国共産党の党内改革の可能性:現在の中国共産党内に、民主派、改革派は、少なくとも目に見える形では現れていない。現在の習近平政権の周囲はイエスマンばかりで、逆に、習近平の方針に批判的な勢力は早い段階で粛清されている。

③地域レベルでの民主化は可能か:中国共産党への不満は確かに高まっている。たとえば、この7月16日、中国浙江省杭州市の一部地域で、水道水から魚の腐ったような異臭が発生した。住民らは水を沸かしても臭く、手を洗うと異臭が逆に手にこびりつく、皮膚が痛くなったなどの苦情が相次ぎ、市民たちは激しい抗議を行った。中国政府は今のところ早い段階で対応し事態は改善されたが、このように、地域の様々なトラブルから抗議行動が起きることは確かにある。
 例えば、ゼロコロナ政策がとられていた時代に、若者を中心に白紙革命が起きている。この白紙革命の意義は、中国共産党に対して退陣せよ、中国共産党はNOだ、という声をはっきり挙げたことだ。天安門事件の時には中国共産党打倒という言葉は言えなかった。そのような意識の変化、共産主義、共産党そのものを批判する声が上がってきたことは評価する。ただ、その白紙革命も、その後の厳しい弾圧によって沈黙させられていることも残念ながら事実だ。

④共産党内の権力闘争が民主化につながる可能性:よく言われるのは、中国共産党内部の太子党勢力と共産主義青年団勢力の対立が激化しているとのことだが、これは習近平の重病説同様、十分検証されていることではない。習近平の健康状態は良くないという話は事実かもしれないが、同時に、彼には世界最高水準の医療チームがついていることも確かだ。習近平権力は、簡単に揺らぐものではない。

⑤外部からの圧力による中国の変化:中国経済が苦境にあることは確かで、共産党は自分たちの都合のいいデータしか出さないが、それでも外国からの投資も輸出も下がりつつあり、経済的に行き詰っている。また、今後もそれが改善される見込みもない。

⑥周辺諸国からの対中包囲網:⑤の経済面での孤立に続き、周辺諸国、例えば日本も参加しているクアッドなどの中国包囲網が中国共産党を追い詰め、民主化を導く可能性はある。基

⑦市民社会の育成、人権派弁護士の活動:中国では人権派弁護士が各地で、法律を武器に市民の権利を守るために戦っている。またこの日本でも、書店などを場にして定期的に人権問題や民主化のための定期的なセミナーなどが開催され、市民社会における権利などを在日中国人が学ぶ機会も増えてきている。
 ただ、残念ながら、弁護士による権利擁護の運動は、中国国内では基本的に勝ち目はない。たとえ法律上は正当な要求でも、放置の原則が成立していない中国では無視されてしまう。この7月にも、130人以上の人権派弁護士が逮捕されている。共産党の独裁を変えない限り法律上の戦いは効果がない。

⑧民族問題:中国民主化は、民族自決権の確立が勿論前提となる。ただ、現実に中国の民主化が成功しない限り、共産党独裁政権下で民族独立が成立する可能性はほとんどない。民主化がすべての民族問題を解決するわけではないが、民族自決のための最低条件の一つが中国の民主化である。そして、現在のところ中国の民衆には民主主義の夷s気も民族自決権への理解もまだまだ不十分で、そのための啓蒙活動が必要な状態である。

⑨今後の民主中国陣線;これまで、中国民主化運動の中核をなしてきた民主中国陣線は、非暴力、平和的運動、理性的な活動を基本方針としてきた。しかし、残念ながら、平和的な運動だけでは、中国共産党独裁政権に対しほとんど力にならない。現実、中国共産党政権はテロ国家であり、テロ国家の暴力にいかに対峙するかという覚悟が運動の側にも必要である。

 残念ながら、日本政府の中にも、現在の中国政府に融和的な勢力も存在し、現実にこの日本で運動を行うのは難しいが、トランプ政権の誕生や国際情勢の変化の中で、かつての辛亥革命のような状況が訪れる可能性は充分ありうることである。 

 先日来日して講演を行った袁紅冰先生の言うように、勝手の中華民国を成立させた辛亥革命の理想と失敗の双方を検証しつつ、台湾の現状をも踏まえた、新しい民主化運動を考えていかなければならない。

 以上のように王戴氏は民主化をめぐる現状と展望を語り、その上で、中国共産党権力は一見協力に見えるが、実は富裕層は次々と財産を海外に移したり自分も移住したりしている。本当に強固な体制ならそんなことはあり得ない、アジアと世界の平和は、中国共産党独裁体制の民主化なくしてあり得ないのだから、日本政府も、ぜひ民主化の実現のための政策を実施してほしいと述べて講演を結びました。

 続いて近衛義成氏が登壇。1989年の天安門事件でこだました自由と民主主義への声の意義は充分認めたうえで、現在の中国の、特に若い世代の苦しい状況について講演しました。

 まず、現在中国で生じているのは、単なる独裁ではなく、文明の病である、人間の連帯への意識や創造力がすべて抹殺されるような精神状態が支配しているのが中国の現状だと近衛氏は述べました。そして、中国の若者は、現在失業率は約20パーセントに上り(中国政府はすぐこの数字を打ち消した)大学を出ても就職口もない。努力しても社会で報われる可能性がないという状況に置かれ「寝そべり族」と言われる現象まで起きていると近衛氏は指摘しました。

 寝そべり族とは「”住宅を買わない、車を買わない、恋愛しない、結婚しない、子供を作らない、消費は低水準”(不買房、不買車、不談恋愛、不結婚、不生娃、低水平消費)」という考えの人々であり、これはある意味静かな社会への抵抗でもあると近衛氏は指摘しました。中国の若者は、統制されているとはいえ、SNSや、香港の情勢などを通じて、自由な世界があることをある程度知っている。だからこそ今の自分たちの置かれている中国の現実に絶望し、このように社会に積極的にかかわらない形で抵抗を示しているのだと近衛氏は述べました。

 現在、中国の大学では、天安門事件については一切語ることはできない、自分たち中国の若い世代は、中国の歴史から断絶され、かつ未来をも閉ざされている。若者たちは、出口の見えない状況の中、自分たちは何のために生まれてきたのかを悩んでいる、民主化運動は、この若者の声にこたえなければならないと近衛氏は主張しました。

 さらに近衛氏は、民主化運動が、過去の天安門事件や民主化運動の栄光を回顧し、その栄光を讃えるだけのものになってしまっては、若い世代はそこに希望を見出すことはできない、今の若い世代の就職難などの現実の問題に取り組まなければ、中国共産党への抵抗は、民主化運動ではなく寝そべり族の形でしか現れないと強調しました。

 近衛氏は、民主主義の理想を語るだけでは、若い世代からは「自由や民主主義が、私たちの現実の重荷を軽くしてくれるのか、私たちに本当に現実的なメリットがあるのか」という言葉が返ってくるだけだ、ゼロコロナ時代、若者たちは絶望の中精神をむしばまれてきた、私たち民主化運動家の語る言葉が、彼らに本当に届いているか、もう一度私たちは自問自答すべきではないかと指摘しました。

 近衛氏はさらに、若者に民主主義の英雄たれと呼び掛けるのではなく、又若者に正義や信念を押し付けるのでもなく、彼等が求めているものを真摯に受け止めねばならないとして、抽象的な理想ではなく、以下のような現実的、具体的な活動を通じて、「断絶の時代の民主化運動」の道筋を切り開かねばならないと述べました。

①情報の共有、中国の若い世代に、世界の正確な情報を伝えていく

②教育と伝承の場を作る:日本にいるわれわれ中国人が、民主主義とは何か、自由とは何かを学び、それを中国の若い世代に伝えていく場を作っていく。

③経済的具体策:共産党を打倒せよ、というスローガンだけではなく、では、共産党政権が打倒されたのち、誰が中国を統治し、運営し、経済を再建して国民の幸福を実現していくかを、特に経済面の政策を中心に提示していく、また、そのような国家の運営ができる人材を育てていく。

④国際社会が、若い世代が意見を表明できる、発信できる環境を作る努力をしていく。

 近衛氏は以上のような提案の後、白紙革命の最大の功績は、中国の若者に、民主主義とは、理念でも幻想でもなく、行動であり、声を上げることだということを示したことだと述べ、かつ、その声に耳を傾け、伝承していく人たちがいてこそ民主主義は前進する。白紙革命を次世代に引き継ぎ、沈黙とあきらめ、絶望に支配された中国社会を、もう一度、若者たちに、希望と再び立ち上がるための力を与えるような社会に変えていきたいと述べて講演を結びました。(文責 三浦)




中文版

亞洲自由民主連帶協議會舉辦的第78次講座
王戴和近衛義成關於「中國民主化前景」的報告

7月27日,由亞洲自由民主連帶協議會主辦的第78次講座「中國民主化的未來前景」在東京大井町講堂舉行。主講者是民主中國陣線的王戴先生和關東境外勢力的代表近衛義成先生。與會者約40人。

王戴先生首先發言。他指出,自己在日本參與中國民主運動已有30多年,但非常遺憾的是,中共的獨裁統治依然還在存續中。今天,他將從幾個方面探討當前形勢和民主化的可能性。

王戴提到,在共產黨的獨裁統治下,中國正在徹底加強對言論和資訊的控制。他表示,雖然中國現行憲法中有言論自由、結社自由、宗教自由和民族自治等相關條款,但實際上這些只是空話,中國並不是一個法治國家,一切都受到共產黨的控制。他回顧了文革後改革開放的時期,指出言論自由在胡耀邦時代相對比較開放,但1989年天安門事件後被徹底壓制,經濟增長反而導致了民族主義的興起,進一步強化了共產黨的統治合理性。

他強調,經濟增長的背後有一個遺憾的事實:在天安門事件後,最早解除對中經濟制裁的民主國家之一就是日本,隨後西方國家也紛紛恢復與中國的經貿關係,中國加入WTO世貿組織之後,GDP持續增長,在2010年經濟總額超越日本,成為世界第二大經濟體。王戴指出,中共將經濟增長與公眾支持聯繫在一起,從而强化了其控制,並使之合法化。

他進一步提到,鄧小平的「無論白貓和黑貓,抓住老鼠就是好貓」的經濟政策著重強調經濟發展,鄧的繼任者江澤民、胡錦濤執政期間經濟飛速發展,然而,中國內陸地區以及少數民族區域與沿海地區之間的經濟差距日益加大,社會矛盾和貧富差距也日益嚴重,導致民眾的不滿情緒高漲。

接著,王戴談到了國際局勢與中國的關係。他表示,在中美對抗及新冷戰的背景之下,從民主黨的拜登政權到川普的共和黨政權,美國對中政策均採取強硬立場。而中國對以美國為首的民主陣營採取了攻擊性的戰狼外交政策,從而導致中國與鄰國如日本、韓國、越南、菲律賓發生了激烈衝突。他也指出,外國人問題在日本及其他國家已經成為重要政治議題,但實際上這一問題的根本仍然是中國問題。

在分析當前形勢後,王戴預測未來民主化的前景和可能性,從以下幾個方面進行分析:

(1) 中國人的心態變化:在現在的中國,人均GDP雖然已經超越了5000美元這一門檻,但經濟發展並不等同於民主化。儘管中國的經濟增長顯著,但人權狀況卻在惡化,沒有出現向民主化轉型的趨勢,因為經濟增長所帶來的的財富多數被腐敗的中共富裕階層所攫取。

(2) 中共黨內改革的潛力:目前中共內部缺乏明顯的民主派或改革派。獨裁者習近平的周邊均是唯唯諾諾的共產黨人,反之,批評習近平政策的黨內勢力,很早就被肅清了。

(3) 地區層面的民主化可能性:如7月16日,在浙江省杭州市發生的生活用水溢臭案例所產生的大規模居民抗議事件,雖然中國政府已經在早期階段做出了回應,情況有所改善,但類似的抗爭事件肯定會引發各種問題。

還有被世人詬病的針對新冠疫情中共所採取的「清零政策」而引發的全國乃至世界各地的白紙革命運動,參加白紙運動的年輕人當中已經明確地喊出了「習近平下台、共產黨下台、要民主、要自由、要人權」這樣的口號!這些突發事件顯示出社會問題的潛在風險,從而發生地區社會的變革。
(4) 共產黨內部權力鬥爭的影響:中共內部太子黨勢力與共青團勢力的矛盾正在激化,但這與習近平重病論一樣,都沒有得到充分驗證,因此說中共內部的矛盾尚未明朗,習近平的權力似乎不會輕易動搖。

(5) 外部壓力對中國的影響:今年第二季度中共所發表的經濟增長率是5%,但是這個數字的可信度極低,因為中共只提供適合他們統治的數據。但即便如此,外商投資和出口仍在下降,經濟處於停滯狀態。這種情況今後也不會有任何改善的前景。

(6) 周邊國家的包圍:如美、日、澳、印等國合作組織對擴張主義中國形成的包圍圈,可能對中共造成實質性壓力,促進中國民主化的程序。

(7) 培育公民社會和人權律師的作用:在中國,人權律師努力在全國捍衛公民權利,然而面臨巨大挑戰。

(8) 民族問題:民主化必須先確立民族自決權,但在共產黨統治下,這一點難以實現。

(9) 未來的民主中國陣線:雖然作為中國民主運動的核心,民主中國陣線一貫以和平、理性、非暴力運動為主,但對中共政權的撤換需要準備面對暴力。

王戴最後強調,如果中國實現不了民主化的話,將無法實現亞洲及世界的真正和平與穩定。

隨後,近衛義成先生上臺發言,他讚同1989年天安門抗議的意義,並談到當前中國年輕一代所面臨的困境。

近衛指出,中國青年正面對約20%的失業率,且就業機會極其有限。他提到年輕人對當前社會的絕望,以「不買房、不買車、不談戀愛、不結婚、不生孩子、低水平消費」等行為表達無聲的抗議。

他強調,僅僅回顧天安門事件及過去的民主運動,年輕一代無法找到希望,民主運動必須回應他們的實際問題,如就業困難。最後,他提出要為「斷裂時代的民主運動」鋪平道路,具體措施包括共享資訊、創造教育空間及提出具體的經濟政策。

近衛希望「白紙革命」能成為中國青年追求民主的力量,使他們重新站起來。

.