2012年2月3日に中国四川省カンゼ・チベット自治州色達県(セルタ)においてさらに3名のチベット人が中国政府に対する焼身抗議を行なったことについて、中央チベット政権は非常に危惧しています。
この3名につきましては未確認情報ではありますが、2名が60代、1名が30代と報告されています。全員が重傷とのことですが、正確な状態や行方については依然としてわかっていません。
また、首都ラサ周辺およびガンデン寺、セラ寺、デプン寺などラサの主要寺院周辺に治安部隊や警察が集結しているという報告も受けています。
首都ラサにおいてチベット人の抗議行動を取り締まるために苛烈な措置が取られるならば、チベット各地で高まっている緊張がさらに高まることになりかねません。
チベットの新年である2月22日ならびに1959年のチベット民族平和蜂起から53周年を迎える3月10日には、さらに多くの血が流され、尊い命が消えてしまうのではないかと我々は非常に危惧しています。
選挙で民主的に選ばれたチベット人コミュニティの代表である我々チベット中央政権は、国際社会の皆様に対し、武器を持たない市民への発砲および暴力を地方当局に禁じるよう中国指導部に直ちに呼び掛けていただきますよう要請致します。
焼身という極めて激しい抗議行動は、中国政府のチベット政策が新たな抑圧の段階に達したことを示唆しています。
焼身という行動にはたんなる抗議行動として終わらせることのできない、我々が人として見過ごすことのできないメッセージが込められています。これは中国政府の抑圧的な政策とチベットが占拠状態に置かれ続けていることを強く拒否する意思の表明です。彼らはチベットの人々の自由のために断固たる態度を示したのです。
50年以上前、何千人ものチベット人が中国のチベット侵攻によって余儀なく亡命生活を送ることとなりました。以来、世界規模のネットワークが築かれ、チベットを支援してきました。
危機的状況に直面している今、チベットの現状について懸念を表明してくださっている各国政府、チベット支援団体の皆様、非政府組織の皆様、個人の皆様に、心から感謝の念を表明させていただきます。チベット問題が社会問題として取り上げられ続けているのは、真実と正義への揺るぎない支援を続けてくださる皆様のおかげにほかなりません。
我々は中国政府に対し、チベットの人々の根本的な不満の解決に取り組んでいただくよう強く求めます。そのような取り組みがなされてはじめてチベット本土で高まり続けている緊張や長年にわたるチベット政権・中国政府間の論争の持続的な解決策が得られるのです。
先日伝えられたように、現在チベット地域は封鎖され、メディアの立ち入りが制限されています。
国際社会の皆様には、世界中の人々がチベット地域で起きていることを懸念し、注視しているということを中国指導部が明白に知るところとなるよう、中国指導部に働き掛けていただきますようお願い申し上げます。
また、危機的状況にあるチベットの人々との連帯と彼らの基本的人権を支持する意思の表明として、国際社会の皆様にも2012年2月8日の世界同日法要にご参加いただきますようお願い申し上げます。
世界同日法要にご参加いただく皆様には、それぞれの国のルールに従って、平和的かつ厳粛に行なっていただきますようお願い申し上げます。
ダラムサラにおきましては、ツクラカンで午後3時より法要を執り行ないます。
2012年2月6日
情報・国際関係省大臣 デキ・チョヤン
(訳:小池美和)
チベットの危機的状況に関するデキ・チョヤン大臣のプレス声明 : ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
http://www.tibethouse.jp/news_release/2012/120213_kalon-dicki-chhoyang-issues-statement-regarding-critical-situation-in-tibet.html