脱北者の北朝鮮への強制送還中止を求める日本NGO緊急声明(追記:韓国、国連で脱北者保護を訴える) : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会

 中国政府による脱北者の北朝鮮への強制送還に抗議して、韓国の朴宣映(パク・ソンヨン)議員が、在ソウル中国大使館前で、この寒い中、無期限断食座り込みをしています。本日2月27日で7日目です。朴議員の捨て身の行動により、このところ韓国の新聞でもこの問題が連日大きく報道されています。韓国政府も重い腰を上げて外交努力をしているようです。

 救う会の西岡会長がたまたま訪韓中で、2月26日午前、在韓中国大使館前の教会の敷地にテントを張って無期限断食座り込み中の朴議員のところに激励に行たところ、毎日午後2時から抗議集会をしているので、そこで挨拶をしてほしいとの要請を受けて、午後再びそこに行って路上集会でマイクを握り挨拶をしてきました。

 脱北者問題は、北朝鮮による人権侵害問題として拉致問題と共有する問題であるだけでなく、家族会・救う会は多くの情報を脱北者から得ており、また脱北者がソウルで行っている自由北朝鮮放送でも、毎週拉致問題の訴えをしてきました。

 以下は、北朝鮮関連6団体による共同声明の全文です。


脱北者の北朝鮮への強制送還中止を求める日本NGO緊急声明

 現在、中国では数十名から数百名に及ぶ脱北者が不当逮捕され、本人の意志に反して北朝鮮に強制送還されかねない状況にあります。韓国では連日抗議集会や、国会決議、そして国会議員の中国大使館前断食座り込みなどが行われています。2月21日から断食座り込みを行っている朴宣映議員は拉致問題にも深い関心を示してきた方です。UNHCRもこの事態に対し、中国に脱北者の身辺保護を要請しています。しかし、中国政府は現在まで、彼らを不法入国者として北朝鮮に強制送還する姿勢を変えていません。

 私たちは脱北者たちの生命と人権を守るために、彼らの北朝鮮への強制送還に反対し、韓国における中国政府への抗議行動に自由、民主主義、人権という普遍的価値を共有する隣国として連帯の意志を表明します。

 脱北者たちは、北朝鮮に送り返されれば、強制労働、拷問、場合によっては処刑が待ち受けている危険性があります。特に金正日死亡から100日間の哀悼期間である今日、「裏切り者は3代を滅ぼせ!」と上から指示が下ったという情報も伝わっています。

 中国政府は、脱北者は不法入国者であって難民ではないと強弁しています。帰国すれば政治的理由で拷問、処刑される可能性が高い脱北者は国際法上の難民の地位を所持していることは自明です。難民としての地位が確認されれば、中国政府が彼らを保護する責任があります。たとえ難民資格がないという中国政府の立場に立ったとしても、「不法入国者」を強制出国させるときには本人の意思と受け入れ国の同意を確認した上で出国先を決めるのが文明国としての最低の義務です。

 脱北者の中には韓国に親族がすでに生活している者もおり、また韓国憲法では彼らは皆韓国国民として保護されるべき存在です。韓国政府が彼ら脱北者を受け入れる姿勢を示している現在、彼らが北朝鮮ではなく、希望する韓国に行く権利は法的にも人道的にも正当なものであり、中国政府は彼らの意思を尊重しなければなりません。現実に、中国以外のいくつかの国家では、脱北者を仮に不法入国者として逮捕しても、彼らの意思を確認した上で、希望する国への出国を認めています。中国政府が強制送還を続けることは、中国の文明国家としての名誉を深く傷つける行為です。

 日本人拉致問題について日本政府は国際社会に対して、人権尊重の立場から解決への協力を求めています。そうであればこそ、脱北者問題についても日本政府は普遍的人権の立場からできることをしなければなりません

 私たちは以下のことを中国政府及び日本政府に対し訴えます。

1.中国政府は、現在拘束している脱北者の北朝鮮への強制送還を即時中止してください。

2.中国政府は、脱北者の安全を保障し、脱北者受け入れを表明している韓国政府と連携して、彼らを韓国に移送してください。

3.日本政府は、北朝鮮人権法の精神と人権の尊重という普遍的価値観に立脚して、中国政府に脱北者の北朝鮮送還を中止するように求めてください。

2012年2月27日

北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会 代表 三浦小太郎
北朝鮮難民救援基金 理事長 加藤 博
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 西岡 力
特定失踪者問題調査会 代表 荒木和博
NO FENCE(北朝鮮強制収容所をなくすアクションの会) 共同代表 小沢木理
・砂川昌順

以上


もし、上記声明文に共感いただけるかたは、出来るだけ多くの国会議員、マスコミに転送ください。皆さんのメールが多ければ多いほど、脱北者の命を救うことにつながります。(三浦)

追加情報:

脱北者:「関連国は送還中止を」 韓国政府が国連で訴え

 韓国外交通商部(省に相当)の金奉炫(キム・ボンヒョン)多極外交調整官は27日、スイス・ジュネーブで開幕した国連人権理事会で基調演説に立ち「脱北者たちが北朝鮮に強制送還されないよう、全ての直接関連国は『強制送還禁止の原則』を徹底的に順守すべきだ」と指摘した。

 また「脱北者は政治的な問題ではなく、人道的な問題。脱北者たちは人間としての基本的な権利や尊厳まで奪われ、この上なく悲惨な状況に置かれており、送還されれば拷問などの非人間的な扱いを受けるだけでなく、生命を脅かされることになる」と訴えた。金調整官はこの日、脱北者を強制送還している中国を名指しすることは避け「全ての直接関連国」という呼称を用いた。

 金調整官は続けて「強制収容所での人権侵害など、北朝鮮の人権状況の深刻さを懸念している。北朝鮮による拉致被害者、韓国軍捕虜、離散家族などが、家族の生死も知らないまま死亡するケースが増えている」と述べ、離散家族面会行事の再開に向けた大韓赤十字社の提案に応じるよう、北朝鮮に求めた。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/02/28/2012022800507.html

「関連国」の中には、脱北帰国者を約200人受け入れている日本国も含まれるはずです。さらに言えば、この中国政府の非道に抗議しなければ、日本国は脱北者が北朝鮮で非道な拷問にさらされることを看過したという罪を犯すことになるのです。今中国の側に立つか(沈黙はそれを意味します)、脱北者の側に立つか、独裁政権の側につくか民衆の側について自由と人権を守るか、日本政府が後者の道を選ぶよう、国民や報道関係の方々も力をお貸しください(三浦)


脱北者の北朝鮮への強制送還中止を求める日本NGO緊急声明(追記:韓国、国連で脱北者保護を訴える) : 北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00773

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